NOTE15 書くとココロが軽くなる はじめる

#黒の組織

読んでると、
思わず胸がギュッとしめつけられる、
そんなポエムを集めました。

全18作品 ・








STRAWBERRY MOON
特別編
















嘘 4

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
NOSide
AM4:10

夜が明け始める少し前。

華帆は目を覚ました。


腰に奔る痛み。

首元と胸元に赤くついた彼からの印。

全て、忘れなければいけないこと。


隣に眠る彼を見る。

交わってはいけないのに、私は彼を求めた。

……赤井さんを裏切った。

許してもらおうなんて、そんな軽いものなんかじゃない。
許されないこと。

それでも、拒もうとしなかった。


ジ「…華帆、」

目が覚めたのか、薄く目を開けたジンに腕を引かれた。

そして、抱きしめられる。

その温もりに応えるように、華帆は腕を回した。


ジ「…帰らねぇのか?」
『……帰れない、』
ジ「……」

薄く肌に触れる雫。

華帆は泣いていた。

目元を赤くしながら、声を殺すように泣いていた。

『……ごめんなさい、』
ジ「……なぜ謝る」
『…私は、誰かを傷つけることしかできない、』
ジ「……」
『…ジンさんのことも、私は、』

華帆の顔を上げさせる。

俺を見上げるように見つめている。


ジ「……利用したってことにしておけ」
『え、?』
ジ「……俺はお前に傷つけられた覚えはない。…勝手に一人で決めつけるんじゃねぇよ」
泣くな、そう言って涙を拭った。

彼なりの優しさか、その言葉に涙が溢れた。

『ジンさん、』
ジ「……」

彼は私に口づけた。

優しく、…でも深く。

顔が離れると、二人の間に銀の糸が見えた。

ジ「…浮気なんて勘違いするな。…俺達は互いに愛してなんかいねぇ」



そう、浮気なんかじゃない。

身体だけの関係。

互いに心なんてない。

そう偽って、現実から逃げればいい。


ジ「……」

華帆に覆いかぶさり、口づける。

最後まで堪能したかった。

もう、これが本当に最後になる。


偶然でも、必然でもない。

俺達を引き合わせたのは、この世に本当にあるかもわからない運命なのだ。


ジ「……次目が覚めるときは、俺はいない」
『……置いてくんですか、あの日みたいに、』

その言葉に目を逸らす。

こいつの側にいるのは、俺ではない。
こいつだってわかってるはずだ。

彼女がかけているシーツに手をかける。

ジ「……俺は、お前とはいられない」

華帆は顔を歪めた。

ジ「…最後だ、これが本当にな」
『…ジンさん、』

首に手を回してきた。

受け入れるのは、拒まないのは、。

問うこともせず、首元に吸いつく。

小さく反応する華帆をさらに攻める。

涙が滲む瞳。

吸い込まれそうなくらい深い黒。
純粋さがまだ残る彼女。

ジ「…お前は俺を愛せない」

口をつぐみ俺を見た。

華帆の瞳から涙が零れた。

ジ「…忘れろ、…わかったな?」
『……そんなの、無理だって、わかってますよね、』
ジ「……」
『…ずるいです、あなたは、』

涙を浮かべ、俺にそう言った。

……ずるい、か。

ジ「……罪悪感はないのか、あの男に」
『…っ、』
ジ「…あるのにも関わらず、他の男に抱かれるなんてな。…俺に期待させるお前もずるい女だな」

頬に手をあてる。

ジ「…抱いてほしいのか?」

そう問いかけると、少しの間の後、彼女は頷いた。

それに薄く笑う。

ジ「…華帆」
『…』

瞳を歪めた。

迷いのあるようなそれに気づかぬふりをし、口づける。

『…ジン、さん、』

呼び声に応えるようにもう一度口づけた。


夜が明け始めた。

別れまでの少しの時間、俺は華帆を求め続けた。


















AM6:20

微かに目を開ける。

カーテンの間から覗く眩しい太陽の光。

鳥のさえずりとシャワーを浴びる音がする。


左指を見ると、はずされたはずの指輪がつけられていた。

彼がつけてくれたのだろう。

本当に別れを意味しているということに、私はどんな顔をすればいいのかわからなかった。

私用に、と棚の隅に置かれた丈長めのパーカーを着て、再び寝台に腰掛けた。

シャワーの音が止み、浴室に続くドアが開いた。

ジ「……起きたのか」
『…私が起きてない時に帰るつもりだったんですか?』
ジ「…さあな」

まだ微かに髪が濡れている。
彼は私の隣へ腰掛けた。

そして私の腰を引き寄せ口づける。

その慣れたような行為になぜか気持ちが揺らいだ。


『……ジンさんって、慣れてますよね、こういうの、』

その言葉に驚き華帆を見る。

ジ「……てめぇに何がわかる」
『…なんとなくです』
ジ「…慣れてようが、関係ない」
仕事をするだけだ、そう言い、すぐ側にある煙草を手にとった。

『……仕事、ですか』
ジ「……なんだ、」
『…好きでもない人とそういうことしても、何も変わりませんよ、』
ジ「……」
『…嫌なら、断ればいいのに、』
ジ「…断らねぇだけだ」
『…え?』

煙草に火をつける。

煙が宙を舞う。

鼻をくすぐる匂い。


ジ「…好きでもねぇ女抱いて、それで欲を満たす、…男なら誰でもすることだ」
『そんなこと、』
ジ「ないって言えるのか?……お前のこともそう考えて抱いてるとしたらどうだ?…確実にないなんて言えるわけが」
『私のことも、ですか?』

言い終わる前にそう華帆は言った。

華帆の顔を見る。
俺は息を呑んだ。

彼女の頬に涙がつたっていたのだ。

『…なんとも、考えてなかったの?』
ジ「……華帆、」
『…私は、ジンさんのこと、』



“軽い気持ちで考えてないですよ”



消えいりそうな声でそう言った。

目を見開く。

軽い気持ちではない、か。

俯きながら泣く華帆に手を伸ばそうとした。

だが、寸前でその手を止めた。

…このままでは、確実に戻ることができなくなる。


ジ「……」
『…ジンさんは、私のこと見てはくれなかったの?』

答えられない。

真実も、嘘として偽らなくてはならない。

『…なんで、何も言ってくれないんですか、?』

止まらない涙を拭っている。

その姿に俺は何もしなかった。

することができなかった。


ジ「……愛も、言葉も、全て嘘の塊なんだよ、」

呟いた言葉は決して思ってはないこと。

華帆を前にしては思わなかったこと。

『……それが、ジンさんの本音ですか、?』

ジ「……ああ」

『………嘘つき、』

投げやりに呟く。

…わからなかった。

彼が本当は何を思っているのか。


私は私自身の気持ちには気づいていた。

初めて彼に会った時、…その時から私は一度も彼を忘れたことはなかった。

忘れられなかったのかもしれない。

特別な感情なんて芽生えてはいけなかったのに、。
赤井さんを、裏切るという意味だともわかっていたのに、。



ジ「お前はどうしたい、…」

頬を微かに擦れた指。

返事に迷い目を逸らす。

『……わからない、』
その言葉に彼はそうか、と呟いた。


ジ「………そろそろ帰れ」
『…でも、私は、』
ジ「…殺そうと思えばお前も殺せるということを忘れるな」

銃口を向ける先は華帆の額。

その行動に瞳が揺れる華帆。

これ以上俺とは関わってはいけない。

どんな風に思われようが、俺はこいつを突き放す。


持ちなれたはずのベレッタは不思議と重かった。

ジ「俺の気が変わらない内に消えろ」
『…ジンさん、』
ジ「……目障りだ、…帰らないと殺す」
『……ジンさんは、そんなことしない』
ジ「…俺は殺るときは殺る」
『…そんなことない』


『…こんなの向けないでください、ジンさん、』

ジ「っ、」

怖がっているはずの彼女は、ベレッタをそっと握った。
悲しそうに俺を見ている。

『ジンさん…』
ジ「…チッ、…ふざけるな」

彼女を押し倒す。
胸元に銃口を押し付けた。

ジ「…俺はお前が思っているような善人じゃねぇ」
『…』
ジ「優しい?…ふざけるな、何を馬鹿なことを言ってる。少なくとも一人、てめぇの目の前で男を殺したことだってある。疑わしきは罰する、俺は組織の為ならこの身を捧げる。………俺はお前を殺せる」

何も言わず、俺を見ている。

ジ「…早く消えろ、この場から」

壁にベレッタを向け、一発打ち込んだ。
空いた穴から煙が出ている。

『…っ、』
ジ「……次はお前の頭だ」


ここにいるのは本当の彼?

