はじめる

#ஜ

読んでると、
思わず胸がギュッとしめつけられる、
そんなポエムを集めました。

全15作品・


‥私side‥

波乱もあったが楽しいご飯を終えた
君に携帯を借りて彼に電話をかける
…ある覚悟を決めて

『はい。』
「私。もう仕事終わってる?」
『…うん。店どこ?』
「……だよ」
『分かった。すぐ行く』
「ありがとう、待ってるね」

電話を終えて、君に向き合う
「今日はありがとう。すぐ来るって。」
『そう。なぁ、○○』
「ん?」
『自分で決めろよ』
「…わかってる」
『ん、じゃあ』
片手をあげて去っていく君


"優しいよね、二人とも"
そんな二人をこれ以上振り回せない
「…答えはもう出てる」


空に浮かぶのは まん丸のお月様
「満月…」
"頑張ります"
月に宣言して彼を待った


暫くして彼がやって来た
『お疲れ、乗って』
律儀に車から降りて
助手席のドアを開けてくれる

でも、
「私の携帯は?」
『…とりあえず乗らない?』
「乗らない」
『○○?』
「私、もう、貴方と一緒に居れない」
息を吸って
「別れてほしい」
"ごめんなさい"
「好きな人が出来たの」



『……うん。やっぱ、そうなるよな』
辛そうに笑う彼
『…俺ね、あの人に最初に会った時から、こうなる気がしてた。』
ひどく優しい目で
『だってさ…俺の知らない○○だったから。知らなかった、○○のあんな楽しそうな顔。一番近くに居ると思ってた。
でも、俺じゃなかった。
○○を一番知ってたのは。』


痛かった、心が…

『そんな顔すんなよ。』

お願い、優しくしないで

『○○の笑顔が好きなんだけど』
"無理だよ"
「…笑えないよ」
『ひとつお願いがあるんだけど』
「…何?」
『まだ好きでいてもいい?』
「っ…」

"どうして、
彼だけを見ていられなかったんだろう"

私は貴方に想われるような女じゃない
「…ダメだよ。
私のことなんて、すぐに忘れて」
『…ごめん。それは約束出来ないかな』
「最後までいい男なのね」
精一杯の笑顔を作った
『最後までいい女だな』
貴方も笑ってくれた


『…はい、携帯』
受け取ろうと伸ばした腕を引っ張られて
ギュッと抱き締められた
今までにないぐらい強く
抱き締め返すことは、出来ない

"愛してた"
貴方の腕に包まれて
貴方と過ごした日々を思い出に変えた


『送るよ』
って言ってくれたけど
そんなことさせられない
「大丈夫。
ここまで来させてごめんね。」
『いいよ、そんなこと』
「…もう行って。」
『……分かった。
○○、幸せになれよ。』
「○○もね」

笑って彼の車を見送った



頬を伝うものを止める気はなかった
"もう無理…もう…"
堪えていたものが一気に溢れた

"大好きだった
本当に、本当に…ありがとう"
彼を想うのは今日で最後にしよう




もうひとつ、やることがある

電話をかけた
『はい。』
「○○」
『…何処に居る?』
「…お店の近くの公園」
『そこ、動くなよ』



思っていたより
ずっと早く君は来てくれた
私の顔を見るなり
『頑張ったな』って頭を撫でる

「…ありがとう、来てくれて」
『何処にでも行くよ、○○のためなら』

"もう、どうなってもいい"

「…好き。
どうしようもないくらい貴方が好き。
…私を彼女にしてください。」

『…その言葉、そのまま返すよ。』

抱き寄せられて、囁かれた

『俺の彼女になってくれる?』



きっと、
君に『お疲れ様です』と囁かれた
あの日から、
こうなることは決まっていたんだろう


私の答えは…

「はい。お願いします。」





               fin.

Thank you for reading ...

Notte Stellata・2017-10-22
Notteの物語
ありがとうございました

ただ君を笑顔に出来たのなら
どれほどよかっただろう?
8月の傾きかけた向日葵を見て呟いた

隣で歩く君の笑顔も
優しさも
あの遠い夏に流れさってしまった
写真と共にどこまでも遠く

淡く
深い
君を見ているようだ

僕は【すくえない】
手から零れ落ちてしまう
もともとここにはないのだから
あるべき場所へ帰っていく
ただ孤高と化した僕に
届くものは何もない

君が
君だけが
傍にいれば何も要らなかった
君はそうではなかったんだね

箱の中の君

僕にとって君は
どんな権利も
どんな宝物より
貴重で

またどんな日常より
どんな居場所より
大切だった

隣にいない君は
そんな事知ろうともしない
君にとっての1番は自由だった
大きな箱から飛び出して
青く広い空と
深く染まった海へと溺れていった
僕と君の見ている世界は違う

