#走馬灯

蝉の泣き声

手を繋ぐ

走馬灯を見に

踏切の閉まる音

耳鳴りが止んだ時

貴方の声を想いだした

まるで走馬灯を見ているかのように、

君との思い出は消え去って、


恋心だけが、

僕の心に棲みついた＿＿。

｢走馬灯を見たい｣と願った

そこでしか君に会えないから

小説

サヨナラを残して、

僕は重力に身を任せた。





























自殺だと分からせるために、


真夏の屋上で靴を脱ぐ。


靴下も気持ち悪かったから、


一緒に脱ぎ捨てた。


セメントの屋上は鉄板のように熱い。


足の裏が焼けているようにヒリヒリした。



まあでも、これが最後の痛みだと思えば、


なんだかどうでも良くなった。






これから自分を死ぬのだ。



そう心で唱えても、

イマイチ実感はわかない。




何も無い人生だったな、と思う。



愛も、

友も、

物も、

思い出も。




実際あると迷惑なものばかりだから、

なくて良かったと最期は思う。



そんなものがあっては、


死んでも死にきれない。






やっと楽になれるのだ。



死への快楽を夢見てきた。



ずっと死に憧れていた。





天国とか、地獄とか、


数々の確かめようもない死後の世界を、


僕はようやく見ることが出来る。






ポコ、とスマホがなった。




おっと、危なかった。



スマホも一応置いといた方がいい。



飛び降り自殺だと、


誰だかわからない可能性もある。






焼ける足を動かすことなく、


スマホの中身を確認した。





［今どこにいるの、早く帰ってきなさい］





母親か。


僕はスマホを下に落とす。




帰って何がある？



暴力、

暴言、

今日はどっち？





「ははっ」


嗚呼、可笑しい。





虐待する父親、


見て見ぬふりの母親。





死んでしまおう。





空は快晴。


死ぬには丁度いい。






鳥の鳴き声、


風の囁き、


太陽の導き。



ほら、全てが僕を誘ってる。






やっと眠れる。


もう、痛みに苦しむことは無い。






















「サヨナラ」




仰向けに、


僕は重力に身を任せた。










死に際には走馬灯を見ると聞いた。



ああ、そのメモリーさえ、僕は無いのか。













サヨウナラ、空っぽの人生。















END

僕　未　　
は　だ　　
雫　残　　
を　る　　
溢　君　　
す　と　　
だ　の　　
け　走　　
　　馬　　
　　灯　　
　　に　　

懐かしき風景は不思議で

二度と見ることが

出来なくとも思い出の

断片でさえ走馬灯の

様に鮮やかに蘇ってくる

現象は惜春のよう

いつかはかならず
あなたに会える｡

どんなに遅くとも､
死の直前になって
走馬燈が走りだす頃には｡



人生最期の走馬燈､それは
この世とあの世が混ざりはじめて
いるということなのだから､
あなたの姿ははっきりとわかる｡

そのときは絶対冷たくされないし､
言葉を交わす必要もない｡
最期のお迎えはあなたがきてね💕

｢本当にいらないの？｣

仮面を被った君は

消え入りそうな声で

僕らの命を視てた

願うのは

君の走馬灯に出る人物が

私だけであるようにと

風を切る音と共に浮かぶ

私の走馬灯はきっと貴方だ

君の事をどれだけ忘れようと

死ぬ瞬間だけは

すべて走馬灯として、追憶の中で眠りたいよ

キミとの想い出が走馬灯のように駆ける

君の走馬灯に僕が映る確率は
何%ですか

いつかの走馬灯を追いかけて

君は美しい空へと飛んだ