今まで見ていたのは偽りの彼?

私を愛してるって言ったのは、どっちの彼?


服の上からでもわかる銃の冷たさ。
そして、私を見つめる瞳。

言葉の本気さに、身が震える。

ジ「…忘れろ、俺のことも、今まであったことも」

ずるい言い方。

そんなのできないことくらいわかっているだろう。

なのに、彼はそう言って私の心を締め付ける。


どこか悲しそうなのは気のせい?

彼が本当に愛してくれているのなら、応えられるものなら応えたい。

『…好き』
ジ「っ、」

不意に言葉にされたそれ。

ジ「……やめろ、反吐が出る」
『……』
ジ「…あんなの嘘だって、わかんねぇのか」

強く言った言葉とは裏腹に、銃口は華帆の胸元からはずれ、寝台のシーツの上へとずれた。

ジ「……消えろ、」
『…ジンさん、』
ジ「…頼むから、消えてくれ」

初めて聞いた彼の弱い声。

悲しみのあまり涙が出た。

ジ「…お前は組織からはまだ認識されていない。…今のうちに早くこの場から去れ」
もうすぐ組織の奴が迎えに来る、そう言うと彼は私から離れた。

私を逃がそうとしてくれているのだ。

それは不器用な彼なりの、私に対する最後の優しさなのだろう。

ジ「…いいか、俺が指示したら1階に降り、裏口から出ろ。…真っ直ぐ通路を行くと大通りに出る、……後、40秒だ」

時計を確認し立ち上がった。

ジ「…35秒」
『…いいんですか、貴方は、』
ジ「……30秒」
『…組織の為なら、私を逃さないほうがいいのに、』
ジ「…25秒」
『…なんで逃してくれるの?』
ジ「……20秒」
『…ジンさん、』
ジ「……」

カウントダウンをやめた。

時計と見つめ合ったまま、彼は何も言わない。

『……私のこと、本当はどう思っているんですか、?』

ジ「……」

背を向けたままの彼にそう聞く。

『…嘘なんて、聞きたくないです』

ジ「……」

知りたい。
…これで別れならなおさら。

偽りの言葉じゃなくて、本当の彼自身から。

『…本当のこと、言って、』

私は、貴方にとって何なのか。


彼は私に近づくとそっと口づけた。


ジ「……これが答えだ、」

彼の後ろに見える時計の長針が、40秒を指した。

ジ「…帰れ」
『…っ、』

彼は鍵に手をかけ、部屋のドアを開けた。
真剣な眼差しが私に刺さる。

口づけが答えなんて、あまりにももどかしい。

それでも、もう聞くことはやめた。

『……さよなら、…ジンさん、』

別れなんて惜しんでいたら、きっと戻れなくなる。
だから一言だけの別れを告げた。

そして後ろを見ず、エレベーターに乗った。

エレベーターの扉が閉まる音が聞こえたと同時に泣いた。
頬をつたう涙を必死に拭いながら、今まで胸に秘めていた想いを全てさらけ出すように……。

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冬みかん🍊・2021-04-18 #赤井秀一 #ジン #黒の組織 #名探偵コナン #オリジナル #小説 #STRAWBERRYMOON #特別編 #4








STRAWBERRY MOON
特別編



















嘘 2

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
NOSide
PM6:30

人が賑わう夜。

あるホテルで行われたパーティー。

そこに一人、黒いドレスを着て、菜々を待つ華帆の姿があった。


『…菜々どこかな、』
待合場所はここのはず、そう思いスマホを見つめる。
確かに数時間前、ここに集合とメールが来ていた。

間違いないと周りを見渡し菜々を探す。

『あ、菜々』
菜「華帆ー!」

自分に駆け寄る菜々に頬を緩める。
相変わらず元気でかわいいと思った。

菜「ごめんー、待った?」
『ふふ、ちょっとね』
菜「許して、ドレスに悩んじゃったの、」
『……ちょっと、派手目?』

今日の菜々の格好。
前回より少し派手目の赤いドレス。
まぁ、似合ってはいる。

菜「ふふっ、男をすぐ落とせそうでしょ?」
『もう、菜々』
彼女の言葉に笑う。
自然でいれるのも彼女だからだろう。

菜「でも残念だな、赤井さんに会いたかった、」
『菜々には蒼夜さんいるでしょ?』
菜「……それがね、ちょっと聞いてほしいことがあって、」
少し華帆から目を逸らした。

菜「……蒼さんのことなんだけど、、」
蒼「あ、いたいた。菜々」

何か話そうとした菜々の声は、蒼夜によって遮られた。
彼に呼ばれ二人は振り向く。

『…こんばんわ』
蒼「こんばんわ、華帆さん」
菜「…仕事の方との話は終わったの?」
蒼「え?…ああ、今度共演のときはよろしくって」

さすが俳優、キャスター、様々な仕事をこなすだけある。
有名人は大変だ、と華帆は思った。

そんな華帆とは変わって、菜々は複雑そうに顔を歪めていた。




蒼夜はワイン、華帆達はジュース。
それぞれグラスを交わした。

蒼「…そういえば、彼は今日来ていないのですか?」
『赤井さんですか?今日は仕事で、』
蒼「そうなんですね」
菜「夜桜ちゃんは?」
『おじさんに預けてるの』
菜「相変わらずおじバカ?」
『うん、本当の父親みたいにね』

菜々との会話に花を咲かせていた時、

??「あら、平蒼夜さん?」

ブルーのドレス、レースのロング手袋をした外国風の綺麗な女性が話しかけてきた。

蒼「え?…そうですけど、……貴女は?」
??「私、映画のプロデューサーをしていまして、」

ポーチから取り出した名刺を蒼夜に渡し微笑んだ。

風「瀬名風花(セナ フウカ)と言います。…次に出てもらいたい映画のことでお話、どうですか?」
蒼「他にも呼ばれていて、返事遅くなるかもしれないんですよ」
風「お話だけでもいいので、」
蒼「…話だけなら、」

菜々にできるだけすぐ戻る、と言いプロデューサーと言う彼女について行ってしまった。

それを悲しそうに見ている菜々に華帆はそっと声をかける。

『…大丈夫?』
菜「……さっきもそうだったの、」
『え?』
菜「…女の人の誘い断らなくて、私を置いてお酒飲んでた」
『……菜々、』
菜「…愛されてても、なんか、実感できない」

下唇を噛む彼女を華帆は心配そうに見つめた。

菜々をこんなに悲しめるなんて、…もう少し考えてほしい。
あれだけの人だ。
女の扱いなんて一般よりはしっかりしてるはず。
彼女を悲しませないようにすることなど、考えればできるはずなのに。

