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#新たな一歩

読んでると、
思わず胸がギュッとしめつけられる、
そんなポエムを集めました。

全88作品・

【RealMe 性別のない人~最終話~“私”の旅立ち】





「想ちゃあーん久しぶりぃ」



俺が千祐さんと


ジェンダーレスの会に


顔を出すなり


コウコさんが


俺に抱きついてきた。







相変わらず、可愛い人だ。



「ほんんんっとに、頑張ったねええ!」


「え…?」


「千祐から聞いたよ。カミングアウト」


「あ…」


コウコさんは


ぎゅうっと、もしかしたら


千祐さんより強い力で


俺を抱き締めてくれた。



「私は親にわかってもらえるまですっごく苦労したの。何度も喧嘩したの。家出までしたの。もう、もー、ほんとにおめでとうっ」


コウコさんは涙を拭うと


俺の手をとってにこやかに笑う。



「家出ったって、兄貴んとこ来てただけじゃねえか、親全部承知だろ」


「何よぅ、それでもね私にとっては大冒険だったのよ」


千祐さんが苦く笑うと、


コウコさんは片頬に空気を溜めた。


俺は笑いながら


千祐さんを見上げて


コウコさんに言う。



「親にわかってもらえたの、千祐さんのおかげなんだ」


「千祐の?」


「分かってやってくださいって、言ってくれたんです」





コウコさんはしげしげと


千祐さんの顔を見つめて


素っ頓狂な声をあげる。



「へぇ…?千祐、が、ねぇ」



すると千祐さんは


照れくさそうに天井を向くと


あー、と唸り言った。




「俺の、彼女の事…だからな」


彼女……他人に


そう紹介してくれてるところ


初めて、見た……。


頬を染めた千祐さんが


俺を見下げて笑う。



思わず息を飲んで


俺も、顔を赤らめた。



その様子を眺めていた、


コウコさんは驚いた様に


目を見開いて声を張った。



「ん!?彼女!?!?え!?何その優しい雰囲気!!」


「まあ、そういう事だ、な、想」


「…うっす」


照れ隠しに


しばらく使っていなかった、


男みたいな言葉遣いをしたら


余計、恥ずかしくなって


俺は、苦し紛れにはにかんだ。



「ええええ!いつの間に!!想ちゃん千祐に変なことされたわけじゃないよね!既成事実作られてないよね!?」

「あー…まぁ、多少は?」


なんて、空気を担ぐ。


千祐さんは慌てて


俺に詰め寄った。


「お、おい、コラ想。何言って」


「嘘ですって。俺の方が、前から…大好きだったんで」


「……可愛いなお前」



しまった。


お互いに

言ってしまってから照れる。


千祐さんのいつものパターンが


俺にまで伝染してきたみたいだ。




「んーもう、やだぁ、いつの間にそんなことになってたのー?千祐も早く言いなさいよ。あーあ、そんなにラブラブされると寂しくなっちゃう、早く紗季来ないかなぁ…」


コウコさんはそう言って


恋人を待ち侘びる。



「今日、紗季さんどうしたんすか」


聞けば、コウコさんは


苦笑して肩をすくめた。



「ぎっくり腰の疑いで病院」


「……ぎっくり腰って…なんすか」


俺が首を捻って尋ねると


コウコさんも千祐さんも


驚いた面持ちで大騒ぎだ。



「おまっ、ぎっくり腰知らねえの!?」


「はい」


「あー腰やべえとかなったりしねえの?」


「はい」


「想ちゃん、若いもんなぁ…」


「おう、そうか…考えてみればまだ17歳か」


「そうよ、犯罪よ千祐」


「…うるせえよ」


「あー…若いって素敵ぃー…」


「え?え!?」



わけもわからずに


そればかりを繰り返していると


千祐さんがけたけたと笑いながら言う。



「大方、コウコが燃え盛っちまって、兄貴に無理させたんだろ、兄貴可哀想ー」


「無理?」


「恋人同士が腰使ってやることって言ったら…なぁ?」


「あ…」


思い当たった行為に


俺の顔はみるみる赤らんでいく。



その様子を見つめて


にやつく千祐さんの肩を


