日が落ち始めた校庭
中庭になる果物が
甘い香りを漂わせている
その香りに酔いそうになる
辺りは誰もいない
静まり返り噴水の水の音と
秋の涼しい風が
ジャスミンの黒髪をそっと撫でる
髪に手を伸ばす
その姿にドラコもドキッとする
毛嫌いしているグリフィンドール
しかもマグル生まれの魔女である彼女
しかし気取らず自然体で優しい彼女に
敵対する立場のスリザリンのドラコ
純血で貴族出身
父親のルシウスは理事長を務める
ジャスミン「―で?話って何?」
少し緊張している声
いつもの気取った感じは変わらないドラコだが
やはりこちらも緊張している。
1歩近づきジャスミンに迫る…
背が小さいジャスミンには威圧感。
怖がり震えるジャスミンの身体を
ドラコは優しく抱きしめた。
ジャスミンは戸惑い頭がクラクラ
深呼吸を静かにする
爽やかなミントのような香りがする…
ドラコ「ごめん、怖がらせたか?」
ジャスミンは首を振る。
でも身体の震えは止まっている
むしろ今は安心感がある。
ジャスミン「あ、あの…」
自然と上目遣いになる身長差
ドラコは遮るようにさらに強く抱き締める。
ドラコ「こんな事言うと信じて貰えないだろうが、
僕は…君が好きだ。
何故嫌いなグリフィンドールのしかもマグル生まれの君に惹かれたのか自分でも驚いているんだ。
けど、いつからか君ばかり目が追っていた。」
ジャスミンは驚きながらも嬉しそうに笑って言った。
ジャスミン「嬉しい…私初めてだから…
グリフィンドールの事もハーマイオニーの事もあまり悪く言わないと約束して!
私の親友と大好きな寮だから」
ドラコはニヤリとして
ドラコ「あはは…それは分からないけどな。
けど、君を泣かすような事だけはしないようにするさ」
さらに続ける
ドラコ「それにジャスミン、スネイプ先生との禁断の恋は順調か?」
ジャスミンはギクっとした
ジャスミン「なぜそれを…」
そう…この数時間前…
ジャスミンはスネイプ先生に告白を受けていた
教師と生徒の恋愛
許されるはずはない。
まぁダンブルドアにはお見通しだろう。
ドラコ「部屋の前を通った時に聞こえたのでね、
ウィーズリー兄弟の『伸び耳』を少しばかり拝借したのさ」
そういうとポケットから耳の形をしたものから紐が垂れてるものを取り出した。
ジャスミン「じゃあ、何故…」
ドラコ「ちょっとした勝負さ。
愛は本物だ。君を愛してる。
だからどちらがより君を幸せに出来るかをね」
なんて事だ
究極の選択
お互い全て知った上での承知の上での二股交際
戸惑っているジャスミンにドラコはまた
いつもの気取った声で続ける。
ドラコ「やはりホグワーツ1のモテ女だけあるじゃないか?
ありえないスリザリンでしかも寮監までも!」
ジャスミン「もう…茶化さないで!」
ちょっと怒りながら言う。
そっとドラコの大きい手がジャスミンの頬に
触れる。
ジャスミンはドキッとして目を背ける。
ドラコ「ファーストキスはあっちか?」
ジャスミンは顔を赤らめながら小さく頷く。
ドラコ「しかしこういうキスはしてないだろう?」
ニヤリと悪戯っぽく言うと唇を重ねた。
スネイプ先生との優しいキスとは何かが違う!
ふわっとミントの香りが強くなる。
すると抱きしめてる腕にも力が入ったかと思うと
下を絡まらせてきた…
あまりの出来事に鼓動が早くなる。
息するのもやっと…
逃がさないと言うよりに強く抱き締める腕
委ねるしかない。
激しく熱いどこか大人の色気がある。
時々漏れるジャスミンの声…
ドラコ「可愛い声出すな、これだけ済まなくなる…」
ジャスミン「だ、たって…こんな…」
ドラコ「僕の彼女になってくれるよな?
まぁ嫌だって言っても惚れさせてやるまでだが…」
いつの間にかいつものドラコに戻っていた。
ジャスミン「どっちにしても離してくれないのね。
本当、私の彼氏達には手を焼くわ。
2番目の彼氏さん、よろしくお願いします。」
ペコって頭を下げる。
寮に戻るとベッドにぐったり
ペットのマメフクロウのルルに話しかける。
ジャスミン「あぁ、ルル…どうしよう、今日は凄い疲れたよ。」
フクロウはホゥーと小さく鳴いた。
着替えて布団に入り、毛布を口まで引き上げて
一言
ジャスミン「もう!2人のせいで寝れないよ!」
こうして早くもちょっと大人に近づいたジャスミンでした。
ゆっくりと夜が過ぎていった。
これからドタバタ、ドキドキの恋物語が
幕を開けるのです。