そんな華帆の心情に気づいたのか、暗い話してごめん、と菜々は微笑んだ。

菜「あっちにケーキあるの、行こっ?」
『…うん』

手を引く彼女に何も言わず着いていく。
辛いときも、いつも笑顔でいる彼女。
私にはない強さがある。

こんな時にこそ、そばにいてあげたい。


菜「おいしそ、食べよ?」
『うん!』

微笑む彼女に微笑み返す。
友達だからこそ、今自分ができることをしたい。

綺麗なケーキが並んでいる。

二人はそれぞれ手に取り口に運んだ。

『おいしい!』
菜「ほんと、おいしい!」

二人でいると自然と笑顔になれる。
互いの心が、互いで埋められているのだろう。

その関係が、友から親友に変わったのだ。
まだ高校生の時の、二人は。












PM8:10

『…食べすぎた、』

椅子に座りお腹を擦る華帆。

その隣で口を抑える菜々。

菜「…やばい、調子に乗りすぎた、」
『…トイレ行く?』
菜「うん、行こ、」

会場から出て、二人は廊下の突き当たりにあるトイレへ向かった。

会場からあまり人は出ていないらしく、トイレには人はいなく、廊下も数人ほどしか歩いてはいなかった。





数分後

『菜々ー、先に廊下出てるよ』
菜「わかった、」

辛いらしく、トイレに籠もりっぱなしの菜々にそう告げ廊下へでた。

人が多い会場とは違い、人が少ない分、空気が澄んでいた。

『…それにしても、広いな、このホテル』

35階まであるこのホテル。
高いだけでなく、一つ一つの階が広かった。

少し周りを見てみようと辺りを歩いていると知ってる後ろ姿が見えた。

『……蒼夜さん?』

どこへ行くのか、会場から遠くへ歩いて行く彼を不思議に思い、華帆は蒼夜のあとをついていった。


エレベーターに乗った彼は、現在の階、14階から32階へ向かった。
その後を追うように、次のエレベーターへ乗って彼を追いかけた。

先に会場に戻っていて、と菜々にメールをして。


さすが高層ホテルのエレベーター。
早くも32階へついてしまった。

どこへ行ったのか、適当に廊下を曲がると、蒼夜を見つけた華帆。

彼は、一つの部屋の前で立ち止まりスマホを触っていた。
声をかけようとした華帆だが、次の光景に息を呑んだ。

…廊下の突き当りから出てきた女と彼はキスをしていたのだ。

しかも、先程見たプロデューサー、瀬名風花と名乗る女と。


風「…行きましょ?」
蒼夜の手を引く風花。

拒もうとせず、部屋へ入ろうとする蒼夜に華帆は駆け寄った。

『蒼夜さんっ!』
蒼「!華帆さん?!」

驚く彼を無視し、部屋から離れるように手を引いた。

風花は驚くように華帆を見ていた。

だが、そんなのも気にせず華帆は蒼夜を連れ廊下の角に連れてきた。
人通りはなく、廊下には蒼夜と華帆だけ。

『…何してるんですか、』
蒼「…仕事の話だよ。とっても重要なことだってね」
『……本当ですか?』
蒼「…本当だよ」
『…キス、していたのに?……菜々のこと、悲しませるようなことしないでください、』

華帆の言葉に口を閉ざした。

華帆にはわかっていたのだ。
今、あの女性と部屋に入り何をしようとしていたのか。

それが、菜々を裏切ることだと。


『……なんで、こんなこと、』
蒼「……売れたいなら、抱けって、言われたんだ」
そんなの間違ってるなんて、わかってた、そう呟いた。

『…他の女の人と、仲良くしてたのは、?』
蒼「あんなの、ただ形だけ。…俺は菜々を悲しませたいわけじゃない」
『……でも、勘違いさせてますよ?』
蒼「…わかってる。…でも、仕事を優先させちゃってね、」
『……菜々は、蒼夜さんを信じたいはずです。…そんなことしたら、菜々を裏切ることになります』

目の前の蒼夜の目を見つめる華帆。
どれだけ真剣に菜々のことを考えているのか、蒼夜にはすぐにわかった。

そんな華帆に蒼夜は口を開いた。

蒼「……ありがとう、華帆さん」
菜々の所へ行かないと、そう思い蒼夜は華帆に礼を言い、菜々が待つ会場へと足を走らせた。


二人にはいつまでも幸せでいてほしい。

そう思いながら、華帆も会場へと行こうとした。

だが、誰かに後ろへと手を引かれ、壁へと押さえつけられた。

『っ!』

目の前の人物に目を見開く。

『…なんでここに、』


懐かしい煙草の匂い。

頬をかすめた銀の髪。

別れも告げず、どこかへ行った人。


『…ジンさん、』

声にならないような声でそう言った。
薄くかすれた声は、彼に聞こえただろうか。

ジ「……なぜ、お前がここにいる」

低い声でそう言った彼。

『……友達に、誘われて、』
ジ「なぜこの階にいる」
『……知り合いが、この階に来てて、…それで、』
だんだんと声が小さくなっていく。

自分の手を掴むジンの手に力がこもる。
怒っている、と華帆は思った。

ジ「……知り合いの男は、平蒼夜か?」
『え?…そうですけど、』
ジ「…チッ、…面倒くせえ、」

ジンはスマホを取り出し電話をかけた。

ジ「……任務は中止だ。…ターゲットに逃げられたんじゃこれ以上長居はできねぇ」
??「…わかったわ」

スマホからは女の声。

ジ「…来い」

何も言わない華帆の手を引き、廊下を歩き出した。


なぜここにいるのか。
任務とはなんのことだろうか。
ターゲットって、。

疑問はあるものの、華帆は何も言うことなく、ジンに手を引かれるがまま、廊下を歩いた。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
NOSide
PM6:00

会場に使われるホテルの前。

路上に一台のポルシェが止まっていた。


ウ「楽しんできてくださいね」
べ「あらウォッカ、貴方も行きたかったかしら?」
ウ「よしてくださいよ。死人が出るパーティーになんて行きたいとは思えないですよ」
そうウォッカが応えると、ベルモットは高らかに笑った。

べ「安心して。ホテルの部屋で、綺麗に死なせてあげるから」
ウ「でも、その変装で大丈夫なんですかい?」
べ「ええ、映画のプロデューサー、瀬名風花っていう架空の人物になったけど、今回のターゲット、若い俳優なのよ?仕事欲しさに喰いついてくるわ」
ジ「…男がベルモットに喰いついた所で、俺はそいつの女を誘き寄せるってことだ」
ウ「フッ、邪魔者がいなくなるってことか」

さすが幹部達。
全て計算している。

成功なんて目の先だ、そうウォッカが思っていると、ホテルの扉が開いた。

ぞろぞろと客たちが入っていく。

べ「…そろそろね」
ジ「わかってるな、32階へ誘導するんだぞ」
べ「わかってる。連絡するわよ」
ジ「ああ」
べ「じゃあ、また後で落ち合いましょ」

ヒールを鳴らし歩いていったベルモットをジンと二人で見送った。

ジンは煙草に火をつけ、ホテルに入っていく人々を見た。
ベルモットからの連絡が来るまでの時間、大人しく待つことにしよう、そう思い目を閉じた。















PM8:30

ブッブー ブッブー、

スマホがなる。
ベルモットから連絡が来たのだ。

内容を確認する。

【ターゲット、32階に呼んだ。
そろそろ来て。
Vermouth】

ジ「…車はここに止めておけ、…怪しまれるなよ」
ウ「了解」

車を出て、ホテルに入る。

人が少ない廊下を歩き、エレベーターに乗り込む。
ターゲットとベルモットがいる32階へと向かった。

ブッブー、ブッブー、ブッブー

ピッ

ジ「…どうした」
べ「問題発生。邪魔者が入ったわ」
ジ「誰だ」
べ「女よ」
ジ「女?」


32階へつくと、ベルモットが待つ部屋の前まで来た。
部屋の前には壁に寄りかかっている女が一人。
ベルモットだ。

ジ「ターゲットは、」
べ「連れてかれちゃったわよ」
ジ「チッ、どこへ行った」
べ「あっちの方に行ったわ」
ジ「お前は先にウォッカの所へ戻ってろ。さっきの場所に止めてあるはずだ」
べ「…わかった」

