NOTE15 書くとココロが軽くなる はじめる

#掌編小説

読んでると、
思わず胸がギュッとしめつけられる、
そんなポエムを集めました。

全11作品 ・


‘君との時間を、星空を見上げて
強く願う’



初めてこの地に来たときは、
とても感動した。
でも2回目となる今は、感動よりも
なんとも言えない嬉しさだけが
ただそこにある。

『ねぇー、今指数どのくらい?』
「40だよ。前来たときより低いみたい」
少し残念そうに言うと、彩の顔にも
それが移った。
『えー、そうなのー?』

今回の旅行は、星空を目的としていた。
一人で来たときよりも、星空指数は
低いようだ。気象協会とやらによると。

今は黄昏。前回来たときは、
この時間でも少しは星が
見えた気がする。
「夕食とってから、もう一度外に
出てみよう?山の天気は変わりやすい、
そう言うじゃん?」
『うーん、まあそうだね!夕食
楽しみだなぁー』
隣で咲く笑顔が、作られたものである
ことを知っている。
ごめんね。せっかく誘ったのに……
そう、静かに思う。

声には出さない。きっと君は、
大丈夫と言って僕を気遣う。
夕食をとる場所に向かいながら、
彩の後ろで揺れる髪を見る。


僕がこの旅行に誘ったのは、
たった3日前だった。ずっと片思いだった
同じクラスの清水彩。ふと噂で、
星空が好きなことを知った。星空観察の
趣味が同じだったことと、何回か
話したことがあるのが背中を押し、
勇気を出して誘った。
流石にだめかな、と思ったけど、純粋な
彩はYesを口に出してくれた。
どうやら親は出張中らしく、貯めていた
お年玉の使い道に悩んでいたらしい。

そうして僕らは、ここにいる。


『美味しかったなぁー、旅館の人って、
こんなに優しくしてくれるんだね!』
「そうだね。でもあれだけの量、
よく食べられたな」
そう言うと、彩は少し、困ったように
笑った。
『まあね、こういうところ、来たことが
なかったから。つい嬉しくて……』
そう、だよな……
余計なことを聞いてしまった。
彩は親の仕事のせいで、あまり人と
でかけたことがないらしいのだ。
そう、彩の親友に聞いた。

『ねえ、もう外に出てみようよ!』
黙っていると、ふと明るい声が耳を
刺激した。
もう21時か。
「そうだな……」
僕の声は、最後、聞こえ辛かった
かもしれない。本当は、
心配だったのだ。指数は低いし、
雲があったらいくら明るい星でも
絶対に見えない。
『きっと見えるって。山の天気は
変わりやすい。そうでしょ?』
僕の顔を覗き込んで微笑む君は、
どこまでも優しくて――
好きだな、と強く思った。

僕は昔から顔に出にくく、どんな
杞憂も認めてもらえなかった。
そのせいで友達は離れていき、
人と話すのが怖いと思った時期も
あった。でも、そんな僕の心情を
わかってくれて笑ってくれる、
それが彩だった。

「行こうか、彩」
『うん!』
満開の花を咲かせた彩は、
僕の手を取る。
途端にドキドキしてしまって、
俯いた僕にどうしたの?と声をかける。

よし、と思い、
そのドアを開いた。

誰もいない屋上は、予想以上に暗かった。
それでも彩のいるところはわかり、
そばによった。

『あ!星、見えるよ!こんなにいっぱい!』
わかってるよ、彩。
同じ夜空を見上げている。
「うん、すげー」
見渡す限りの星が、僕たちを迎える。
『あれ、でも指数40とか
じゃなかったっけ?』
言われて思い出した。
彩がスマホを取り出すのを見て、
気になって画面の光を覗く。
『あれ?40のままだ』
あ、と気づく。
「ちょっと貸して」
小さな右手が、大きめのスマホを
差し出す。
「ほら」
画面を見せると、一層華やかな
笑顔が咲いた。

“○月27日 星空指数 90”
「更新、してなかったみたい。」
『あ、そういうことか』
そう言って嬉しそうな彩。
山の天気は変わりやすい――
かつて言った自分の言葉と、彩の
声が重なった。
誰にお礼を言えばいいのかな。
ふと、そんなことを思う。

頭上で煌めく星たちが、
とても綺麗に見える。

もう一度、よしっと小さく言って、
目の前の一人だけを見る。

「あのさ彩、ずっと、言おうと
思ってたんだ。」
切り出した言葉は、ありがちで。
まるで映画のようだと思った。

「俺、彩のことをずっと
前から見てた。好きなんだ。
君のことが」

緊張で手が震える。
きょとんとした彩の目が、
次第に見開かれる。

時間が永遠みたいに流れたけど、
実際は数秒にも満たなかったと思う。

『ずっと前からって、どのくらい?』
少し下を向いてた彩が、
いたずらしたみたいに笑った。
「え、2年前、くらいかな……?」
すると、彩は面白そうに笑い出した。
「な、なんで笑うんだよ!?」
だめだったの、かな……?
『ごめんごめん。あのさ、
これから私が話すこと、
向こう向いて聞いてて』
どうして……?

