#リハビリ

後遺症は残っている。



背負うものも大きくなった。



それでも俺は



あなたが生きていてくれた



ただそれだけでいいんです。



あなたが落ち込んでいるのに



不謹慎でしょうが



やっぱり俺には



あなたが必要ですから。



ここでいなくなられたら



困るんです。



ずっと側にいてくれなきゃ



嫌ですよ。





これからリハビリ



頑張りましょうね。



ずっとお側にいますから。




退院おめでとうございます。

倒れてから一夜経って


背負わなくてはならないものが


見えてきました。



痙性麻痺


もともと悪かった手足


またそちらに麻痺が出た。



あなたは笑って


前よりも少しだけ


動きが悪くなっているだけ、と言う。




そちら側に力が入らない笑顔が


ほんの少しだけ引きつっていて


あなたはそれをしきりに気にする。



垂れてきちゃう涎を


ハンカチで抑えながら



｢気持ち悪くはない？｣



｢みっともなくて申し訳ない｣


涙の滲む目でそう言いました。




泣かないで下さい。



みっともないなんて思いません。



気持ち悪いなんて



思うわけないでしょう。



あなたの震える手のひらすら



こんなに愛しいっていうのに。



例えどんな姿になっても



俺はあなたの事を慕い続けます。




今日から少しずつリハビリ。



ずっとずっとお側にいます。



お側でずっと支えます。

リハビリがうまくいかないと


ほんの少し落ち込み気味のあなたに


あなたの大好きな葡萄を


ひと房買いました。



房から実をとり口へ運ぶ幸せが


リハビリになったらいいなって


葡萄をひと房買いました。



あなたは笑って


｢幸介らしいね｣


って葡萄をひとつぶ


房からとって口に運び


噛み締めるように食べました。



｢おいしいね｣


その笑顔が何より嬉しい。



もうひとつぶ


房から葡萄をとると



今度は


｢はい、幸介｣


って


｢あーーん｣


って……



いや、いやいや


無理っす…



心臓死にます。




俺の照れ笑いを


あなたは目を細めて


見つめてくれました。





少しは元気になりました？




ほんの一欠片でもいい



あなたの笑顔になれたなら



俺はこの上なく幸せなんです。

次に起こることは幼児退行だと思って､
大きなぬいぐるみを取り寄せた(ネット通販で)｡



本家本元のテディベアとちがって
中○製のパチモンなので
なんか顔がでかくてぶさいく｡
布団のなかに連れ込むと
自分よりもでかく見える｡
だけど､毛並みは良いし､
抱き心地も良い｡


ぎゅって抱きしめる動作とか､
ゆっくり頭を撫でる仕草とか､
習わなくても自然にできて歓び｡
寝るときはほんとうに
ぎゅって抱きついて寝てる｡

でもさ｡こーゆーのって､
ほんとうは３歳くらいで
体験しておくべきなんだよね｡
お経や数珠じゃなくてぬいぐるみ与えろよ馬鹿親｡

あなたは


リハビリでは泣きません。



どんなにうまくいかなくても



どんなに苦しくても泣きません。



しかたない、しかたない



焦らない、焦らない



そう言って笑うだけ。



あなたが涙を落とす時は



みんなが辛い想いをしたり



苦しい思いをする時です。




目を腫らして兎のような目になっても



悲しかったね、苦しかったね



そう言って泣きじゃくります。





そんなあなたは




俺の誇りです。




俺の先生凄いでしょって



俺の先生素敵でしょって



羨ましいでしょって



世界中のひとたちに



自慢して歩きたくなるくらい



俺にはあなたが貴いのです。

君の瞳に

僕はどう映っていますか

リハビリを頑張れるように…

おばあちゃんの入院も
2ヶ月を越えて
3ヶ月近くになります

お喋りもできるようになり
最近はお粥やお魚など
少しずつですが食べられるようになってきたみたいです

リハビリの成果が出てきて
少しなら自分で動けるようになってきました

私のことは何回か面会するうちに
思い出してくれました

急な環境の変化によるストレスで
認知症によく似た症状が出る
せん妄というものだったのかなと思います

まぁ認知症もゆるやかに進んでいるので
私のこと忘れられないようにしなきゃと思う
今日この頃です 笑

お父さん

病棟での　　毎日の　リハビリ

よく　がんばったね！！


今　こうして　　車いすに　座れているのも

お食事で　　誤嚥しないのも

お父さんが　がんばったからよ


オリンピックだったら　　金メダル　あげるよ☆


週明けは　　晴れやかな　顔で　　退院しようね

３年前の自分は
手術して右脇のリンパ腺
殆んど失ってリハビリに励んで
フォークでお雑煮食べてたね。

冷えで痛む右手に
未来の不安に押し潰されて
新年早々涙が止まらず


誰でも良いから
｢大丈夫だよ｣と言って欲しい
冷たい右手を握って欲しいと
何度も願ったあの頃。


３年間
がむしゃらに走って
《生きよう。》として
沢山の人達に会い
沢山の別れもあって
今やっと自分らしい
人生を見つける事が出来たよ

そして大切な人に巡り会えて
右手を温めてもらいながら長い夜を
安らかに眠れるようにもなったよ


ねぇ。３年前の自分へ
新年明けましておめでとう
あなたは此れから３年間
更なる思いもよらない事が
何度も何度も起きます。
何度も挫折を味わい苦しくて
悲しい思いを沢山たくさんします。
10代の頃も大変な思いをしたけど
それ以上の事がこの３年間
あなたに沢山降りかかります。

