はじめる

#ホラー

読んでると、
思わず胸がギュッとしめつけられる、
そんなポエムを集めました。

全295作品・



〔 カメレオン俳優の生涯 〕





「右手が勝手にやったんだよ…!」



「ホントだもん!


僕のこっちの手、勝手に動くんだ」























あれは幼稚園の年中の頃だったか



渚が今にも泣きだしそうな顔で



必死に訴えた事を



大人は誰もまともに取り合わなかった



保育士はもちろん、母親さえも


























でもそれは当然の事だった



まずカミングアウトのタイミングが



よくなかったな、と俺は思う



友達を右手で殴った後にそれを言っちゃ



周囲の人間には



言い訳にしか聞こえないだろう



そもそも"勝手に右手が動く"なんて



普通は有り得ない



























その事実を



渚も幼心に察した様で



それ以降、彼はただの一度も



人前でその話をしなかった





























だから俺だけだ



渚は間違ってない



嘘をついてもない


オレ
友達を殴ったのは「右手」で



渚じゃないと知っているのは



渚が遊んでいたオモチャを



横取りした彼奴に



俺は無性に腹が立った



そして、次の瞬間には殴っていた



だから渚は悪くないよ



慰める意味で



俺は渚の左手をそっと撫でた



















__




































「ありがとう」



_いいって事だ






机の上に並ぶ



100点満点のテストを見つめながら



渚は俺に小さく礼を言った



















"自分の右手は自分より賢い"


































渚は小学四年生でその事実を見抜く



算数のテストの時間



もうギブアップとばかりに



鉛筆を転がしていた左手から



俺はそれを奪い問題を全て解いてやった




その結果が、100点というわけだ
























渚は自分の右手は天才だと思った様だが



実際は少し違う



渚が寝ている間や



友達と遊んでいる間



俺は勝手に動く訳にもいかないので



暇潰しとして渚が授業で習った知識を



復習していた



ただそれだけの事だった



テスト中鉛筆を奪ったのも



渚を助けたかったというのは



理由の八割くらいで



残りの二割は暇だったからだ



それでも渚は俺を褒めた



「ありがとう」と言ってくれた



いいって事だ相棒





その日から勉強は俺の担当となった






























__


































『双子だったのよ、あんた』



渚の母親が



唐突にそんな事を言い出したのは



渚が高校二年生の時だった



「は?」



渚が俺の気持ちを代弁してくれる



その後ろに



渚はずっと1人だった



生まれた時から渚と一緒の



オレ
「右手」が言うんだから間違いない



と付け足してくれたら完璧だった




渚の母はおもむろに



一枚の小さな紙切れを渚に差し出す



『ほら、ここ


米粒みたいなのが2つあるでしょ


どっちかがアンタ


んで、どっちかがアンタの双子…


だったはずの子なんだけど


次検診に行ったら消えてたのよね


死んだとかもう一人に取り込まれたとか


諸説あるみたいだけど…』



聞きながら渚の体には鳥肌が立つ



俺も渚も直感した



俺の正体は、渚の双子だ






















__

































自室に戻った渚が口を開く



「あのさ、なんていうか


いつも、ありがとな」



その声が今までとは



少し違うように感じられたのは



きって気の所為じゃないだろう




俺はシャーペンを掴んで



"俺達一蓮托生だろ?気にすんなよ"



と綴った



渚は微笑んで



「うん、ありがとう」



呟く様に言い眠った



































__









大学の講義中



俺の隣に座った女が話しかけてくる



『渚君って両利きなの?』



「いや、左利きだよ」



『え?!