そう言うと彩は後ろに回り、
僕の背中に、ピッタリと自分の
背中をくっつけた。

『ばーか』
突然聞こえた小さな声に、
振り向いてしまいそうなる。
「ど、どこが馬鹿なんだよ?!」
『私はもっと前からだよ?』
質問には答えずに、優しい声を放つ。
『私は優のこと、3年前――
会ったときから
ずっと好きだったんだよ』
今、初めて名前で呼んでくれた……?
ていうか、今なんて……?!

『あー、振り向いちゃだめだって言ったのにー!』
ぷくーと頬を膨らます彩が可愛くて。
顔が真っ赤になっているのを見て、
今度はこっちが笑う番だった。
「彩、耳まで真っ赤」
『う、うるさいし!』
恥ずかしがる姿が可愛すぎる。
『し、しかもさぁ
こんな綺麗なところで告白なんて、
ずるすぎるよ!』
僕は、つい意地悪したくなって聞く。
「僕への返事は?」
また彩が、後ろを向いてしまう。
『オッケーに、きまってるじゃん』
もう、嬉しすぎるよ、彩。

『『「「あ、流れ星」」』』
二人の声が、重なった。
『何かお願いした?』
今度は、僕が赤くなった。
それを見て彩が、隣で笑う。
何千個、いや、無限に輝く星の中で
僕は答える。

「彩と、同じこと」
嬉しそうに微笑む彩。
どこにも転がってそうな言葉だけど、 
どんな星よりもきれいだと思った。
君の横顔が。
君の心が。

そして、たった一つの二人の願いを
この時間に、この星空に託して
顔を合わせて笑った。

Star Leaf‐27 writer・2019-06-22 #StoryOfPhoto #掌編小説 #“君との時間を、星空を見上げて強く願う” #胸キュン





『縁側の夏休み』





縁側の扉を開けて


庭の木を眺めよう。


スイカ
真っ赤な西瓜にかぶりついて、


冷たい麦茶を飲み干した後


残った氷を口に放り込もうか。



カランッ



カラッと乾いた


日差しが照りつける青空に


コップと氷がぶつかりあった。

カミカゼ・2020-08-17 #小説 #小説? #短編小説 #掌編小説 #ポエム #お久しぶりです #ポエム #夏 #氷 #スイカ #西瓜 #麦茶 #独り言 #サオリの小説 #サオリ

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「嫌!嫌!やめて、お願い!
私が何をしたというの!?」




何をした?


特に何も。


ただ、君が美しいから。


死体の君は


どれくらい綺麗なのだろうか。


必死に命乞いをして


泣きわめく君の表情は


写真を撮って


保存しておきたいくらい良かった。


残念ながら


今はカメラやスマホは


持っていないんだ。


記憶に刻んでおこう。




「美しく眠ってよ?」






ぼとっ……




鈍く音を立てて崩れる死体は


美しいと言う他なかった。


胸には


インクが落ちたように


赤い血が広がってゆく。











今度は誰に


人を殺めた名誉をあげよう?














そう呟いて、


僕はクスリと笑った。

秘密さん・2020-07-28 #無題 #掌編小説 #短編小説 #小説 #物語 #名誉 #冤罪 #NOTE小説部 #ユメビカリ出版 #小説/from:沙織 #独り言

指つなぎのその先に −青の景色−

青井 ほむら(あおい ほむら)と朱白 白(あけしろ はく )。
”確信”のない関係が続いていた、二人だけの「指つなぎの日常」。
今回はほむら視点で書いてみました。
ほとんど変わりない…
掌編小説


演劇祭までの道のり本当に長かった。
はく君がいなかったら、途中で投げ出していたかも…
今はもうちょっと休もう。
演劇祭も終わって、開放感で高まる嬉しさのまま始まるバーベキュー。
初夏の暑さの中に心地よい風が縫って通る。

楽しそうに動き回る演劇部員たち、その中でもう少し余韻に浸りたい気分。
はく君何してるのかな?ちらっと一瞬だけ周囲を見渡す目。炎と煙で揺らめきながらはくを見つけるほむら。
…いた。

不意に思い出す昼間の出来事…なんで私、劇が終わったあとはく君の膝の上にいたの!?寝てた!?
炎の熱で高くなったのでない、顔の火照り。
うぅ、恥ずかしい。みんな…見てたよね…