凄まじい音で


叩き上げたコウコさんは


じとっと彼を睨んだ。



「違うわよ!昼から何セクハラオヤジ発言してるの?ピュアな想ちゃんを汚さないでくれる?」



へいへい、なんて


気のない返事をひとつ


千祐さんは


俺を見つめて噴き出した。



思わずつられて微笑むと


コウコさんは俺の両肩を掴んで


にこやかな笑顔を繕う。



「よかったね、想ちゃん」


「え…?」


「最初に会った頃よりずっといい顔してる。想ちゃんも千祐もね。本当の自分に近づいてきたんじゃない?」


「本当の……自分」



千祐さんが俺を引っ張ってくれて


俺は千祐を引っ張って


二人で階段を登るみたいに



一歩一歩、少しずつでもいい


本当の自分を目指して


歩み続けていきたい。




「俺……千祐さんとは、コウコさんと紗季さんみたいな、恋人になりたいです」


真っ直ぐに本音を吐露すれば


目を見張ったコウコさんは


頬を火照らせて千祐さんと


顔を見合せた。



「俺はー…嫌だぞ、兄貴の役なんて出来ねえからな」


悪態をつく千祐さんに


肘鉄を食らわせたコウコさんは



「ありがとう、想ちゃん。うれしい」


俺に屈託なく、笑った。




さぁ、俺も前に進まなきゃ。




「コウコさん」


俺は決意胸に、コウコさんを呼んだ。



「ん?……なあに?」


「実は……」






それから暫くして


紗季さんが到着した。



どうやら“ぎっくり腰”は


免れたらしい。



「ジジイだな」


千祐さんがいつも通り


紗季さんをこき下ろして笑う。



「うるせえよ」


紗季さんはコウコさんに


寄り添うように


支えてもらいながら


そう声を張った。



「さあて、準備はいい?」


コウコさんが、俺の肩を叩く。



「いつでも、大丈夫です」


迷いはないから。


だって、千祐さんがいてくれる。



俺は千祐さんの横顔を見つめて


いつも御守りにしてもっている、


未使用のデート券を


ポケットの中で握り締めた。






「みんなぁー、ちょっと注目してくれるー?」



コウコさんが手を叩いて


集まったメンバーに告げる。



みんな、何事だろうと


コウコさんを見つめていた。



「みんなに話したい事があるみたい、聞いてあげてくれる?」



そう言って、俺は


コウコさんと千祐さんに


背中を押してもらう。



そう、今日、俺は


本当の意味でのスタートを切る。




辺りを見渡す。



ここに居るのは


目に見える性別を


脱ぎ捨てた人ばかり。



性別のない人の集まりだ。



本当の性を目指して


旅をする仲間の集まりだ。



俺はここの一員になりたい。






「齋藤想、MTFです!いつか身体と心を一致させて、私は、綺麗な女性になりたいです!」






新たな一歩を……歩み出す


千祐さんと、一緒に。









RealMe 性別のない人

第一話~第二十四話(最終話)


完結




***


今まで本当にありがとうございました...♪*゚


当初から想と千祐を


読んでくれている方々が


自分の子どもや自分の友達のような


そんな感じで思える様な


親しみやすくて


可愛いキャラを目指して


書いてきました。


だんだんとコメントも増えて


想ー、千祐さあんって


言ってくれる方が増えていくことが


俺の喜びでした(*´ω`*)



鳥籠の方をご覧になっていた方は


ご存知かと思いますが


俺、幸介は想や虎太郎(コウコ)と同じ


MTFです。



女の子になりたい男の子です。



奈々は


俺が一時期付き合っていた女の子を


生き写させていただきました笑



別れ方はもっとひどかったし


今、どこで何をしているのかも


わからない。



でも、彼女は


俺はやっぱり


男ではいられないし


女の子でいることが


俺にとっての“普通”なんだと


教えてくれました。



彼女には


幸せになっていて


欲しいと思います。




はっ∑(。ω。`*)