ベルモットが歩き出す反対側へとジンは向かった。

しばらくすると、廊下の角から物音がした。

ベレッタを手に持ち、様子を伺う。

そこにはターゲットと一人の女がいた。
後ろからで女の顔は見えない。

『……菜々は蒼夜さんを信じたいはずです。…そんなことしたら、菜々を裏切ることになります』

この声、。

ハッとし、女を見つめる。

蒼「……ありがとう、華帆さん」
礼を言った名前に驚く。

なんで、あの女がここに、。

エレベーターの方にかけて行った蒼夜の後ろ姿を見ている華帆。

歩き出そうとした華帆の腕をジンは無理やり掴み、壁へ押し付けた。

驚いたように自分を見つめる女に、ここにいる理由、何をしていたのか、いくつか問いただした。

詠んだ通り、この女は変装したベルモットからあの男を引き剥がしたのだ。

だが、任務の失敗への怒りより、死人が出るはずだったこのエリアに華帆がいるのに対しての怒りの方が強かった。

ジンはベルモットに連絡すると、華帆の手を引き歩き出した。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーNEXT

冬みかん🍊・2021-04-15 #赤井秀一 #ジン #黒の組織 #オリジナル #小説 #STRAWBERRYMOON #特別編 #2

これらの作品は
アプリ『NOTE15』で作られました。

他に18作品あります

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STRAWBERRY MOON
特別編
















嘘 5

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NOSide


“…罪な女だな、”



“……華帆、”





PM5:40

目を開ける。

パーカー越しに身体に触れる布団をどけ、上半身だけ起こした。

いつの間に、彼の家に?

ここはよく知る赤井さんの家の寝室だ。


カーテンの隙間から見えるのは西日、…今は夕方だった。





エレベーターから降りたあと、私はジンさんに言われたとおりホテルの裏口へ行った。

悲しみのあまり、涙で前が見えにくかったのを覚えている。

涙を拭いながら歩いていて、前をちゃんと見ていなかったからか、私は男の人にぶつかってしまった。

怒鳴られたうえ、来いと言われ腕を取られた時、怖さと疲れが同時に来て気を失ってしまったのだ。


最後に覚えているのは、優しい温もりと、懐かしいニット帽だけだった。




記憶をたどり、導いた答え。
彼が私を見つけ、家へと連れてきたということ。

1階から聞こえる料理をする音。

今はどうしても、自分から顔を合わせることはできなかった。

逃げるように寝台から立ち上がると、華帆は隣の部屋、夜桜がいつも寝ている部屋へと入った。
この時間帯なら、夜桜は寝ている頃だ。



手すりを握り、部屋へと入る。

小さなベットからは規則正しい寝息が聞こえた。

側へ寄り、夜桜の小さな手を握る。

彼に対する裏切りと、一人の子供の母親でありながら最低なことをした自分に嫌気がさし俯いた。

ポツ、ポツ、と夜桜のベットにシミができていく。

『……ごめんね、』

こんな私を許して、夜桜。


握る手に力がこもってしまう。
それに反応するかのように手が動く。

驚いて夜桜を見てみると目を開けて私を見ていた。

夜「?」
『…起こしちゃってごめんね、』
夜「…マーマ、」

そっと不器用に頭を撫でられた。

赤井さんがよくやることを真似しているのだろう。

それが心地よく、夜桜のベットに顔を伏せた。

時が経つのと同じくらいに、私は眠りについた。



頭に乗せられた手が、いつからか夜桜のものではなく彼のものに変わっているのには気づかず、深い眠りについていた。













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NOSide
AM7:10

『はぁ、はぁ、』

裏口に出た。

別れが辛いなんてわかってた。
でも、それを実感すると想像以上に心にきた。

止まらない涙を拭う。

彼が言ったとおりに真っ直ぐ大通りに続く道を歩く。
視界が涙でぼやけている。


バタッ


『っ、……あ、ご、ごめんなさい、』

前から歩いてきた男とぶつかってしまった。
衝撃で尻餅をつく。

男「チッ、ふざけんなよ!」
『っ、』

腕を掴まれ立たされた。

男「怪我したらどうすんだ?あ?」
『ご、ごめんなさい、』
男「…許してほしいなら、ちょっと来てもらおうか?」

気持ち悪く笑う男に足がすくむ。

いきなり、恐怖と疲れがやってきた。
息が詰まり、頭痛がする。

目を閉じたと同時に華帆は気を失った。


男「…気絶、したのか?…フッ」
一瞬戸惑うが、また薄く笑い華帆に触れようとした男。

せっかく会った女で少し遊んでやろう、そう思いパーカーに手をかけようとした。

だが、それは制された。

男は背中に手を回され身動きが取れなくなった。

男「な、なんだ、」
「……」
男「…ふざけんなよ、誰だてめぇ」
「…彼女の知り合いだ」
男「あ”?」

睨みを利かす男に動じず、赤井は言った。

「……消えろ、この場から、…すぐに」

男「っ、」

少しの沈黙の後、赤井の圧に耐えかねた男はその場を早足で去った。


男が行った先を見つめた後、赤井は壁にもたれ気を失っている華帆の前にかがんだ。

頬に涙の跡。
そっとそこに手を触れる。

「……君は、罪な女だな」

そう呟くと、華帆を抱え歩き出した。

『……あか、い、さん、』

呼ぶ声に足を止める。
彼女を見るが、眠っていた。

「……華帆、」

俺はどんな顔をすればいい。

信じていたかった、。
絶対に奴の所へは行かないと。

その望みは悲しいくらいすぐに砕け散った。


高望みはするべきではないな、と薄く笑い再び歩き出した。
彼女が本来帰るはずの自分の家へと。










ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
PM5:35
NOSide

トン、トン、トン、トン

静かなキッチンに響く野菜を切る音。

華帆を2階の寝室に寝させた後、赤井は一人夕食の支度をしていた。


「……、」

不注意なことに包丁で指を切ってしまった。
幸いにも浅い切り傷ですんだが、慣れたことでミスをするのは珍しかった。

ずっと華帆のことで悩まされている。

何を思い、誰を想っているのかがわからなかった。


できた料理をテーブルに置き、華帆と夜桜の様子を見に2階へ上がった。


「……?」

寝室を開け首を傾げる。
華帆がいなかった。

廊下へ出ると、隣の部屋の扉が微かに開いていることに気づいた。

近寄り、中を覗く。

夜桜の寝る寝台。
側に彼女の影がある。

華帆はそっと夜桜の手を握り、俯いた。

『……ごめんね、』

そう言った彼女を見つめる。

心からのそれに、俺はその場に立ち尽くした。

声をかけることも、動くこともせず、夜桜のベットに伏せた彼女をただひたすら見つめていた。




華帆の友人、菜々から華帆が消えたと連絡がきたのは昨日の夜遅く。
菜々から蒼夜に電話が代わり、ホテルの32階で会ったのが最後だと言うのを聞いた。

どこへ行ったのか、GPSが示したのはパーティー会場とは別のホテル。
まさか、と思い防犯カメラを調べるが、運悪く死角で彼女の姿、一緒にいるかもしれない人物の姿さえ確認はできなかった。

相当厳重な警備の建物。
ただのそういうことをする為のホテルではなさそうだ。

もし組織の何かがあるのだとしたら、彼女は奴と、。

朝が来るまでホテルを見張り続けた。
だが、彼女は出てこなかった。

帰ろうと歩き出したとき、ホテルの裏口から物音がした。

様子を伺いながら近づくと、そこに華帆がいたのだ。




眠ってしまったのか、顔を伏せたまま動かない彼女に近づく。

夜「…とー、」
「……大丈夫だ」

心配そうに俺達を交互に見る夜桜に微笑む。

先程まで夜桜がしていたように、彼女の頭に手を置いた。

怒りなんかよりも、悲しみのほうが大きい。

裏切られたなんて、思ってはいない。
攻めるつもりなんて、尚更ない。

「…少し、待っててくれるか?」
夜「…」
夜桜は小さく頷いた。

それを確認し、華帆を抱え寝室に運んだ。


起こさないようにそっと寝かせる。

出逢った頃と変わらない幼い寝顔。
少し赤い頬に触れる。

「……華帆、」

俺はどうすればいい?