あ、あ、あれだ、疲れすぎたし、みんながうまくやってくれるから舞台監督の私は安心して眠れるんだ。
…全然言い訳になってない。

ずっと気になっていた後輩、はく。
わざと目の前に顔を出したり、ふざけてるように手を繋いだ「指つなぎ」、恋人同士の繋ぎ方だよね。

…好きだった。
はく君もきっとそう。

揺らめく炎、炭の匂いが夏を感じさせる。
お腹を満たしたみんなは花火大会。
まだ眠たいな。
笑いあっている。一生を願う、ほんのひと時の宴。

祭りのあとの静けさ。
みんなで雑魚寝。
偶然か誰かの差し金か、隣になるほむらとはく。

いつものスキンシップ、指を絡め合うふたり。
確信がないだけの恋人。

ねぇ、いつまで待たせるの?
いつまでも待たせるなら…

寝たふりしてるはく君。
バレてるよ起きてるって、指だけで感じとる。ドキドキしてるよね、いつも。
知ってたよ。

はくに顔を近づける。
気付かれないよう、ささやき声。
「ごめんね、手、熱い」

手から思いが伝わりそう。

指を解いて決心して…
「私の事、嫌い?」
はく君の緊張が、鼓動が伝わる

首を横に振るはく君

「私ねぇ、はく君のこと大好き。はく君は?」
「えっ……ぼ、僕も好きです。」

距離を近づける。いつものように。
慣れているはずもないふたりの、少し荒々しくなった口づけ。
みんなが寝ている中でふたりだけの秘密ができた瞬間。

「ねぇ、はく君、外行こっか」
恋人の前から変わらないふたりだけの時間。
やっと確信を得た。
指つなぎで歩く。

寒いくらいの静けさのなか公園で並ぶふたり。
恋人になったふたりだけの時間。
ねぇ、今度ははく君からお願い。
抱き合うふたり。

これが恋人同士。
ようやくたどり着いたね。
終わってみれば案外簡単にたどり着いた始まり。

最初の慣れない口づけとは違う。
答えはわかっていたが、確信を持てなかっただけの恋人たちの…

確かめ合うような、熱を帯びた口づけ。

(このときが永遠に続けばいいのに。)
(このときが永遠に続けばいいのに。)

夜風がふたりの頬をなぞる。
ほむらの頬に光る雫も。


sakura・2026-01-13 #指つなぎのその先に #掌編小説

指つなぎのその先に

青井 ほむら(あおい ほむら)と朱白 白(あけしろ はく )。
”確信”のない関係が続いていた、二人だけの「指つなぎの日常」。
確認だけの言葉で、全て変わっていく「日常」。
夜風だけが知っていた静寂。
掌編小説


演劇祭も終わって、開放感で高まる嬉しさのまま始まるバーベキュー。
初夏の暑さの中に心地よい風が縫って通る。

楽しそうに動き回る演劇部員たち、その中のひとりをずっと見ていた白。
疲れたんだろうなほむら部長。劇の最中にぼくの膝で眠っちゃってたもんな。ふふっ可愛かったな。

ずっと気になっていた先輩、ほむら。
いつも友達以上の距離感でくるから、ドキドキしているのが先輩に伝わるかと思ってた。

…好きだった。

揺らめく炎、炭の匂いが夏を感じさせる。
お腹を満たしたみんなは花火大会、まだうとうとしてるほむら先輩。
笑いあった。一生を願う、ほんのひと時の宴。

祭りのあとの静けさ。
みんなで雑魚寝。
偶然か誰かの差し金か、隣になるほむらとはく。

いつものスキンシップ、指を絡め合うふたり。
確証がないだけの恋人。

寝ていたはずのほむら先輩が顔を近づける。
気付かれないよう、ささやき声。
「ごめんね、手、熱い」
ほどける指、続く言葉は…
「私の事、嫌い?」
周りのみんなが起きてしまいそうな鼓動。
ほむら先輩の鼓動と息づかいまで聞こえてくる。

首を振ることしかできなかった。

「私ねぇ、はく君のこと大好き。はく君は?」
「えっ……ぼ、僕も好きです。」

距離が近づく。
慣れているはずもないふたりの、少し荒々しくなった口づけ。
みんなが寝ている中でふたりだけの秘密ができた瞬間。

「ねぇ、はく君、外行こっか」
恋人の前から変わらないふたりだけの時間。
指つなぎで歩く。

寒いくらいの静けさのなか公園で並ぶふたり。
恋人になったふたりだけの時間。
どちらともなく抱き合うふたり。

今まで恋人に踏み込めなかったふたりがようやくたどり着いた。

最初の慣れない口づけとは違う。
答えはわかっていたが、確信持てなかっただけの恋人たちの…

確かめ合うような、熱を帯びた口づけ。

このときが永遠に続けばいいのに。
夜風がふたりの頬をなぞる。



sakura・2026-01-10 #お試し投稿 #指つなぎのその先に #掌編小説

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言葉の力を信じています。

NOTE15 by ほその夫妻