#静かな夜でのシンフォニー

凍てつく寒い森から

竪琴の音色が聴こえる

神秘的で　もの悲しい曲なのに

何処か　温かくて　優しいメロディ

音楽に誘われて　寒さにふるえてた動物たちも

顔を出しはじめる

樹氷におおわれてた木々も生命力を取り戻したかのように

緑の葉を生い茂る　花芽までつけ

雪に隠れていた草花ものびていく

黄金の竪琴を弾く女性はこの国に珍しい髪と瞳をしているし

何やら変わった背格好をしている

彼女の奏でる旋律につられるように

氷も　雪も　消え失せ

暖かい空気が流れ込む

一羽の小鳥が竪琴を弾く女性の肩にとまり

1輪の草花をプレゼントした

彼女は嬉しそうに微笑むと何処かへと去って行った

古びた教会から聴こえるパイプオルガンの音色
パイプオルガンに合わせて木々も妖しく揺れる
おどろおどろしい雰囲気で何処か淋しげで儚く楽しいような奇妙な曲
ギシリ　ギシリ　ギシリと何かが軋む音
誰もいない筈なのに動くパイプオルガン
パイプオルガンに誰も座っていないはずなのに
うっすらと人が見える
幻か幽霊か　ただの見間違いか
少年が楽しそうに無邪気に演奏している
だが誰かの気配を感じると消えてしまった
「くすくすくす」という笑い声だけを遺して……

空は満天の星空

月明かりが

誰もいないエントラスを差し込む

エントラスにぽつんと

グランドピアノが置かれている

白くて金と銀の装飾が施された

風変わりなグランドピアノ

奏者はいない

ただ柔らかく冷たい風が吹く

サワサワと……

まるで会話をしているかのように

まるで噂話をしているかのように

静かに柔らかく冷たく

サワサワと……

風が吹く

風に負けまいとグランドピアノの脇で

儚くも力強い

ロウソクの火が

揺らぎ今も消えそうになる

必死にもがき抗うロウソクの火は

人知れず耐える

誰にも気付かれないまま完全に

溶けるまで火を灯し続ける

他の人なんて誰もいない、貴方だけの時間

静かにひとりの時間を堪能するとき、
少しの嬉しさと少しの寂しさ……

解釈は自由です。
思ったことを書き綴ってみてください。

『静かな夜でのシンフォニー』