問うように口づける。

何度も、何度も、華帆を求める。


『…ん、…赤井、さん、』

薄く目を開けた。

目の前には悲しそうな瞳の彼。

「……起こしたか、」
すまない、そう言って身を離した。

顔を背けた彼。

私のせいでどれ程傷ついたのか。

最低な自分が嫌になる。

『……ごめんなさい、』
「…」
『…自分勝手なことして、…赤井さんを傷つけて、』
「……連れ戻した、…君はどこにも行かない」
『…でも、わたしは、』
言い終わる前に彼は私に口づけた。

『…っ、』
何も言わせない、そう言われてるかのようだ。

「…怒ってない、攻めるつもりもない」

ただ、華帆の本当の気持ちが知りたい。
それだけのこと。

「……君は、誰を想っている」
『え、?』
「…少なくとも、今の君の心には俺以外の男が一人いる」

そうだろ、華帆。

だから、拒まなかった。

一緒にあの場所へ行った。

あの男と、。



「……ジンと、会ったんだろ?」
『…っ、』

否定しないということは、俺の読みは当たっていたということだろう。

「…抱かれて、君はどう思った」
『…なにも、』
「嘘なんか聞きたくない」

顔を背けようとする華帆を押さえる。

それでも口をつぐんでいる。

揺らぐ瞳は俺を見てはいないのか?

「……華帆、」
『………っ、』

私を呼ぶ彼の声。
悲しそうな目で私を真っ直ぐ見ている。

吸い込まれるかのようなそれに、目を逸らすことなどできなかった。

「……拒まないと、俺はこのまま、」

私に覆いかぶさり、服に手をかけた。

『…、』
「…無理やりはしたくない」

傷つけてもなお、彼は私を見てくれている。

その気持ちに涙が零れた。

『っ、…赤井さん、ごめんなさい、』
「……」
『…私は、赤井さんのこと、傷つけたくなんかなかった、…なのにっ、』

自分勝手で、どうしようもない私は、やっぱり誰かを傷つけることしかできなかった。

目の前のことしか見ていなくて、周りのことを考えない。
最低な人間だ。


『…ごめんなさい、』
「……」

謝る彼女を抱きしめる。

謝ってほしいわけではない。

泣くところも見たくない。


すれ違いなんて何度もあった。
それを何度も乗り越えた。

彼女を誰にも渡したくない。

傷つけたくない。

……だから、俺は華帆を守りたい。


腕の中で泣く彼女を抱きしめる手に力を籠める。

「…正直、…信じていた」
『…、』
「…いや、違うな、……今も信じている」
『……』
「…君は、俺では不満か?」

その言葉に首を振る。

不満なんて、思えない。
思うわけがない。

『……私は、赤井さんがいい、』
「…」
『…赤井さんを傷つけて、悲しませて、それでも、私を思ってくれる赤井さんが、好き、』

その言葉は嘘ではないか?