それなのに右手で文字書いてるの?』



すごいね、と彼女は言う



「まあ、左利きって何かと不便だし」



『へー、頑張ったんだねぇ』



感心したように褒められると



悪い気はしない

































そう、俺は頑張った



"自分はただの右手じゃない"



渚の双子だと知ったあの日から



渚が眠っている間



右手以外も動かせないか



必死に訓練して






















__































自室に戻ると「左手」は



いつかの俺と同じ様に



シャーペンで文字を綴る




" カラダを返せ "





俺はにっこり笑って答える






















「どうして?俺達


一蓮托生じゃないか」

綾瀬。垢変・2022-03-04
カメレオン俳優の生涯
ホラー
小説
短編小説
タイトルと内容あってないかも
一蓮托生
感想聞かせてください
嘆きの13月





断られても断られても
花束を渡したいのは
忘れられないあの人に
面影が似てるから

ヘンリー・2021-09-24
哀色の花束を君に
ホラー
タグをお借りしました
愛を奏で、恋を語り。
ポエム
独り言
伝えたい想い
花束を君に
辛い
呪いの言葉

ははは、ようやく僕だけを見てくれた嬉しいなぁ〜
?、なんでそんなに、怯えた目で見てるの?
まぁ、いいや
ようやく僕達は、一つになれるんだし
嬉しいでしょ?
行こうか、僕達だけの楽園へ

華月 淋 ・2022-04-11
ヤンデレ
監禁
心中
片想い
歪んだ
歪んだ愛
ホラー
一つに
怯え
僕だけ
僕達だけの楽園へ

これらの作品は
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深夜帯(?)での広告で
ホラー系の広告は良くないよ!😱
寝れなくなっちゃう!
この1つ前の投稿での広告で
怖すぎるホラー系の広告が出たけん
めっちゃ心臓がバクバクしてる笑笑笑

さくら(しずく)・2022-08-11
恐怖
ホラー
広告

ホラーは読む専です。

見れない、本当に見れない。

急に画面にバッ、って出てくるの本当怖いです。

トイレ行けなくなります。

でも、何故か興味湧いて見ちゃうんですよねー

細目で(- ω -)

リリリ୨୧* 。 ゚・2022-08-02
ホラー
怖い

お分かりいただけただろうか…



   




 



  _____
/|┌───┐|
 ||│   │|
 ||└───┘|
 || ┌─┐ |
   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ∧∧
    分からんな ( _)
   / ̄ ̄旦 ̄(_  )
  /      \_)
 | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|
   ̄凵 ̄ ̄ ̄ ̄凵 ̄

ひまたん(。>ω<)丿・2021-10-22
お分かりいただけただろうか
ホラー
見えたもの
それは
心に浮かぶのは
プリン
食べたい
食欲
ポエム

高原の魔女

ひまたん(。>ω<)丿・2022-06-05
恐怖
魔法
使い
ホラー
なし
ポエム
くだらない
から
君に届け

綺麗なワタシを見せたくて
匿名性のマスクを被り
今日も見知らぬ誰かに話しかける

綺麗なワタシを見せたくて
小さな画面を上に下にと
常に誰かを覗いている

綺麗なワタシを見せたくて
そんな思いに駆られたワタシたちは
きっと現代の都市伝説


綺麗なワタシを見せたくて…





「ねぇ、ワタシって綺麗?」

とまとときゅうり・2022-07-26
独り言
ポエム
ホラー
怪談

ホラー小説
タイトル「ヒモ(リメイク版)」

ユウくん…
私の大好きな…ユウくん…
ふふっ…

私はユイ!少し抜けてるけど
そんな私にも大好きな

彼氏が居るあだ名は「ユウくん」
とっても優しい彼

今日はユウくんの家にお泊り!

楽しみ♪

ユウくーん♪来たよー!
私はユウくんの家についた 

「おう、きたか」
ユウくん!
私は彼に抱きついた 

会いたかっよ~ユウくん♪

「で、ユイ、金は?」
はい!ユウくん!今月のお金だよ!
私一生懸命働いてきたの!褒めて?
「よしよし…ユイはいい子だなぁ…」

優しく撫でてくれるユウくんの大きな手
大好き…


その後の起きる出来事を私は…
理解できなかった 


「悪いな、ユイ、俺さ…別に好きな人出来たからお前もう用済みなんだわ(笑)」



え?



