『幸せ。』下
※大人要素あり
「速報です。韓国の軍隊が
竹島に突入してきました。
速報です。韓国の軍隊が
竹島に突入してきました。
尚、軍隊は武装している模様。
日本政府は、軍を派遣する意向を
表明。武器を使った激しい戦いが
起こる可能性も、あるようです。」
当たり前は
壊れる、崩れる、失う、
それが前提
「…姫葉、ごめん。
ごめ、ごめん、ごめん…ごめん…っ!」
テレビを消した
韓国人なのに何も出来なくてごめん
傷つけてごめん
韓国人なのに、韓国人なのに
と、라온が泣きながら謝ったから
私の足元に蹲って
ごめん、ごめん、と
何度も何度も라온は謝った
「…라온、違う。
韓国人じゃない、みんな人だよ。
라온は人、私も人、みんな人。
悪いのは…韓国人じゃない。
悪い人達なんだよ、라온。
だから謝らないで。
何も悪い事してないのに、謝らないで。
謝らないでよ…라온。」
謝って欲しくなくて
責めないで欲しくて言ったのに
いつしか私も、泣いていた
抱きしめ合ってキスをして
逃げるように身体を重ね
1mmも離れないように
きつくハグをして
朝まで眠った
次の日、私はアパートを解約した
라온のアパートとで暮らす事にした
幸い物はあまり無かったから
引越しに手間はかからなかった
ベッドを買うまでは
二人で布団を敷いて寝る事にした
라온の匂いに包まれると
心から安心した
二週間後、私も라온も
仕事を変えた
在宅で出来る仕事に変えた
ずっと居たいから
ずっと、一緒に居たいから
でも、それでも
いくら目を背けても
いくら現実から逃げても
私達の当たり前は
確かに、崩れていた
「続いてのニュースです。
竹島に突入した日本軍初の
死者が出ました。
日本政府はこの事を受け
声明を出しました。
【韓国軍のした事は
有るまじき行為であり
許せない行為である。
我々も、黙ってはいられない。】」
幸い、라온は仕事中だった
日本と韓国の争いが
もっと激しくなるかもしれない
そうすればきっと、라온は
라온とは、もう_
「……っ!」
居ても立っても居られなくなり
私は仕事中の라온に抱きついた
「…姫葉?どして、泣いてる、?」
라온は仕事中だから、と
怒りはしなかった
泣いてる私を優しく抱きしめて
落ち着くまで頭を撫でてくれた
「…ずっと、ずと、一緒だよね。」
怖くなって、라온にそう尋ねた
不安な顔が、悲しげな顔に変わり
「何か、あったんだね。」と言った
スマホで引っかかりそうな単語を入れ
検索をした
それを라온に見せると
「僕がもし、死ぬ事になっても
僕はずっと、姫葉が好きだよ。」
と言って、優しくキスをした
嫌だった、라온が死ぬなんて
想像するだけでも絶望で
涙が溢れてくる
「…やだ…。라온死んだら、
私も死ぬ…無理…む、り…っ!」
困らせているのは分かった
でも言って欲しくなかった
死ぬなんて
라온が居ない世界の事なんて
라온とまた身体を重ねた
라온の全てが私を求め
私の全てが라온を求む
こんな時しか、逃げられなかった
背中を向けて眠る라온を
後ろから抱きしめて眠った
今はもう、何も考えたくない
何も、何も、要らないから
「라온、何か食べたい物ある?
今日仕事でいい事してね?
お金いつもより多く貰えるんだ!」
あの日から二週間後
在宅の仕事で
絶望的だったプロジェクトが
私の案で素晴らしいものになった
と、社長直々にお褒めのLINEが来た
実際そのプロジェクトは
大成功を収め
大手企業をスポンサーにつける事に
成功した
社長は、私の給料を
三倍にしたいと言われ
次の給料日からお給料が三倍になる事が
正式に決定した
だからまずは、라온の為に使いたい
そう思った
「姫葉、凄いじゃん!!
流石僕の姫葉!おめでとう!!
姫葉が頑張った証だから
姫葉の好きな食べ物が食べたい!」
ワシャワシャと頭を撫でた後に
キラキラの笑顔で라온は言った
あまりにいい笑顔だったので
私も自然と、笑みが零れた
「ありがとう!なら
チーズフォンデュ食べよっか!」
「よく分からないけど、食べる!」
私は直ぐに支度をして家を出た
라온は着いていくと言ったけど
怖かったから、お留守番
急いで買って、急いで帰ろう
そう決めて、テキパキと動いた
一番混む時間帯だったからか
長蛇の列が出来ていた
一緒にチーズフォンデュを食べて
라온にあーんされて、あーんして
そんな事を考えていると
自然と口角が上がっていた
そんな時、後ろにいた人達の
会話が聞こえた
「そう言えばあれ、
日本に住んでる韓国人みんな
処刑するって噂、本当かしら?
少し可哀想だけど、賛成かなぁ。
だって、いつ血相変えて殺って来るか
分からないじゃない?