えっと……( ੭⌯᷄ω⌯᷅ )


ごめんなさい、脱線を笑笑



もう1話か、2話。


番外編を軽く載せて


RealMe、本当の完結と


させていただきます...♪*゚




長い間、ありがとうございました



次は、Looking for Myselfの


にゃん編を完結まで持っていきたいので


応援、よろしくお願いします。


あ、それから新作も(*´ω`*)へへ




幸介

ひとひら☘☽・2020-05-15
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哀儚・2024-02-01
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気づきと発見が……。
きっと君は自分を取り戻せる。
新たな一歩を踏み出すことができる。
僕たち人間は、
自分で自分を決定する力を持っているのだから。

の~んびり。・2019-11-16
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絶望から、安全な所から、今までの当たり前から
色んな場所から
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瀬理 柊葉 / 海凪・2020-12-12
新たな一歩

数十年勤務してきた仕事を
退職するまであと10日ほど

やっと解放される気持ちと
やりきった達成感で満ちている

寂しさが全く無いわけではないけれど
後悔はしていない

新たな一歩
はじめの一歩

春に向かって🌸

逢魔・2022-03-20
退職
新たな一歩

ピンクの呼吸法の情報を手に入れました!

眠くなったけど、心が軽くなったよ(*^。^*)

恋が芽生えそう……。(≧∇≦)

桃菜・2020-10-31
新たな一歩
ゲット
心が
軽い


もう、貴方のことなど忘れて…

私も、新たな一歩を踏み出さなきゃ
いけないのに…



どうしても…
どうしても…

貴方のことが、
頭から離れてくれない。


貴方の顔も。声も。優しさも。
今もまだ、すべて覚えてる。

貴方の残像に、囚われたまま。










もう二度と、
逢えないかもしれないのに__。

*にゃんちむ* (一言、更新!見てね♪)・2019-12-09
忘れられない恋
もう一度…逢いたい
片想いのままで
失恋
新たな一歩
踏み出したい
踏み出せない

これまでの人生の
ページは破り捨てて
また、新たなページを
めくっていこう!

ERIKA・2020-03-21
人生
新たなページ
新たな一歩

不安で

不安で

どうしようもなくなった時

助けてくれるのは


仲の良い友達と

家族と

推しの存在だった。


でも

それらに執着しすぎてはいけない。


だって

それらがなくなった時、私は独りになるから。



仲の良い友達がいても、いつか別れがくる。
私だけのものではないから。


家族がいても、いつか別れがくる。
ずっと一緒にはいられないから。


推しがいても、いつか別れがくる。
推しの人生は、推しのものだから。



出会いがあれば、その分別れがある。
そんなことは当たり前だ。

マッシュルーム∞・2021-04-07
出会い
別れ
新たな一歩
不安

世の中にはこんな言葉がある。




「出逢った数よりさよならの数の方が多い
なんてことはないのだから」




これは、私が小学生の時に
部活で歌った曲の、歌詞の一節だ。

この曲を歌ったその日に、大好きで偉大な顧問の異動が発表されたのだった。


私はこの歌詞を
先生からのメッセージだと感じた。


最後にこの曲を選んだ先生のことを
もっと好きになった。


だから私は、先生になりたかった。




今日、私が新たな一歩を踏み出す場所は
先生になるにはほど遠い場所だけど
それでも、音楽に携わる人になるという思いは
子どもの頃から変わらない。

少し変わった、けど変わらない
子どもの頃からの夢を叶えるために

私は今日、新しい学校へ行く。




もちろん、不安だ。
不安でいっぱいだ。

自分の名前が"不安"になったんじゃないかと
思うくらいに不安だ。


けど、時間が戻らないことを知っている。
時間が進むことも知っている。


だからきっと、この不安も永遠じゃない。


だって




出逢った数よりさよならの数の方が多い
なんてことはないのだから。

マッシュルーム∞・2021-04-07
出会い
別れ
新たな一歩
不安
不安定
新生活

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