どうして!私ユウくんの為に…

「この際だから言うけど」
「お前は元から体と金目当てだったんだ(笑)」
「悪いな(笑)初めてだったよな?確か(笑)」
「まぁ、減るもんじゃ無いし許せ(笑)」


その時私の中で壊れる音がした


酷い、そんな…私ただ、利用されて…
その場で私は泣いた


「迷惑だからw家の前で泣かないでくれる?」
「もう帰っていいよじゃあな(笑)ユイ」


そしてユウくんは家の扉を閉じた


そして私は…
ただ、彼の事を恨んだ

私はタダの遊び道具だったんだ
ただのおもちゃでヒモだったんだ

こんなにも…

汚れて、汚くなって…

その時私の中で何かが壊れる音がした


大好きで大大大好きな私だけの…私だけの…

ふふっ…私のユウくん…

他の女…きっとそのおもちゃが
ユウくん を…壊しんだ…

許さない…許さないよ?

ふふっ…(笑)

「ねぇ~良いの?」
「良いんだアイツの事は」
「いやーん」
「今夜は寝かせないぜ」

家に監視カメラを仕掛けてた事も
知らないなんて…

ふふっ可愛い♪ユウくん(笑)

ユウくんの隣に居るあのおもちゃは
早く…早く壊さなきゃ…

私はこっそり作った合鍵使って入った

カチャ…「だ、だれだ!」

私だよ?ユウくん…
「ユイか!?なんでお前が家の鍵を…」
その人が新しいおもちゃ?
「お前、何…」 
「えっ?元カノさん?って…」

ザクッ!!

「キャー!痛い!痛い!痛いぃ…」
私は隠し持ってた包丁で
そのおもちゃを壊し始めた

「おい!やめろ!ユイ!」

なんだユウくん知らないだ…
私、力強いのに…

遅いなぁ…

バンッ!!!

私はユウくんを思いっきり押した…
「グハっ…」
ふふっ当たり♪

ユウくんはテーブルの角にぶつかり気絶した
「や、やめて…殺さないで…」
あれ?まだおもちゃが…
 

「まだ、壊れて無かったんだ?ごめんね?」


私はおもちゃを何度も壊した
そしたら…

おもちゃは動かなくなった

私の手は赤く染まって

「うぅ…なんだ?コレは…」
ユウくん?起きたの?
「ユイ!?お前!何をした!?」
ユウくんを騙す悪いおもちゃ…

処理しといたよ?
コレでずっと2人きっり…
「まさか…ユイ…アイツを殺したのか?」

何言ってるの?ユウくん?あれはね

悪いおもちゃだよ?だから処分したの
あんなの要らないよね?
私がいればソレで良いよね?

「クソ!ユイ!お前…自分が何をしたか…」

あ、ユウくん…悪いおもちゃに騙されて
おかしくなっちゃんだ!

私がちゃんと治してあげる!
任せて!痛くしないから…

「や、やめろ、ユイ…俺が、俺がァァァ!」

ふふっ…
私の
私だけの
「ユウくん」

ひまたん(。>ω<)丿・2022-01-28
ホラー
小説
過去の
リメイク
一人になると
危ない
から
気をつけよう
ポエム
病み

♡♡





















白いところから


はみ出したら


連れてかれるんだって…


















♡♡

美心(ひとこと見て🍀)・2022-09-28
ホラー

こころのきずはね

いちどきれたら

なおらなくて

しらないふりしてたら

まわりにもひろがって

ほかのだれかも

いたいおもいして

だからね

こころのきずは

「ナオラナイ」だよ

ひまたん(。>ω<)丿・2023-11-10
おはよう
君の隣に
イジメ
辛い
悲しい
居ませんか
そばに寄り添う
優しい
ホラー
ポエム

体が重い動かない金縛り?いや死んだはず?
まぶたを開くとそこには黒い影
夢だったのか?俺は生きてるのか?
でも動けない体の上に何か黒いものが乗っている
黒い影はぬ〜っと動き俺の顔に近づいてくる
カーテンの隙間から差す月明かりに黒い影が入る
あの女だ!
「ワタシノナマエハカズコ」
その瞬間女は俺の胸めがけて言葉を振り下ろした

うわぁぁぁ!

