#入道雲と線香花火

震えながら触れた花火は

既に誰かの青春でした

困り顔には気づいていた

君の裾に縋ってないと

心の場所を見失いそうだった

夏しか吠えない短命鳴き虫

年中泣いてる私の方が

報われるべき虫のはずだろ

やっと点いたと笑ったら

音も呆気もなく散り際

青春なんてそんなものね

青春は一瞬のシナリオらしい

隣の君だけは永遠に散らないで

最後の火薬に恋が香った

落ちる火の粉に君がいるなら

火傷になっても触れたいよ

8月32日も恋は回る

君には届かないみたいです

散り際の心があやふやだから

消える火種に合図が欲しいの

鳴けない蛍も伝えたいのだ

焦げた身では君を抱けない

告白舞台は予約済み

心が花火で裂いちゃう前に

君の気持ちを咲かせてよ

大好きだって感じる度に

君が消えちゃう気がして

君の笑顔を透したサイダー

最後の夏も飲み干せないまま

花火の記憶が灰になるまで

君を灯して良いですか

未来予想を勝手に描くな

蛙鳴蝉噪は夏だけで充分

買いすぎた線香花火

全然儚くないねって

両手に持って笑った浜辺