#息遣い

手と手が触れる
体温が伝わる
ジメジメとした、暑さのせいか
それともやけに色っぽい、浴衣姿の君のせいか
体が火照る
顔が熱を帯びる
頬に手を伸ばす
吐息がぶつかる
唇が、触れあう
抱き寄せる
手を取り合う
花火が上がる
「…は…ぁ…綺麗だね」
少し喘ぎながら君が言う
「…そうだね」
君の方が綺麗だよ、なんて甘い台詞
僕には言える訳がない
花火を見上げる君の横顔
花火の灯りで、さらに色っぽく見える
僕の視線に、気づいた君は
流し目で僕を見据える
濡れた、色っぽい唇
熱を帯びた頬
綺麗な瞳
いつもと違うと感じるのは
きっと、花火のせいだろう

あなたの声のトーンも
心地よい話し方もその息遣いも
もう分からなくなってしまったね

53日目

近くにいるアナタが
私の息遣いに
気づきませんように…

貴方の息遣いを

耳もとで

感じてみたかったのかな？

……なんて

考えてしまって


自分で自分に　

びっくりしてしまいました　


考えてみたことなかったのよ、私

大好きなのに、変ね


でも、今夜

聞いてみるね

もちろん、夢の中で


ドキドキしちゃうわ

おやすみなさい

夢で、逢いましょう




フランソワ




*

何が必要
命さえあれば

戦うの
そうなるのかも

不毛の愛に生きて
やがて引き離された

あの空の下で交わした
約束の息遣い

最後になるかもしれない
悔いのない時へ
　　　　　　　　かほ

君の息遣いだけで
あ、今笑ったな。
あ、今眠いんだな。
わかるよーになったよ。