電車の中大声をあげて飛び起きる男
周りは驚き冷たい視線を向ける
目の前に座っている女だけがじっと男を見つめていた

蓮昶ふく朗 #メイト🎀・2021-09-22
呪いの言葉
夢幻②
ホラー

探して見て。
ほら、そこにいるでしょ?

ひまたん(。>ω<)丿・2023-08-09
ホラー
苦しいくらいに優しい君
もう
居ない
ポエム

コレは私(わたし)ひまたんに起きた
怖い話…

皆さんも
そうですね…

一度はあった事ありますよね?

そう…奴は。

夜中になると、

カサカサ…カサカサって
音を出すんですよ。

そして…


ふいに

その音がする方を見ると…



居たんです。奴が…


そして…必死に.なって

×するです。

でも


奴は…


部屋の奥へと消えて行き




消えてしまったんです…



(´・ω・`)・ω・`) キャー
 /  つ⊂  \  コワーイ

ひまたん(。>ω<)丿・2022-07-02
ホラー
危険
皆も
嫌いな
ゴキブリ
死にたい
辛い
思うほど
嫌な
ポエム


仄暗い井戸の底から啜り泣く声が

毎晩俺の眠りを妨げる

今はもう使われていない古い井戸からだ



重く大きな石で閉じられているだけで

庭に放置されたままのそれは

毎晩決まった時間に

この世のものではないあらゆるものを

引き寄せる



迷惑なことに

二階の自室にまでその影響は及んだ



閉じていた目を開ければ

足元で蠢く黒い影


窓を開けているわけでもない自室で

生ぬるい風がカーテンを揺らす


身体に纏わりつく〝何か〟が

俺の動きを拘束するようだった



ものの数分だが、不快感は半端ない



平凡に生まれたはずの俺に

与えられた第六感は

五感と同じように

物心ついた頃には自然と備わっていた



カーテンの隙間から見える月に目をやれば

その光は瞬く間に雲の陰へと姿を隠す



「……招かざる客の気配がする」


真夜中の自室に響く時計の秒針と

啜り泣く声が

まるでメロディーを奏でるように聴こえた時

俺の周りでは決まって奇妙なことが起こった





翌朝、玄関チャイムを軽快に鳴らされ

目を覚ました俺は

寝不足の重い足取りで玄関を開ける



長い髪の毛を靡かせ

こちらに背を向けたその姿に

見覚えは無い



「……ねぇ、私綺麗?」

「…………は?」


俺が答えるが早かったか

相手が振り向くが早かったか

一気に距離を詰めてきたそいつは

もう一度口を開いた


「ねぇ、私、綺麗ぃぃぃ?」


……あぁ、馬鹿馬鹿しい


玄関の前に立っていたのは

友人の白石賢人だ



メイクをし、ワンピースを着て

女装したその口は

口裂け女を真似てか

耳元まで真っ赤な口紅が塗られている



「……招かざる客はお前か」

「え、何?ひどっ」

「何やってんの

感染症終息してないんだから

マスクしなよ」

「そこ!?」

「俺を驚かそうったって無駄だろ」

「あぁ、まぁ、そうね」


俺は大袈裟な程の溜め息をついて

賢人に尋ねた


「それで?何の用?」

「まぁまぁ、ちょっとお邪魔するぜー」



やけに機嫌のいい賢人は

俺を押し退けるように家に上がると

手にしていた大きな鞄から

ノートパソコンを取り出す



リビングテーブルの上で

それを起動させた賢人は

「ちょっとこれ見てみ?」と

満面の笑みで俺を見た



ノートパソコンの画面を覗き見ると

賢人が道行く人に話しかけ

口裂け女の真似をした姿で

驚かせている映像が映っている



「……お前なぁ」

「面白いだろ?」

「無関係の人を巻き込んで

映像作ってんなよ」

「翔吾も手伝ってよ」

「……は?なんで俺が」

「人手不足」