僕はふっと笑って
深い深い海へと身を捧げた

君の見ている青が反射して
僕を染めあげる

最後くらい君と同じものを見ていたかった
君が海へと溺れていったように

近くて遠い

似ているようで真逆

空と海
溶け合う場所へ落ちていった

七望『現在使われておりません』・2021-04-30
深い青に落ちて
このままずっと

最後にしよう
もういい
君に振り回されてやらない
夕暮れ時の公園
初めて君を呼び出した
『どうしたの?珍しいね』
君は小首を傾げている
白いシャツが夕焼けに染まっている
「終わりにしよう」
どこかのカップルみたいな会話
付き合ってないのにおかしいな
出来るだけ落ち着いた口調で話す
「君が好きだよ」
終わりのようで始まりのようで
ドキドキするけど
どこか喪失感もある
「だから終わりにして」
君は瞳を潤ませる
思えば私が泣かすのなんて初めてだ
誰に慰めてもらうのだろう
「遊び相手にはなれない」
「もう会わない」
私は苦手な笑みを最後に君に送る
君は何も言えないぐらい
息を吸うのがやっと
涙をごしごし手で拭う
君が落ち着くまで夕暮れに浸る
君は近づいて私の胸元に埋まる

『ずっとそばにいて』
「無理だよ」

『私を愛して』
「好きだよ」

どこかすれ違って噛み合わない私達
不意に顔を引き寄せられた
君からのキス
何も言えなくなる
沈黙でも浸ってられる
君と私の間に流れるゆったりとした空気

「君だけを見てたよ」
『貴女だけを見るから』

「これから色んな人と出逢うよ」
『貴女しかいらない』

それは私の望んだもの
君から聞きたかった言葉
私が君を作り替えたの
なんだか気持ちいい
張り詰めた心も溶かされてく
私に君を信じる理由はない
今までの君だから
でも私はいくら騙されてもさ
君が好きだよ
私の想いに君が追いつかなくても
君が私を見てくれるなら

君に花を贈ろう
君に似合うスノードロップを

君は嬉しそうにはにかんで
押し花にした
そっと口づけて
いつまでもいつまでも飾った

贈り物のスノードロップ
あなたの死を望みます

スノードロップ
逆境の中の希望
希望
慰め
恋の最初の眼差し

七望『現在使われておりません』・2021-07-25
スノードロップに口付けを
11
フィクション

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星の王子様はもう死んだ。

犯人は私じゃない。
犯人は私じゃない。
絶対犯人は私じゃない。

なにがあっても。

犯人は

私じゃないよ。

星の王子様はもう死んだ。・2017-08-26
貴方へ
彼氏
彼女
学校
強い
気にしないでください
なんとなく
感謝
出会い
嬉しい
小学生
中学生
高校生
大学生
誕生日
幸せ
独り言
好き
大好き
愛してる
苦しい
NOTE15を始めてから
つぶやき
寂しい
相談
魔法
家族
勇気
明日
親友
愛おしい
吹奏楽部
別れ
会いたい
ありがとう
妄想
叶わぬ恋
質問
ずっと
先輩
好きな人
先生
病み
片想い
だいすき
ボカロ
時間
悲しい
本当の気持ち
部活
死体安置所
殺処分場
捨てられた
ゴミ
歌詞
しね
しにたい
死ね
後悔
大丈夫
来雨
元カレ
LINE
嫌い
花火
歌詞画
告白
願い事
時間
愛してる
あいしてる
美咲ちゃん
女子校
幸せ
しあわせ
王子様
最悪なクラス
創作
愛莉ちゃん
優花ちゃん
美奈ちゃん
誰かのための死
誰かのための詩
男子
苦手
切ない
祈り
いいね
トーク
諦めない
Twitter
初めて
貴方
初恋
いじめ
過去
未来
友達
繋がり
大切
日記
あかさたらはらまらや
出来ない
死体
生徒会
終わらせたい
悩み
つらい
両想い
思い出
絶望
2017_08_57
くぁ
۞
ញៀ
﴿
۩

〜第八章〜 ありがとう。

あの日から、ちょうど5年後……
私と磯崎君は21歳になったんだ。
そして、今日は私達の結婚式!!
磯崎君が私に告白してくれた
2月27日にしたんだ。
「あっ!!いろかちゃん!!」
いろかちゃんや佐藤君、ゆうたも来てる。


