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季節外れの足跡が砂浜を駆けて、
時間外れの笑い声が潮風に乗る_。
神様が都合よく照らしてくれるなら
きっと今だけは、僕らは主人公だ。
仮にこの瞬間が、真夏の真っ昼間なら
ごく普通の日常の切り取りに過ぎないが。
あのときの僕らは、
ただ何かに縋っていないと
この空腹は満たされない気がした。
だから僕は君を連れて
冬でも夏でも砂浜を歩いたし、
君は僕を求めて足を進めた。
「楽しいね。もっといきたくなるね。」
君は笑っているはずなのに、
その声はまるで機械の音のようで
闇夜に吸い込まれる前に
耳に届いて、妙に心を揺さぶった。
「じゃあ僕も一緒にいくよ。」
この言葉に君もどうか
揺さぶられていてほしいと
願うのはきっと野暮なんだろう。
何も言わずに歩き出した君を
僕は少し遠いところで見ていた。
そして潮と砂の狭間で止まって
静かに肩を震わせている。
そんな君に何も言えなくて
「もう大丈夫だよ。」とだけ囁いて、
代わりに君の前から消えることを
選んだ僕をどうか嫌わないでくれ__
きっと、伝わらないけれど。
麗儚・2025-05-04 #▪︎ #僕らの逃避行 #ひとひらノベル #君=私 #理想の僕と過去の自分 #心の白表紙 #音で遊んだ詩