怖い怖い。韓国人なんてみんな_」
やめて、その先を言わないで
「死んじゃえば、いいのにねぇ。」
やめて、やめて、やめてやめてやめて、
人、みんな人、全員人なのに、
この人達は、悪い人だ
敵だ、敵だ、敵だ敵だ敵だ、
「…さま、お客様!」
「、す、すみません。」
後ろの人達となるべく距離を取って
会計を済ました
走った、とにかく走った
息が乱れても走って
途中で靴が邪魔になったから脱いで
とにかく라온の温もりに触れたくて
必死だった
「おかえ…!り、って、
どうしたの?泣いてるの?」
「…だ…。や…だぁ…っ!」
せっかく、綺麗にメイクしたのに
ボロボロボロボロ、溢れる涙が
それを全部消し去った
泣いて、泣いて、泣いて、
一時間は、라온の胸で泣いた
泣き止んだ、と言うよりも
涙が出なくなっても、不安で
料理を作っている時に
手を切ってしまった
「姫葉、おいで。」
라온は何を言わずとも
消毒液と絆創膏を持って来て
優しく巻いてくれた
「…ありがとう。」
「そんな悲しい顔してると
チーズフォンデュが可哀想。
可愛い顔しなきゃ、僕全部
食べちゃうますぞ!」
わざとなのか、間違えたのか
少し変な日本語で라온は言った
「食べちゃうぞ、だよ…っ!」
嗚咽混じりの声で注意すると
「だよ…っ!だよだよっ!」と
変な声を作って
私の真似っ子をしてきた
「もー!真似するなー!」
と突っ込んだ言葉も真似して来て
気付けば暗い気持ちも晴れていた
チーズフォンデュのチーズの量で
軽く言い合って
お肉の食べた量で
また言い合って
でも笑って
沢山写真を撮った
チーズフォンデュの写真
もちろん라온の写真
二人の写真
手を繋いだ写真
顔は移さず
チーズがたっぷりついたお肉を
一本づつ持ってる写真
お肉を持って
自撮りしようとしたら
間違えてビデオになっていて
カメラモードに切り替えようと
ビデオを止めようとしていたら
라온にお肉を食べられて
私が怒ってる動画も撮れた
幸せだった
「おっっなかいっっっぱい!!」
「僕も!!ぽんぽここん!!」
「ぽんぽこりんじゃなくて?」
「あ、それだ!」
ニカッと笑った顔が可愛くて
また写真を撮った
「うわっ、見て!容量不足!」
前までは最悪だったこの文字も
今なら凄く、嬉しく思える
「僕が沢山になっちゃったね!」
なんて、라온が言うから
更に幸せな気持ちが強まった
一緒にお風呂に入って
髪の毛を洗いっ子した
ボディーソープの泡を
お互いの頭に乗せ合って
二時間もお風呂に入っていた
ドライヤーで乾かしていると
라온が貸してと言って
髪の毛を乾かしてくれた
「ずっとこうしてたいな、僕。」
「ずっとしてたらいいじゃん。」
「出来たらね。してるよ。」
「出来たらって何、しててよ。」
「出来ないよ。出来ない。」
「ねえ、何で??」
こうしてたいな
その言葉が気になって
라온と少し喧嘩になった
髪の毛を乾かす手を止めて
真っ直ぐ目を見て、問う
「ねぇ、何があったの?」
「…………。」
라온は黙り込んだ
そして目元を抑えて
ゴシゴシ思い切り擦ってから
「僕、死ななきゃならない。
僕の元に、メールが来た。
どこからメール貰ったか分からない。
でも来た。日本語と、韓国語で。
【韓国人がした事は
許されない行為である。
129人の命を奪った国の者は
死に適する。よって
年始より順に、死に場へ送る。】
だって。もう、10月だ。
もう僕は、姫葉と長くは居られない。
僕は姫葉を忘れない、でも
姫葉は僕を忘れて、幸せになって。」
「…ね、何言って、!」
肩を掴んで何か言おうとした
でも、라온は触れさせてくれなかった
「触れないで。離せなくなる。」と
悲しそうに笑って라온は言った
離さなくていい、むしろ
離さないで欲しい
ゆっくり、ゆっくり進んで
もう下がれなくなった所で
라온に抱きついた
「…ねえ、姫葉。お願い。
僕、泣いてしまう、姫葉を
泣かせてしま……ったね、ごめん。」
気付かなかった
また泣いてるなんて
上から、滴が落ちてきた
見れば라온も泣いていた
しばらく涙を止めようと
目を擦っていたけど
諦めたのか、私を強く抱き締めて
私の肩に顔を埋めた
「…ぼ…く、人、人、なのに…っ。
みんな、人、人なのに…っ!!
何で、僕、なんか、した、?
姫葉と居ただけ、居たいだけ…。
僕は、韓国人は…、
普通に過ごしちゃ、ダメ…っ、?
分からないよ、助けて、…!」
震えていた
骨が折れそうな程強く
라온は抱き締めてくれた
「…人だよ、人だよ…っ!
