#さくら同盟

せっかく掬えたものも、

すぐにこの手をすり抜けていく。



それでも、

私はこの人生を手放せない。

ここまで来たからには、
私がちゃんと此処にいよう。

さくら同盟があったこと。
みんなとの思い出が此処にあること。
全部、私が覚えていよう。


そして、
さくら同盟の誰かが帰ってきたら
寂しくないように。
ちゃんと出迎えてあげられるように。

たとえ、私一人でも
桜の木の下で待っていよう。

春の残滓たちよ、風に舞え。

この杞憂さえ吹き飛ばして
目映い未来まで我らを導きたまえ。

出会った瞬間は、根元の幹。



枝分かれしたその先に、

約束の花が咲いていたら＿＿。

「会いたいって願うから会えるんだよ」



もしも君がそう言ってくれるのなら、

私は何度だって願っていたい。

みんなと会える日はいつですか、神様。

みんなのいる場所が、

みんなと会える未来が、

月よりも程遠いものに思えて

やるせない気持ちになる。

note15に来てから、今日で2067日。

5度目の夏を迎えようとしている。

これからも私の聲が届くまで。

私の言葉が、響くまで。

「大切さんになってくれませんか？」
って言った記憶ない。

気付いたときには、そうなってた。

いつの間にか、大切さんって呼んでた。

そう呼んじゃうくらい、思い入れは強かった。

「いつか行ける」と「今行ける」は違うんだって。

まるで、私みたいだ。



私は、今すぐにだって会いたい人達がいる。
本当に青い鳥になれたら、きっとすぐにだって飛んで行けるのに。

いつかって言われても、何年先になるか分からない。十年後かもしれない。もっと若かったら良かったのにって思うくらい、自分が中年のおばさんになってるかもしれない。

連絡が取れないままなら、ちゃんと会える保証もない。長生きしても会えないかもしれない。




みんなで揃って、ひーちゃんに手を合わせたいのに。
もしかしたら、私一人かもしれない。
もしかしたら、誰か一人はその場にいないかもしれない。

たとえ私一人だけでも、ゆーちゃんとのアポが取れて、ひーちゃんに会えるだけでも奇跡のはずなのに。それだけでも尊いほど幸せなことなのに。
やっぱり皆がすぐ隣にいてくれたらいいのにって、日和が生きてくれてたらいいのにって、もっとワガママを願ってしまう。

きっと、ひーちゃんやゆーちゃん、日和のご家族の前でも、情けないことばかり言ってる。
「私だけが偉そうにツライとか言って、泣くのは違うと思うんですけど」
「もっとずっと泣きたいのは、ゆーちゃんやご家族のほうだと思うんですけど」
って言いながら、泣いてる。

すぐ隣で、さくら同盟の誰かが居てくれたとしても、きっとボロボロ泣いてる。

情けないよ。私、バカだ。強くない。優しくない。かわいくない。格好良くない。きっと笑顔でなんて居られない。

会えたみんなにも、約束を果たせた自分にも、
「生きててくれてありがとう」
「辛いことも多かったはずだけど、しぬことを選ばないでいてくれてありがとう」
「涙を拭ってあげられる距離にいること、本当に嬉しいよ。抱きしめて、温もりを感じられることが本当に幸せだよ」
って思うはずなのに。
きっと、ひーちゃんにだけは、同じこと出来ない。

違う。特定の誰かに羨ましいなんて思ってない。



結局、あの頃と変わらない私が

桜の樹の下でうずくまって

独りで泣いているだけ。



安全圏にいるだけでいいから。

弱虫だから。

強くないから。