揺らがず俺を見る瞳。

フッ、と口端が上がる。

「…その言葉、忘れるなよ?」
『…はい、』

「……夜桜の所に行ってくる」

彼女を求めるのは、夕食の後にしよう。

ただ、少しだけ求めても悪くはないだろう。

顔を近づけ、そっと口づける。

「……愛してる」

顔を赤くする華帆に微笑み、隣の部屋へと向かった。


部屋のドアが閉まる。

『……私も、愛してます、』

静まり返っている寝室に木霊する声。

カーテンの隙間から夕日が垣間見える。

窓辺に近寄り、夕日を眺めた。


『……ジンさん、…私は、貴方を愛せなかった、』

手すりにかけた手に一粒涙が落ちた。

私は、やっぱり赤井さんを…。


彼のことは、忘れない。
大切な人、深い意味などない。

ただ、1つの思い出として記憶に刻むことくらい許されるだろう。

それだけは許してほしい。



「…華帆?」

その声に振り向く。

ドアを開け、夜桜を抱っこしている彼が私を見ていた。

「…食欲はあるか?」
『はい、』
「夕食ができている。準備できたら来い」

微笑み頷く。

彼も微笑むと部屋から出て一階へと向かった。


服を着替えようとクローゼットを開けた。
黒いパーカーを出しそれに着替えた。

『…あ、』

姿見に目がいく。
遠くからでもはっきりわかる首元の赤い印。

赤井さんは何も言わなかった。
気づいていたはずなのに。

口をつぐむ。

引出しから絆創膏を取り出す。
首元の印を隠すように貼った。


『…行こ、』

寝室を出てリビングへと向かった。

向き合うことを忘れてはいけない。

私を一番に思っている彼を裏切ることなど、決してしてはいけない。


『…赤井さん、』
「…どうした」

キッチンに立ち、洗い物をする彼に近寄る。

包丁を持っていて危険だというのに、私は彼の手に触れた。

『…怒って、』
「……」
『…優しく許されるのなんて嫌、』
「……」
『……っ、怒って、』

手を揺する華帆を見つめる。

怒れるものなら怒ってる。
それをしないのは、。

「……反省、してるんだろ?」
『…、』
「…その気持ちで十分だ」
『…っでも、』
「…できない、怒れるわけないだろ?」

先程まで見えていた首元の赤い印。
気づかぬふりをしたそれに、今は上から絆創膏が貼ってある。

「…君は君なりに、反省の意を表している」
『…、』
「……冷めてしまう、夕食を食べよう」

俯く私の手を引き椅子へと座らせた。

目の前には出来たてのオムライス。

「…食べれるか?」
『はい、』
いただきます、と呟き、口にそれを運ぶ。

なぜだろうか、とても懐かしく感じる。

『…おいしい、』
「フッ、そうか」
夜「ん!」

笑う夜桜に二人で微笑む。

家族らしい、家族の時間。

私には本当に大切なものが、まだ見えていなかったのかもしれない。


















PM9:20

『…あれ、…スマホどこだっけ、』

お風呂から出た後、スマホを取りに寝室へと来ていた。

『…クシュン、』
まだ髪を乾かしていないからか、少し体が冷えてしまった。

風邪を引いてしまう。
スマホは諦め、先に髪を乾かそう、と思った時、

「…華帆?」

呼び声に振り向いた。

「どうした、」
『…スマホが無くて、』

どこやったんですかね、そう周りを見ている彼女。


髪に水滴がついている。

どこか儚い華帆をなぜだか不意に抱きしめた。

『っ、』
「…もう慣れたらどうだ」
『な、慣れません、』

顔を赤くする華帆がとても愛おしい。

求めるように口づける。

『んっ、』
「……もう、いいだろ?」
『え、?……わっ、』

急に彼に抱き上げられ、ベットの上へと寝かされる。

突然のことに驚きが隠せない。

そんな私のことを気にせず何回も口づけてくる彼。

『ちょっ、ま、待って、』
「無理だ」

先程まで抑えていた理性。

だが、こんな顔をされて我慢しろとは卑怯だろ。


…抑えられない。

彼女が、……華帆が欲しい。


覆いかぶさり動きを封じる。

『あ、赤井さん、』

欲情している瞳。

触れればすぐにわかる熱い体温。

彼の唇が私のに触れる。

「…俺は2日、待っていた」
『…っ、』
「足りない分、求める」
覚悟しろ、そう囁いた声を聞いた後私はゆっくり目を閉じた。

求めてほしい。
彼に、。


それから時間は過ぎていった。

私は尽きない彼と何時間も時を過ごしていた。















PM11:50

もうすぐ日付が変わる。

彼の腕に抱きしめられながら、私は呼吸を整えていた。

「フッ、疲れたか?」
『…もう動けません、』
「華帆が可愛すぎたからだ」
『な、』

胸板に顔を埋めてきた。

それに薄く微笑む。
火照っている頬に触れ、顔を上げさせた。

「…かわいいな、」
『っ、』

彼の言葉攻めにはどうしても慣れない。

恥しく、逃げるように布団を被った。

それに彼は薄く笑い、布団がかかる私の頭に手を置いた。

『…なんで、いつも優しいんですか、』
「…好きだからだな」

布団から顔を出し、俺を見つめる。


「…そんなに俺に叱ってほしいか?」
『…だって、』
「…叱る代わりに、俺のだと、君に植え付けているつもりだが、」

え、?、と顔を赤くした。

その頬をそっと撫でる。

「…俺はいつでも二人目の準備はできているぞ」
『なっ、』

そ、それは、一体、。

そんなのを気にするよりも先に彼から口付けられた。

「…フッ」
『…もう、』

からかい半分の言葉だったのだろうか。

扱いがうまい彼には到底敵わない。

「……まぁ、華帆がもう少し大人になったらな」
『…はい、』

彼の言葉に小さく頷き、重くなった瞼を閉じた。


「…おやすみ、華帆、」

額にそっと口づけ、赤井も眠りについた。


抱き合い眠る二人。

互いの想いは、変わらずそこにあるのだろう。

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冬みかん🍊・2021-04-24 #赤井秀一 #ジン #黒の組織 #名探偵コナン #オリジナル #小説 #STRAWBERRYMOON #特別編 #5








STRAWBERRY MOON
特別編

















嘘 6

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NOSide
PM11:20

濃い香水の匂い。

淡い色の電球。

慣れたものがなぜだかとても気持ち悪い。


女「ねぇ、また会える?」
ジ「……」

腕に触れ、身を寄せてきた。
女の言葉を無視し、スマホと向き合う。

ベルモットからの連絡が来るまでは、この女は殺せない。

苛立ち煙草に火をつける。

女「…行為後は無口なタイプ?」
満足しなかった?、と肌着も着ず、薄く笑う女に溜息が漏れる。


ブッブー、ブッブー

【用済みよ。殺して
Vermouth】

そのメールを確認した後、寝台から立ち上がる。

女「…?…どこ行くの?…」
ジ「…その香水、反吐が出る」
女「え?」

首を傾げる女に銃口を向けた。

女「な、何なのよっ」

ジ「…フッ、…死ね」


バンッ


打った弾丸は女の頭を貫通し壁へと打ち込まれた。

倒れた女を確認し、スマホを取り出す。
ベルモットに連絡した後、ジンはいつものコートを着て部屋を出ていった。














路上に止まる車に乗り込む。

ウ「いつもどおり早いですね」
ジ「……出せ」

ジンに従い、ウォッカは車を発車させた。

ジンはバックミラーに目をやると、後ろに座る女を見つめる。

ベ「……何よ」
ジ「…こういう任務は辞めると言ったはずだ」
ベ「あら、不満だったかしら?」
意外と綺麗な方よ?、と笑うベルモットに舌打ちをする。

ジ「…二度と辞めろ、」
ベ「ふふ、…What happened suddenly(急にどうしたのかしら)?」
ウ「え?何がですかい?」
ベ「女を抱く任務を嫌がらなかったジンが、今では毛嫌いするのよ?おかしいわよね」
ウ「どうしたんですかい?」
ジ「訳なんてねぇよ」

そう言ったジンの言葉にベルモットは薄く笑った。

ベ「…I wonder if I escaped to my beloved woman(愛する女に逃げられたから、かしら)?」
ウ「え?」

ジ「…チッ」

後部座席に睨みを利かす。

それに動じず、ベルモットはまた笑った。

ベ「Oh、I'm just kidding.(冗談よ、冗談)」
ジ「ふざけるな」
ベ「…ねぇ、教えてくれる?あの子は誰?」

パーティー会場のホテルで見たあの女。


ベルモットは覚えていた。

自分の誘き寄せた獲物が、知らない女に連れて行かれたという決定的なミスをしたあの任務を、。

だが、結果、あの平蒼夜は組織とは何の関係もなかった。

それに関してはボスからは何もなかった。

でも、

ベ「どうしてあの階に別の女がいたわけ?」
ジ「さあな」
ベ「……私をウォッカの元へやった後、貴方、帰って来なかったわよね?」
ジ「…それがなんだ」

足を組み直し、ベルモットは妖しく笑う。

ベ「…あの子、よね?貴方の心を変えたAngelは」

ジ「……」

否定もせず、ジンは煙草に火をつけた。

その姿を無言で見つめる。

ジ「……それを聞いてどうする。…そいつに会いに行って殺すか?」
ベ「…そうね、組織のことを少なからず知ってしまったもの」
ジ「だったら話は早い」

カチャッ

黒い持ちなれたベレッタ。

銃口はベルモットの頭を向いている。

ウ「あ、兄貴、」

動揺するウォッカを気にせず、ベルモットはジンを見つめる。

だがすぐに、口端が上がる。

ベ「…なんてね。嘘よ。…組織のことを漏らす確信なんてないものね」
ジ「……」
ベ「…でも、あの子を危険にさらしたくないなら、一つだけ忘れないでちょうだい」

向けられた銃を掴み、ジンに一言言う。



ベ「…貴方はもう、彼女とは会ってはいけないのよ」



ジ「………わかってる」

現実だって、誰よりも理解してる。

忘れる、と決めたのだから。

会うことなどもってのほか。


ジ「…安心しろ、あの女とはなんにもねぇよ」
ベ「フフッ、そう」

わかりやすい嘘。

この冷酷な男が惚れた女、ね。

まさかあんなに純粋そうな子だったとは。

もしかしたら、

ベ「…貴方にはそれが良かったのかもしれないわね、」

小さくなる夜景を眺めながら、そっと呟いた。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーEND










裏話















AM0:20

ラボにつく頃には日付が変わっていた。

夕食を摂ることも、服を着替えることもせず、ジンは暗い部屋の寝台に倒れた。

なぜか疲れがどっと来たのだ。


華帆と会ったあの日から一週間。

あいつを想って他の女を抱くなど、もうしたくはない。



“…好き”


それがお前の本音か?

だとしたら、俺達は二度と会わないのが正解だな。

互いに、愛など存在してはいけない。


ブッブー、ブッブー

【次の任務。
明日午後4時50分。
ターゲット、飲食店経営社長。
場所は……】

並ぶ文字を見ていく。

いつもの任務。

女を抱かないまともな任務。

【…いつものように、頼んだぞ。

RUM】

ジ「……了解、」

時間は十分ある。

ゆっくり睡眠をとろう。


あの女を忘れる、簡単ではないが、少しずつでも前に進める。
それだけでもいいだろう。


深夜。

ジンは一人、暗い部屋で目を閉じた。

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冬みかん🍊・2021-04-29 #赤井秀一 #ジン #黒の組織 #名探偵コナン #オリジナル #小説 #STRAWBERRYMOON #特別編 #6








STRAWBERRY MOON
特別編
















嘘 3

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NOSide
PM9:20

下がっていくエレベーター。

何も話さない無言の時間。

華帆はジンに掴まれている手首を見た。
さっきよりは痛くないが、まだ強く掴まれているような感じだ。

エレベーター内は少し冷えている。
肌寒い肩を自由がきく片手で擦ると、彼はコートを投げてきた。

ジ「外に出る。来ておけ」
そう言うと、スマホを触り始めた彼。

投げやりな言い方に戸惑いながらも、小さく返事をした。



1階につくと、ジンは華帆の手を掴み、すぐさまエレベーターを降りた。

裏口へ出ると、早足で歩いて行く。

薄暗い狭い道を少し歩いた所に、地下に続く階段があった。
手を引かれるがまま、華帆はジンに着いていく。

扉を開けると薄暗いBAR。

行きつけなのか、店の人に何も言わずカウンターの奥にある個室へと連れて行かれた。


『あの、…ここって、』
ジ「あそこで男の死に際を見たかったか?」
『えっ?』
ジ「ターゲットはてめぇの知り合いの男だ」
『…それって、』

華帆の顔が青ざめる。

今夜、蒼夜が殺されるはずだったと理解した。
それは今日は阻止できたが、終わりではない、という意味もあるのだろう。

『…蒼夜さんを、なんで、?』
ジ「俺達にとって邪魔な存在だ」
『そんな、……あの人は、私の友達の…、』
大切な人なのに、そう呟き俯く華帆を少し見た後、ジンは溜息をついた。