悪くない、何も悪くないよ。
普通に生きてていいよ、いいのに。
何で…?分からない…。悔しい…!」
過呼吸になるほど泣いた
お互いの服が、髪が、肩が
雨に打たれたように濡れた
また重ねようとした
でもやめた
何か違う気がした
二人で手を繋いで
壁に寄りかかって眠った
ただ、ずっとを望んだ
今を生きるのに必死だった
今を続ける事に必死だった
あの日死にたいと望んだ私が
今は心の底から
生きたいと望めている
笑顔も、幸せな気持ちも、
全部思い出したのに
라온、あなたが居なくなったら
私、何も残らないよ
「姫葉、好きだよ。」
「私は大好きだよ、라온。」
「愛してる。」
「愛してる。」
たったそれだけ
一日それだけ話しちゃダメでも
もし、一言も話せなくても
라온とずっと、居たかった
「メリークリスマス。」
「メリークリスマス。」
12月25日
二人でケーキを作った
라온の誕生日は
クリスマスイブ
誕生日会兼クリスマス会
年始まで、あと少し
美味しいはずのケーキの味が
分からない
でも、笑顔でいなきゃ
라온を悲しませる
「ハッピーバースデー!
それと、メリークリスマス!」
いつもの笑顔を心がけた
라온以外要らない、と
アプリを全て消して
とにかく라온を撮り続けた
今日もまた、動画を回す
「라온さん、何か
言いたい事はありますか?」
「そうですね、
僕、幸せだなって言いたいですね。
姫葉と居ることが
泣いちゃうくらい幸せです。」
「ちょ、泣くの早いって!」
「とか言ってる姫葉も泣いてる!」
「あなたのせいだよ、ばーかー!」
誕生日の日くらい
泣かないって決めたけど
あまりに라온が儚くて
今にも消えそうで
悲しくて泣いた
30分くらい、動画を回した
寝る準備をして
大分前に届いたベッドに入る
後ろに気配を感じたと同時に
首元に柔らかいものが落ちてきた
そっと後ろを向いて
どちらからともなくキスをした
初めて、逃げる為じゃなく
身体を重ねた
まるで夢の国に居るような
そんな感覚だった
年を越すまでの僅かな時間
毎日泣いて、抱き合って
満たされ、満たした
そして、1月1日
目が覚めると
枕元にプレゼントがあった
中を開くと、カラクリ式の
アルバムが置いてあった
アルバムの表紙には
【幸せ。】と掘られていた
一枚捲ると
【僕の幸せ。】と
写真が貼ってある上に
書いてあった
イルミネーションの時の写真だった
何枚も何枚も貼ってあった
ブレてるのも貼ってあった
「懐かしいなぁ。」
また一枚捲ると
デートの時の写真から
私が買い物に向かってる写真まであった
開くと飛び出してくる
カラクリ式の写真もあった
思い出と共に、涙が溢れた
久しぶりの、嬉し涙だ
いつの間に撮ったのか
泣き顔もあった
紐を引っ張ると
パラパラ写真が溢れてきた
라온、いつの間に作ったんだろ
ほんとずるい人だ
最後のページには
私に向けた愛の言葉と
【僕のすべて。】と書かれた下に
大きく印刷された
私と라온の写真が貼ってあった
心が満たされた
ああ私、この人と死にたい
と、心から思えた
「姫葉。」
タイミングを見計らったかのように
라온が来た
強く強く強く抱き締めた
韓国に帰れば良かったのに、
そしたら生きてられたのに
と言うと
命より姫葉が大事だから、と
笑ってくれた
涙でボロボロな顔で
라온と目が合った
深い深いキスをした
何度も愛の言葉を交わした
幸せ
これが私の、幸せ
「日本軍の者です。
これは、国からの命令です。」
日本軍の人が来た
行かないぞ、とは
言わせない
そう言いた気な強い口調で言った
「私も処刑して下さい。」
라온だけを連れて行こうとする
日本軍の人に頼むと
無理だ、と言われた
だから日本軍の人を殴った
何かをしなきゃ
処刑してくれないと思ったから
日本軍の人は歯が折れたのか
口元を抑えて
「こいつを連れていけ!」と怒鳴った
「라온、これで良かったの?」
死に場に向かう車の中
きつく繋いだ手の先に居る
彼に解いた
「僕は、君と居られたら
それが、幸せだから。」
拙い日本語で紡ぐ言葉は
私に対する愛で溢れていた
「…私もだよ、라온。
愛してるよ。사랑게。」
キスを交わした
私以外にもう二組
カップルが居た
絶望しきった顔の二組に
私達は話しかけて
死に場に着くまで
彼、彼女の好きな所を語った
死に場についてまず
屈辱的な言葉を浴びせられた
韓国人を誹謗中傷する言葉を
これでもか、と浴びせられた
その後、手錠をかけられ
火の海に飛び込めと言われた
10秒以内に飛ばない者は
後ろから押された
私は動かない手を必死に使って
라온と手を繋いだ
「…怖くない?」
「大丈夫。姫葉がいるなら。」
「私も。じゃあ、いこう。」
'''せーのっ'''
end
Raimu・2021-06-13 #小説 #恋愛 #国際恋愛 #カップル #長編 #感想下さい #恋愛とは #ー幸せー。