「一人でやれよ」

「人・手・不・足っ!」

「一人でや……」

「ひ・と・で・ぶ・そ・くっ!!」


賢人の強引な誘いに

俺は頭を抱え渋々頷いた





街に出た俺たちは

予め賢人が呼んでいたのであろう友人たちと

合流する



「……どこが人手不足だよ」

「まぁまぁ、いいものを撮影するには

これくらい必要なんだってば」

「……撮影者だけで五人も必要ねぇだろ」

「固いこと言わないのー」


勝手気儘な賢人に

最早呆れてものも言えない



それから俺たちは

人通りの少ない場所を探し

かれこれ40分程歩き回った



「どこまで行くわけ?」

「もっとさぁ、なんかこう

薄暗い場所っていうか

いかにも出ます!みたいな……」


そう言いながら賢人は

キョロキョロと辺りを見回しながら

俺たちの先頭を歩き続ける



そんな時だ

俺の第六感が反応する



霊的なものには幾つか種類があり

危害を与えない弱いものから

近付くだけで

その後の人生を脅かす程の

危険なものまであるが

ここで反応したのは当然後者の方だ



「おい……、ちょっとこっちやばいって」

「え?何が?」

「ここやめた方がいいよ、戻ろう」

「なんで?」

「いいから」

「えぇぇ、ここまで来たのにー?」


おもしろ動画を撮ることで

頭がいっぱいの賢人が

俺の忠告を聞くわけもなく



唇を尖らせ、文句を言いながら

足を止める気配はない



「しょ、翔吾、何がやばいわけ?」


俺の第六感を知っている友人たちは皆

ゴクリと喉を鳴らしながら

辺りを見渡した



「空気が……」

そう言いかけた時

賢人が足を止める



「いい感じのターゲット発見

おい、あの人に声掛けようぜ」


賢人は振り返り

撮影しろと合図を出した



仕方なく、俺たちは

ターゲットの前には行かないように

方々に散り、カメラを構え

ファインダー越しに賢人を追う



その先には

白いワンピースを着た髪の長い女性



身体の線は細く

真夏には似合わない程の色白だ



女性の後ろから近付いた賢人は

マスクをしたまま話し掛ける



「お姉さん」

その声に、女性がゆっくりと振り返ると

俺たちは全員目を見張った



女性が付けるには大きすぎる程のマスクが

顔の二分の一を覆い

前髪とマスクの間から虚ろな目が

賢人の姿を捕らえる



そして、振り返りざまにその女性は

「ワタシキレイ?」と

賢人が言うはずの言葉を口にしたのだ



女性と至近距離にいる賢人は

普通とは言えない不気味な姿と

その言葉に

頭の中はパニックだろう



「え……、え?…………え?」

言葉にならない衝撃を受け

賢人は一歩後退るのがやっとだ


女性はもう一度

「ねぇ、ワタシキレイ?」と問い掛けると

虚ろな目を更に怪しく細める



咄嗟に〝逃げなきゃやばい〟と

感じ取った俺は

「逃げろ、賢人!」と声を上げた


その声に、賢人をはじめ

周りで撮影していた友人たちも皆一斉に

元来た道を全速力で走り出す


後ろを振り返ることなく無我夢中だ



当の俺はというと

生まれつき心臓も弱く

喘息持ちだった為

急な動きに足はもつれ

躓いて転んでしまう



直後、俺の背中に重く冷たい何かが

のしかかった


耳元で囁かれる

「ワタシキレイ?」の声に

血の気が引いていく


女性は同時に

俺の身体を仰向けにさせた

細い身体からは想像出来ない程の力で

身動きが取れない



女性は目を大きく開き、俺を見下ろす



「……あら、イケメン」

「…………え?」

「食べたいわ」

「…………は?」

「私の彼氏になる気ないかしら」

「…………ない」