「新郎、渉さん。
あなたは、はるかさんが病める時も
健やかなる時も、愛を持って、生涯
支え合うことを誓いますか?」
私達、ホントに結婚するんだぁ……
「誓います!!」
「新婦、春花さん。
あなたは、わたるさんが病める時も
健やかなる時も、愛を持って、生涯
支え合うことを誓いますか?」
息を吸った。
「誓います。」

「それでは、誓いのキスを」

私は、磯崎君の唇が触れるのを、
静かに待った。
あ、今日から私も磯崎か。
じゃあ、渉くん。だね!!
私は、
最高の笑顔を沢山くれた、
磯崎君……じゃなくて渉くんに
最高のありがとう。を
これから伝えよう。
そう誓ったんだ。

〜完〜

抹茶フラペチーノ・2019-03-02
小説
地味女子の恋。

我が人生、誇り高きものへ…… (^-^)

アハハ(^∇^) これでは堅すぎて自分の人生疲れちゃう^^

そうだ! 楽しい時とか嬉しい時みたいに話してみよう^^
 
今まで、あんな嫌な事散々!! 言われ続けたもんな

今まで、沢山たくさん泣いてきたけど悲しかったけど

…、、あれが一番悲しかったな(ノ_・。)

今まで、沢山たくさん苦しんで苦しんで苦しみ抜いて来たけど

…、、あの時のが‥ ほ~んと一番、、!! 苦しかったよなぁ~(笑)

苦しくて苦しくて、よく逃げ出したもんなぁ~(笑)(≧∇≦)

すぐに諦めて、目を背けてここまで来ちゃったから

なぁ~んだ、ようやくわかりかけてきたぁ(^-^)

私は逃げ出したり諦めたり目を背けて、気持ちが楽になるのを感じた

気持ちが本当に軽くなる事を心もちゃっかり覚えちゃてった(^-^)

テヘッ(*^-^*) と、いった具合にね^^

人それぞれ辛さや悲しみに向き合う心の体力が違います

筋力も体力の一部 鍛えれば筋力アップします。

想像力だって確実にアップしてきています。

目を背け逃げてたから僕は私は、ネガティブの想像力がアップした(^-^)

そう言われると……(≧∇≦) 確かにそうだよなぁ~(笑)

そういえば!…、、、、あの時の人…

私が引きこもりで学校行ってなかった時

私は友達はいらないとか必要無いって嘘ついて強がってた時も

あの時の人は…君が本当に心から友達は必要無いって感じてるなら

本当に必要無いんだからいいじゃん^^

私もねぇ~(^-^) じつわ友達はいらないって本気で思ってるんだぁ~

私にとって『大切』な人…私が心から『大切なんだ!』と感じた人

私は一人でも多く私が感じる『大切な人』

私の心に増えるといいなぁ~ってo(^-^)o

だって、私の感じる大切な人はみんな私の大切な1番の人だから

だから、私は友達よりも大切な1番の人が沢山増えたらいいなぁ~って(^-^)

私の大切な人に『私は君を大切に思ってるけど君も私の事大切?』…(^w^)

確認なんて(^w^) する必要無いもんね(≧∇≦)

だって私が心から感じた『大切』それに嘘は無いんだから

相手が私をどのように思うかは…

私の『大切』には必要無い事だから

ただただ『大切な人』を『大切にする』事に、相手の気持ちがどうとかは存在しない

そんなのばっかりだから私は友達はいらないってね(^-^)

本当の友達も『友達の確認』なんてしないから(^-^)

だって私が君の事、本当に友達だと心から思えるから

私の大切な1人 私が感じた『大切な人』に変わりは無いから

こんな事を楽しそうに友達はいらないって言ってたなぁ

僕の私の強がりの友達はいらないとかと違った。

あの時の人のは…なんだか温かかったなぁ:(T-T):

引きこもりなんだぁ~ってつい言っちゃったっけ…

あの時の人は…みんなと違ったなぁ~

『へぇ~(*’▽’) 君は引きこもりなんだぁ~』…目を真ん丸にして

『僕は引きこもりしたこと無いから、いい経験してるんだねぇ~』

『ねぇねぇ!今は辛いだろうよ、経験して無いけどなんかわかる』('-'。)

『ねぇねぇ!だったら君も凄くネガティブなんでしょ?』(^O^)って

『ねぇねぇ!だったら面白い遊びしよう』って目を真ん丸にして(^w^)

『ネガティブ対決しようよ!』って…何それってε=(>ε<*)プッ

あっ!その時…一瞬だけど怖い顔と悲しそうな顔したの僕は見たんだ

明るく『みんな自分の事ネガティブって言うけど』

『僕よりネガティブな人に会った事無いんだよ~』って(笑)