ジ「俺はこの任務からはずれる。…面倒くせぇ所にてめぇがいたからな」

遠回しだが、自分のことを思ってからだろう、蒼夜に関わることをやめると言ったジンに華帆は微笑む。

『…ありがとうございます、』
ジ「………調子狂う」
『え?』

初めて見た華帆のドレス姿。
コートはかけているものの、隙間から見える黒いドレスに惹きつけられる。

ベルモットとは違う、何かこいつだけにあるもの。

気を紛らす為に煙草に火をつけた。


少しの沈黙の後、華帆は壁に寄りかかるジンに近寄った。

『…あの、なんでここに?』
ジ「……血塗られるはずだったパーティーに、てめぇを置いておくわけにはいかねぇ」
『…どうして、』
ジ「……、」

華帆の問いには答えなかった。

いや、答えられなかった。

吸殻を灰皿へ押し付ける。

煙草の匂いが充満した部屋。


何も言わない彼に、華帆は視線をそらす。

『…聞いていいですか、?』
そう気まずそうに口を開いた。

どうした、と言うようにそれを横目で見る。

『……なんで、何も言わずに、どこか行っちゃったんですか?』

最後に抱いたあの夜のことだ。

忘れようとして、結局今日まで引きずっているこの女への感情。

なぜどこかへ行った?

ジ「……なんとも思わねぇ一般人を抱くほど、俺は女に困ってない」
『え、?』
ジ「何も言わず消えた俺を気にしていたのか?…無駄なことしてんじゃねぇ」
『む、無駄なんかじゃ…、…私は、ジンさんのこと、』

冷たく言い放すジンに屈せず詰め寄る華帆。

ジ「俺とお前は生きてる世界が違う。俺と普通に関わってみろ、…目つけられるだけだぞ」
『どうしても、ですか?』
ジ「生憎俺は組織を裏切ることはできない」
『なんで、そんなにその組織にこだわるの、』
ジ「…てめぇにはわからねぇよ。……他人の過去なんか全て理解しようとするな。人には人の領域があるんだ」
『……それでも、』



“…大切な人って、思っちゃだめですか?”



その言葉にジンは目を見開いた。

何も言わずただ、華帆を見つめた。


それに気づいたのか、華帆はハッとし、気まずそうに顔をそむけた。

『あ、あの、今のは、』

無意識だった。
変なことを言う前にやめておけばよかったのだ。

言い訳を考えたが、口を開く前に彼に手をとられた。

ジ「……行くぞ」
『えっ、?』

そう言うと、個室のドアを開け、カウンターの前を通り、BARの扉を開けて外へ出た。


暗い夜道。
人通りは少ない。

『あ、あのっ、ジンさんっ、』
ジ「黙ってついてこい」



華帆の手を引きついた所。

数階ある建物へと入る。

黒いカードを受付に置き、そのままエレベーターへと乗った。

2日前、本当はターゲットの女を連れてくるはずだったこのホテル。

今隣にいる女、こいつは他とは違う。

そこらへんにいる一般人。
…だが、ただ一人、俺を惹きつけた女。


最上階へ着き、奥の部屋へと入る。

華帆を壁に押し付け、口づけた。

『…っ、…ま、待って、』
ジ「拒んでみろ、…できるだろ、華帆」
『っ、…』

試すように華帆を見ると、目の端に涙を浮かべ、口元を震えさせている。


…拒め。

そうしなければ、俺は確実にお前を……、。


掴んでいる手に力を籠める。

顔を歪める華帆。

それを気にすることもできなくなっていた。

ジ「……なぜ何も言わない」
『……、』

俺の問いに答えず、華帆は俯いた。

拒む気がないのか?

…気に食わない。
期待させるな。

部屋の奥へと入っていき、まだ綺麗な寝台に彼女を押し倒す。


先程より、もっと深く口づけた。

口、頬、首。
角度を変えながら何度も。

『んっ、』

小さく鳴く華帆に理性を抑えられない。


カチャ、カチャ

自分のベルトに手をかける。

ジ「慣らさなくていいよな?」
『っ、』

顔を背けるものの、未だ何も言わない。

俺のことをどう思っている?

どうして拒まない?

ジ「……本当にするぞ」
『……、』
涙を溜める彼女の頬に手をおいた。

そうすると、華帆は俺を見た。

溜めていた涙が零れ、俺の手にかかる。

『……ジン、さん』
ジ「……」
『……ごめんなさい』
ジ「……」

瞳を腕で隠しながら、彼女は泣いた。

『……わたしは、貴方を、』

何も言うな、そう言うように口づける。



彼女が何を言おうとしたか、ジンにはわかった。

だが、それは言葉にしてはいけない。

彼女を求めることも、求められることもしてはいけない。

……してはいけなかったことなのだ。

互いにとって、それは恐ろしいもの。



そっと華帆の指に光るリングを外す。

ジ「……忘れろよ、今夜起こることを」
『ジンさん、』
ジ「……華帆、」















“愛してる”

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーNEXT

冬みかん🍊・2021-04-16 #赤井秀一 #ジン #名探偵コナン #黒の組織 #オリジナル #小説 #STRAWBERRYMOON #特別編 #3

みなさん!突然ですが
名探偵コナンの黒の組織のメンバーで
好きな人はいますか??
ちなみに私はベルモットです!!
美人でかっこよくて
一応敵だけどコナンの味方になってくれるところが
とっても好きです✨

みなさんの推し様は誰ですか??
知りたいです✨

ちなみに私は名探偵コナンのキャラクターでは
(まじっく快斗メインではありますが)
怪盗キッド
そして
世良真純
松田陣平
ベルモット
が好きです!!!
でもまあ結局みんな好きですけどね笑

みなさんは誰が好きですか??
是非贈り物してくださいね✨

桜良🌸・2022-05-02 #名探偵コナン #怪盗キッド #世良真純 #松田陣平 #ベルモット #推し #アニメ #マンガ #黒の組織 #みんな好き #贈り物ください #教えて #気軽にどうぞ #コナン #贈り物

私に対しては無害な
ジンさんを拾いたい
あわよくば付き合いたい

れお エンジニア・2023-07-02 #独り言 #名探偵コナン #黒の組織 #なかなかの最低発言 #願望すぎて笑えない







STRAWBERRY MOON
特別編

















嘘 1

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
NOSide
PM7:00

国道を走る一台の黒いポルシェ。

一人の男が、電話越しに誰かと話をしていた。


ジ「……またか?」
??「ええ、女の扱いは貴方の方がいいでしょう?…それと、…」
ジ「……最後は殺せ、だろ?」
??「ふふ、よくわかってるじゃない。…まぁ、この仕事を貴方に任せる理由は他にもあるんだけどね」
ジ「……やめろベルモット、…それは聞き飽きた」

そう言い電話を切り、煙草を吸った。

隣に座る男、ウォッカが機嫌を伺うかのように話しかけた。

ウ「…また、ですかい?」
ジ「…チッ、あの魔女からの命令なんてな」
ウ「……次はどこへ、?」
ジ「……3日後、例のホテル、22時30分」
ウ「…了解」

外の夜景を見つめる。

別に好きで女を抱いてるわけではない。
最後には殺せ、そんなのいつものこと。

あの女からの気遣いなどごめんだ。
吐き気がする。


ウ「…それにしても、ベルモットは兄貴になぜそんな仕事ばかり、」
ジ「……さあな」
ウ「……やっぱり、顔がいいから、?」

少し前から気にはしていた。
組織の中でも、女が関係しているそういう任務はだいたいジンにいく。
ベルモットがそう仕向けているからだろうが、それはなぜなのか。
ウォッカは一人首を傾げた。


