傷があれば治そうとするよね
傷口を洗って
消毒して
薬を塗って
絆創膏を貼る時もあるよね
かさぶたが出来て
痒みを我慢して
新しい皮膚ができるのを待つ
まだやわい皮膚が
周りの皮膚と変わりなくなるくらいまで待つ
そしてやっと治るの
私の傷は
治そうとして失敗したまま
ずっと放置してしまった
傷ができて
水で洗ったんだっけ?
消毒はしたんだっけ?
薬は塗ったのだっけ?
そういうのは全部、
おざなりに
そうしてしまったんだったか
絆創膏は一丁前に貼った
痛む膿とかさぶたを剥がした
かさぶたは乾いた
ずっと痒い
我慢なんか出来なくて
ずっと掻き毟って
捲り取ろうとした
痛みでやめた
傷を作り直そうとして
また失敗した
熱が引かない
膿の交じったかさぶたに
絶望しながら
どうやって治そうかと
いつの間にか形だけ考えるようになっていた
柔らかくて熱い皮膚をいじめた
痒みを誤魔化すためだった
かさぶたと膿をいじめた
痒みを誤魔化すためだった
痛かった気持ちばかりが大きくて
なんで怪我したのかとか
その時どう思ったのだかとか
もう分からなくなってしまった
この後どう生きるのかとか
対策とかも考えるのが嫌で
この痛みの他に
何も考えたくなくて
ずっと痛みに浸っていたんだ
私は傷の治し方と同じことをしているんだね
心よごめんね
ごめんねなんて
形だけだけだけどさ
下手とさえ言い難い
私は傷なんか
治そうとしちゃいなかった
1回間違っただけで
面倒くさがって
そんな自分を見られるのを
恥ずかしがって
やめてしまったんだよ
治そうとしている格好だけ
私に見せているだけなんだよ
母は言うんだ
私の傷が治したいのならって
「膿を掻き出す」
とてもとても痛いけど
かさぶたの中の膿がとれて
ちゃんと治せるようになるよって
時間はかかるけど
とっても痛くて苦しくて
息も涙も心も苦しくなるけど
膿を取り続ければ
治るようになるよって
私は怖気付いてしまった
ヘラヘラ笑って
やめておくって断ったんだ
延期して置くって
私が傷を直すのをやめたんだ
これ以上痛いのが怖かった
これ以上人に私の醜さを
見せるのが嫌だった
結果的にはあんまり変わらない
けど
この痒みのまま
痛みの中にいるままに決めたのは
私なんだ
慣れた痛みの方がましだなんて
全然マシなんかじゃないけど
弱かった自分を
いつまでもその弱いままの
新しい武器さえ持たない私は
この痒みと痛みを持ち続ける
この弱い所を投げ捨てて
振り返らずに走り去って戻らない
そう覚悟できないまでは
私はこのまま
生きていくだけなんだ
ああ、覚悟が出来なくて
意気地無しだと責め立てる私よ
優しくして欲しい
優しくしないで
認めて
認めないで
相反してばかりで苦しくて
痛くて痛くて悲しくて
どんどん細菌に侵されて
頭がおかしくなっていく
息が苦しい
涙が止まらない
それでも毎日毎日をやり過ごす
見切りをつけることが苦手な私は
色んなものを捨てるのが苦手な
私は
いつまでこの
早く捨ててしまいたい色んなものを
一番の痛みと傷と膿を
抱え続けるのだろうか