だけど
３年後の今の自分が言える事は
今の私は心から笑顔で笑えてるよ
今ね
本当に本当に生きていて良かったと
心から強く言えるよ｡ﾟ*

だから未来を信じて
他人には負けても良いけど
どうか自分には負けないで
未来の新年は
優しさと温かさと
沢山の幸せで溢れてるから｡･ﾟ
《生きて》

＿＿未来の自分より＿＿

彼の妹が骨肉腫になった
骨のガンだそうだ。
脊髄に転移して治すのは難しい。
もともと体が小さいから
治療に耐えられるほどの体力がない。
『余命3年』
と宣告された。
この前まで彼は
事故にあってリハビリしていた
学校に復帰したばかりで
幸せでいっぱいのときのはずなのに
次は妹がガンになってしまった。
立て続けにこんなことが起きてしまった
それを話してくれたとき
彼は最後に泣くのをこらえて
「心配かけてごめん」
くしゃっと笑っていった
何もしてあげることができない自分に
腹が立った。
妹ちゃんとは何回か遊んだことがあった
元気で家族思いのいい子だった。
病院にお見舞いに行って
何をしたいか聞いた。
学校に行きたいとかパフェが食べたいとか
したいことが次々と出てきた。
そして最後に
３人でまた遊びたいと言ってくれた。
それを聞いた瞬間に
涙が溢れそうになった
あと３年もあるから
あと3回クリスマスもハロウィンも
いろんなことをしてあげよう
あと３年しかないから
後悔が残らないように
３年を満喫しよう
あの子の前では笑顔でいよう
楽しくいよう。
彼と妹ちゃんと３人で
これから３年を
大事に生きよう。

私の大人の男性に対する恐怖的なものはいつからだろうか…


その恐怖のような感じを1度感じた人にはずっと感じている私が


先生だったら大丈夫だな…って安心したのはなぜだろう


初めは緊張しっぱなしだったのに


何故か話しやすい先生のお陰で緊張が解れて安心した


分かってます。それは大人だから。
業務だから。仕事だから。
その優しさは私個人だけに向けられたのではないことくらい、分かってます。








だから私は尊敬として眺めておきます。

明日、やっとあなたに会える、

もしかしたら最後かもしれない、最後だから、

ちゃんとこの想いを伝えることにするよ。

満月を見られなくて…見なくてよかった。
ただの一日にも、何でもない事でも
自分が曲解するから
自分の気分がノッてない時に、
そういう時にしか思い返せない

良い事がないどころか悪い影響しかないのに…

以前ソレに気づいた時は天気が崩れて
誰もが見られなければ良いのにと、
まるで八つ当たりのような感情しかわかなかった

だからまだマシ？

同じ月を見る事はない、見てる筈もない、
同じ空の下にいないような
仮に見ていたとしても同じ事は考えない
ただ綺麗だとか…
それすら同じ想いにはならないだろう

そう思う

小説

「ギター」



　車の免許を取ったあたりが、兄の全盛期だったように思う。高校在学中にバイクと車の免許を取り終え、高校受験に悩む私を連れ出してくれた日の夕日が、今だに瞳の奥を焼いている。涙を誘うのは、いつだってその眩しさだった。


　兄が引きこもるようになって半年。食事を取りにリビングに降りてくる彼を見る度に、体の内側のどこかが痛んだ。高校時代の面影を少しも残さず曲線を作る背骨は、何かの拍子にポキリと折れてしまいそうなほど薄く、凹凸がくたびれたシャツに山を作っている。触れたら最後、乾いた砂の城のように零れてしまいそうだった。

　部屋に伝わる隣の生活音が嫌いだ。遠ざけるように、机とベッドの位置を変え、イヤホンを付けて過ごした。部屋の外に出る時間帯を兄とずらすと、姿を見ることも無くなった。

　そうして半年を凌いだ。しかし、聞く曲もなくイヤホンで雑音を消していた耳に、突然聞こえたのはギターだった。

　防音設備のない部屋は、覚束無いギターの音を隠すことなく伝えた。どこまでも平面的な、憂いの滲む音だった。毎晩毎晩、流れるようになった。



「私、お兄ちゃんのギター好きだよ」

　いつも通りギターが鳴って、私がそう口にしたのは、兄がひきこもって一年が経ったときだった。意味もなくそんなことを言った。この声が聞こえることを、私は知っていた。


　次の日の夜、ギターは鳴らなかった。代わりにドアが閉まる静かな音が聞こえた。少し迷って、追いかけた。


　最終電車から降りる大人達の中に、彼はいた。伸びすぎた髪と曲がりきった背骨、それらに大事に抱えられたギターの音は、雑踏にかき消されて聞こえなかった。

　道行く人の足音、酔っ払いの暴言、服と服の擦れる音、カップルの痴話喧嘩。この世界を満たす音は、くだらないものばかりだった。兄の音楽は、そんな音に埋もれて、誰にも気づいて貰えない。

　やがて、兄はその場にしゃがみこむ。誰も目を止めない。誰も彼に気づかない。