ジ「……」

ウォッカの問に答えず、ジンは外の夜景を見ていた。

確かに、自分へ来るそういう任務は多い。

断ることができないわけではない。
他にも任務を受けれる宛ならいくらでもいる。
断ったって別の男にその任務がいくだけ。

だが、断ったことはない。
週に多くて三度ある。
そうだとしても、必ず任務をこなす。

そして、自分の欲も満たしている。

あの女を思い出すなど今になっての話ではない。
もうすぐ一年経つ、あの女と会った最後の日から。

どの女とも違う、あいつだけにある俺を惹きつけるもの。

それを求めている俺がいる。


信号が赤になり、車が止まる。
その時、後ろからバイクの音がした。

??「Hi、Gin」

先程電話で聞いた声。

ジ「……なんのようだ、ベルモット」
べ「何、また女のことを考えてる顔ね」

笑う女にベレッタを向ける。

ジ「……なんのようだ」
べ「やあね、そんなもの向けないでくれる?」
ウ「…信号が変わりやすぜ?」
べ「Oh、それじゃあ、ここに来てくれる?」

一枚カードを置いていき、バイクを走らせたベルモットをウォッカは何しに来たのか、と見ていた。

ジ「……チッ、…ウォッカ、ここに行け」

ジンはベルモットに渡されたカードをウォッカに渡し、新しい煙草に火をつけた。

ウ「…地下駐車場?」
ジ「この信号を右に曲がった所にある」
ウ「了解」

ジンに言われたとおりにそこへ向かうと、地下駐車場完備の立体駐車場があった。

カードを使い、地下へ降りていくと、駐車スペースにバイクが置いてあり、ベルモットが寄りかかっていた。

隣へ止め、話しかける。

ジ「……早めに済ませ。…話とはなんだ」
べ「…ウォッカ、貴方は外してくれる?」
ウ「え?…わかりやした、」

運転席から出て、俺達から離れた所で待っている。
ウォッカがそうすると、ベルモットがジンの隣に座った。

ベ「…フッ、なんていう顔してんのよ」
ジ「……」
べ「……Who do you think so much?(誰をそんなに想っているのかしら?)」
ジ「……やめろ」
べ「…断らないのは、別の想い人の代わりに欲を満たすため?」
ジ「何がしたい」
べ「…どんなに綺麗な女より、会えない女を想うなんてね」

からかうように笑うベルモット。

ベレッタを向けようとするが、目の前に資料が出された。

ベ「…3日後の任務が終わったら、次はこれよ」

いつもより少し厚めの資料。

ジ「……誰だ」
ベ「…人気俳優と、その妻」
ジ「二人?」
ベ「あら、気にしないで、男は私の役目なの。……それとも貴方が男の方がよかったかしら?」
ジ「吐き気がする。そんな趣味はねぇよ」

そう吐き捨て、渡された資料を見つめる。

【××月××日
〇〇ホテル、パーティー。
18時00分

組織の情報流失恐れアリ。

バラされる前に始末。

会場内に紛れ込み、部屋に引き寄せ射殺せよ。

タイムリミット…なし

《ターゲット》
・主な仕事、俳優
・年齢、26
・今年結婚
・妻は来年20歳の19歳、名前、平 奈々(旧名、佐原 奈々)
・ターゲット、名前、平 蒼夜
・妻、ジン。ターゲット、ベルモット】

ベ「今回は、女は引きつけるだけでいいらしいわ。男は私がしっかり殺すけどね」
ジ「……」
ベ「……嫌がらないのね。…今までとは違い、未成年なのに」
ジ「…女はどれも同じだ」

資料を後席に投げ捨てる。

ジ「…降りろ。ラボに戻る」
ベ「……I want to see,the woman who attracts you.(見てみたいわ、貴方を惹きつけるその女を、)」
肩に手をのせ、そう囁いたベルモット。

ジ「…」
ベ「ふふ、じゃあまたね、」

運転席から出て、バイクに乗り駐車場から出ていった。

変わるように運転席に乗ったウォッカ。

ウ「…何の話を?」
ジ「……仕事だ」
出せ、そう言って煙草に手をかけた。

ベルモットに言われた言葉を思い出す。

惹きつける女、か。
その言葉に薄く笑う。

会えないし、会うこともない。

死ぬまでに、一度抱けただけでよかった。
そう思っていた。
だが、俺は忘れられない。

あの女を。

ウ「兄貴、」
ジ「…なんだ」
ウ「組織から、3日後の任務はなしって連絡が、」
ジ「なくなった?…まぁいい。休みが増えるだけだからな、」

吸い終わった煙草を窓から投げ捨て、ポルシェを走らせた。

暗い闇に、ポルシェは消えていった。









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華帆Side
PM8:40

『え?また?』
菜「嫌?いいじゃない、彼と二人で夜を過ごすのも」
『もう、菜々、』

夜、久しぶりに菜々から電話が来たと思ったら、なんとまたパーティーの誘いだった。

『だめ、明後日は赤井さん仕事なの』
菜「えー、」
『ごめんね、楽しんできて』

菜々との電話を切り、ソファに座る彼の隣に腰掛ける。

やっと戻ってきた、とでも言うように、私の腰を引き寄せた。

「どうした」
『…菜々にまたパーティーに誘われて、…まぁ、断りましたけど、』
「…行かないのか?」
『…赤井さんいないと嫌だな、』
「フッ、大丈夫だろ?…行ってこい」
『……でも、』
「久しぶりに外に出て来るといい」

そういう彼に、微笑みながら頷く。

彼の言葉に甘えて行くことにした。

「…男には、気をつけろよ?」
『ふふ、わかってます』
「君は少し抜けてるからな」
『なっ、…気をつけます、』

俯く私の頭を撫で笑う彼。

いつもの夜。
幸せな夜。

彼と夜桜と過ごす夜。



“…すまない”


ホテルの展望台、眠る前に彼に言われたあの言葉には一体どういう意味があるのだろうか。

あれから聞こうとしたが、どうにも彼に聞きづらかった。
もしかしたら、私の勘違いだったのかもしれない。

気にしてない顔をしてるつもりだが、彼には気づかれているだろう。
それでも聞いてこないのは、彼にも何かあるからだろうか。



「…華帆?」

彼に声をかけられ、我に返る。

どうしたのか、と彼を見ると微笑んだ。

「…明後日、だろ?…準備は俺が手伝ってやる」
『え?本当ですか?』
「フッ、いつも俺がしてるだろ?」

確かにそうだった。

『ふふ、お願いします』
彼のセンスに任せ、明後日のパーティーを楽しみにしながら、彼の肩に頭を預けた。

夜だからだろうか、睡魔が襲ってきた。

「…華帆?」
彼の呼ぶ声に答えず、私は重くなった瞼を閉じた。












赤井Side
PM9:00

「……不安か、俺のことが」

一人、眠る彼女に問いかける。
勿論、返事は返ってはこない。

彼女が俺に対して何か疑問を持っているのには気づいていた。
だが、彼女は聞いてこないし、俺も言うつもりはない。

嘘はつきたくない。
聞いてこない彼女には少し安心している。

眠る彼女を抱き上げ、2階の寝台へと運んだ。

規則正しい寝息が聞こえるその横で、俺は一人溜息をついた。

彼女をパーティーに行くように言ったのは、彼女に詰まる思いをしてほしくないからだ。
男に気をつけろ、とも忠告した。
何かあったときは、彼女に取り付けてあるGPSが反応するはずだ。

「……おやすみ、華帆」

明後日、彼女はパーティーに参加する。
俺がいない分危険かもしれない。
何も起こらないことを願おう。

頬を緩ます彼女に口づけ、俺も眠りについた。

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冬みかん🍊・2021-04-11 #赤井秀一 #ジン #オリジナル #小説 #STRAWBERRYMOON #特別編 #1 #黒の組織

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