女性の独り言に律儀にも返事をしていると

女性は目を細め、更に顔を近付けた


長い髪の毛は俺の頬に触れ

彼女の指は俺の首筋を這い

ゆっくりとそのまま腹筋までなぞる

それだけで身の毛のよだつ思いだ



「……意外にいい身体」

「…………は?」

「細マッチョなのね」

「…………なんなの?」

「私好み」

「…………ちょっと、やめて」


なんなんだ、こいつは


霊気はやばめの強いものだが

女性がボソボソと発する言葉に

拍子抜けしてしまう



女性は俺の耳元を撫でると

そのまま俺のマスクを外した


「綺麗な顔立ちね」

「…………どうも」

「私の顔も見る?」

「見ない」

「ワタシキレイ?」

「…………感染症流行ってるから

マスク外さないでよね」

「ワタシキレイよね?」


口裂け女についての妖怪話や都市伝説には

恐怖に慄いて「綺麗」と返事をすると

「これでも?」と女がマスクを外し

裂けた口を見せ

殺されると書かれている



俺はこの後、殺されるのか?


幾らちょっとおかしな会話をしていようとも

この女性から感じる霊気は本物だ

口裂け女に違いない

この状況をどう切り抜けるべきか



「綺麗」と言わない俺に

痺れを切らしたのか

女性は自身のマスクを外そうとした



これ以上はまずい

更に恐ろしい顔を近付けられても困る


何か、言わなければ

どうにかしなければ


焦った俺は思わず……



「ソーシャルディスタンス!!」


どうにでもなれ!

俺はそんな思いで、口にした



静寂が、俺と女性の間に流れる



失敗したか……

俺の額を冷たい汗が伝った



するとどうだろう

女性はマスクを外そうとした手を止め

俺の前からそのまま姿を消したのだ




「……え?……俺、助かった?」


それまでの重い空気は一気に晴れ

鳥は囀り、辺りに心地よい風が吹く


強ばっていた身体は脱力し

俺はようやく安堵の息を吐いた





翌日、賢人は俺の家を訪ねるなり

大袈裟に土下座をする


「ほんっとごめん!忠告無視してごめん!

んで、置いて逃げてごめん!」

「はぁ……もういいよ」

「まさかお前が転んで逃げ遅れるとは

思わなくてさぁ!」

「……それ、言わないでくれる?」

「昨日の映像、途中までレック回してたし

あれはなんだったのか

もう一度確認しようと思って見たらさ……

どこにもあの女映ってなくて」

「あぁ……、そうなんだ」

「もうお前の第六感

ナメないようにするからぁ!

許してぇぇぇ」

「……ナメてたわけね」



誰もが見えるわけではない

この世のものではない生き物

しかし、見えていなくとも

そこらじゅうに存在しているものだ


見えないからと調子に乗って

面白半分に刺激すれば

当然報いは受ける



その時、人は第六感がなくとも

感じ取れるだろう



鏡の向こうに映る気配

赤信号の横断歩道に誘う手

誰も居ない駅のホームに佇む影

廃墟となった病院で今尚苦しむ声



重い空気の中で

研ぎ澄まされた五感が限界を超え

一瞬だけ第六感を呼び起こすのだ



「面白半分でやらないことだな」

「はい、誓います」

「嘘っぽ……」

「いや、ほんと!誓いま…………え……?」

「……え?」


俺の後方に気配を感じたのか

視線を移した賢人は声を失い

分かりやい程に青ざめる



賢人の視線を追い

振り向くとそこには

昨日の女性がじっとこちらを見つめていた

Mari・2023-07-27
物語&小説/from:Mari
小説
エクソシズムに失敗しまして
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