『もし君が僕をネガティブ対決で勝ったら、君がネガティブチャンピオンだ!』(^O^)

あの時の対決(^w^) 今でも宝物です。

あの人のネガティブに比べたら、僕のなんて…そう思えたもんなぁ~('-'。)

明るくて楽しそうに見えるあの時の人が…とてもネガティブには見えなかった

今、大人になってようやく心で感じました。心からわかりました。

君の凄いそのネガティブが、必ず君を周りを助ける大切な武器だからって(笑)

ネガティブは性格だから一生直らない変わらないから(笑)アハハ

君だけのネガティブを育てなさいって(笑)アハハ

ポジティブ?ポジティブな性格にはならないから安心しなさい(笑)アハハって

ネガティブは積み重ねて来た性格だけどポジティブはテクニックだから(笑)アハハ

あれもこれも考え こっちもあっちも考え ただ最後にネガティブを選択しただけ(^w^)

その一個前はポジティブだったろ?ネガティブ対決でも(^-^)

その前をただ選べばいいだけのテクニックだったろ?(笑)アハハって

あの時の次の日…

僕は元気一杯で学校行ったんだもんなぁ~ ……

学校がもう怖くて怖くて仕方なかった僕が…

あの時の僕が…


今の……、あの時の人だから


いつまでも有り難う。


あの時の自分に…


いつまでも愛し続けます。


未来のまだ見ぬあの時の自分へ…
    

いつまでもいつまでも大切にします。


あの時苦しんでくれたあの時の自分へ

これからも苦しみから立ち上がるあの時立ち上がってくれた大切な自分へ…


あの日あの時いつまでもいつまでも大切にします。

あの日あの時

いつまでもいつまでも

それが私が歩んだ人生だから

これが私の誇りだから

これしか誇れるものが私には無いから


私の周りには大切な大切な1番の人でいっぱいだから

私の人生だから

大切な大切な1番の人生だから…

誇れる人生になる道しかないのだから


あの時のネガティブな君も必ず必ず…


誇れる人生になる道しかない事にいつかいつかきっと

気がつく時が必ず来ますから!

どうか、あの日あの時立ち上がってくれた自分を

どうかどうか責めるのをいい加減やめろ!!


それはあなたにとって私は大切な大切な1番の人ではない!!


それでもいい

あなたが私の大切な大切な1番の人に変わりは無いのだから

私の誇れる唯一無二の

大切な大切な…


私の大切な大切な人…


私の人生で1番大切な大切な妻…


大切な大切な…

私の可愛いお嫁さん 淳子……、

たった一人の僕が誇れる淳子だから、、  


ここに穏やかな心‥ 二人の心‥ 理想の眠りにつく


二人が描いた… 最高の幸せな眠りにつく


二人の想いを胸に… 我が心‥ ついに眠る。


私の嫌いな言葉…あなたへ最大級の『ごめんなさい』を


あなたの変わりに抱きしめながら…


あなたの変わりに頭…、、、撫でながら…


私の大好きな言葉… あなたへの最大級の『ありがとう』淳子…
 
繰り返し、ながら、、



瞳閉じ、まぶたに映る笑顔のお前に

ありがとうを残し…、、眠り、ながら、も、、、


  (完)

刹那の足跡..・2019-04-08
想い
大切な人へ
想いよ届け
有り難う
みんなありがとう
諦めない
誇れる人生
リスカ
病み
消えたい
独り言
終わり
note15ありがとうございました。

贅沢受験

終わったことだ

結果が出せなくても

もう今更何も変わらない 

できなかった事はしょうがない

縁や運がなかっただけだ

進学先に後悔はない

ここからが大事

頑張れ私

Noname・2021-02-03
決意を新たに
吐き出すだけ吐き出して
引きずらずに前進もう
悔しいけれど悔いは残さない
2ヶ月の挑戦
受験



【食い殺される




やっと鬱陶しい時間が過ぎ去って解放された午後4時半。解放されたにも関わらず憂鬱な気分は晴れないままだった。

窓ガラスに目をやると水滴が付いていた。その奥の灰色い雲からは無数の雨粒が降り注がれている。こういう時の為に折りたたみ傘と言うものはあるんだな。

僕には生憎、共に帰る友なんてのが居ないので自分だけ傘を持っていて気を使うなんてことをしなくていい。はずだった。

「あっ端くん折りたたみ傘持ってる!」

なんだこの図々しい奴は。さして僕と面識もないクラスメイトが何かを言っている。

「いつもは折りたたみ傘持ってるんだけど今日に限って忘れちゃったの...ほら私って体が弱いでしょ?だから雨に濡れるとすぐ風邪引いちゃって...」

体が弱い?初耳以外の何者でもない。そもそも用意してこなかった自分が悪い。でもそんな気持ちとは裏腹に僕は

「そっかそれは大変だね!僕ので良かったら使って?」

そう言って1本しかない折りたたみ傘を彼女に渡した。

「じゃあ僕は帰るから!」
ありがとうを聞く間も無く僕は教室を出た。まだ出てまもなかったのに後ろからの声が聞こえた。

「あいつってホントチョロいよね〜こんな嘘誰が信じるかっつーの!彼氏の広くんが濡れない為に傘提供してくれてありがとうございまーすって感じなんだけど!」

別に君の嘘を見抜けなかった訳でも信じた訳でもない。薄々は気付いていた。ただ断れなかった。それだけ

僕はいつも都合のいい人間に思える。頼まれた事は断れないしいつも人からの評価に怯える小心者だ。その結果こんなになってしまう。ビショビショになりながら自傷的なことを考えた。

僕を一言で言い表すなら“惨め”がぴったりだろう。でも自分の身を守るためだしょうがない。守れているのかいないのかは別として。

「もし、そこのお兄さん」

周りを見渡す。この長い1本道に存在するのは僕だけだ。

「そう、そこの貴方」

何故だか泣きたくなる様な暖かくて優しい声は僕の真後ろから聞こえてくる。ゆっくりと後ろを振り返ると1人の男性が立っていた。というよりも静かにたたずんでいた。

「こんな雨が降りしきる中傘も差さずどこへ?」

傘を差して無いのがそんな異様に見えたのだろうか...

「いや〜傘お家に忘れて来たんですよ!ダメですよね〜はは!」

その男性の背は僕よりもゆうに高かった。それでいて華奢。白い陶器の様な肌はぼんやりとした空気の中で一際目立っていた。長髪は後ろにまとめているのだろうか。

こちらからでは見えないがきっとそうだろう。なんだかその人の周りだけ世界が違うようだった。澄んだ綺麗な瞳に見透かされないよう嘘を取り繕った。

「良かったら私の傘を使うかい?」

いやぁ顔が良いと性格まで良いのか。

「そんな!見ず知らずの方から傘を借りるなんてとんでもない!」

久しぶりの本心だった。でも本当にそう思ったただ知らないからだけじゃなくて僕なんかに向けられたその親切心がなんだか申し訳なかった

「そんな考えを持っていても人には貸してしまうんだね」
えっ。

「嘘って物はねこの上なく厄介なんだ1度嘘をつくとその嘘を補う為に嘘をつかなければならない...言うなれば負の連鎖だね、君はだいぶ重症に見えるが...」

その瞳はやはり全てを見透かすのか。

「僕もそう思います!嘘っていけないですよね〜」

見透かされていようと他人に言う話ではない。負の連鎖?そんなの僕が1番よく分かってる。
「このままだと君は自分に食い殺されてしまうよ」

何を言い出すんだこの陶器は。

「自分を押し殺してその場を取り繕えたとしてもその反動はいつしか自分に戻ってくる」

それも重々分かっている。でもどうしてもこの鳥籠から出られないんだ。

「私が君のその鳥籠を買ってあげよう」

そんなことを陶器が言った。

「どっちがいい?自分に食い殺されるか私に飼い殺されるか」

どちらも嫌だというかなんだ飼い殺すって

「私は自分で殺すよりは後者をオススメするよ?こんな醜くてくだらない世界に存在していても無意味だと思わないかい?どうも君からはそんな雰囲気が出ている」

そうかも知れない。僕の存在自体が無意味なのかも知れない...

「ほぉらすぐ左右される
こんな事を言われても乗せられちゃあダメじゃないか」

もう訳が分からない

「君は優しすぎて否定出来ないんだねそんな君を私は哀れだと思う、何も考えないで生きてみたいと思わないかい?」

そんな事死ぬほど考えた。そんな事ができたら苦労なんてしない。

「私に預けてみてはどうかな?記憶と肉体を」

きおく?にくたい?

「君から記憶を抜き取るんだ、もちろん管理はしっかりするよ?そのうえで新しい人生を始める悪くない話だけどな、君が自分を取り戻したくなったときまた返すよこの記憶を」

言ってる事はめちゃくちゃだがきっと楽になれるんだろう

「安心しておくれ、事後の君はちゃんと私が管理するよ、さぁ私の手を握って」
僕はまともに考えず...いや考えに身を任せ陶器人形の手を握りしめた

(一応完)

雨翔〖終わり〗・2022-04-25
食い殺される
小説

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