#失語症になりたい

無口になりたい｡



こんな目標なかなかないでしょう｡
まるで失語症になったみたいに
無口になりたい｡



昨年１年間で
びっくりするくらいキャラが変わり､
わたしにとってわたしは
いつもしんとしてる人｡
歌を歌っているときさえも､
大きな声で歌ってるはずなのに
『黙々と』ひとりで練習しているイメージ｡



必要な会話は文字盤(IT機器)でやればいい｡
そのほうが正確だし､記録も残るし｡



可能なら
わたしの残りの人生ぜんぶ､
なにも喋らずに暮らしたい｡
肉声による対話は､
わたしには野蛮なものに感じられてしまう｡



話しかけられて応答しなくても
相手が『無視された』とは思わない､
『あ､この子は喋れないんだ』と
勝手に思い込んでくれるような､
無口キャラ､失語症キャラを確立したいです｡



発声は歌声だけでいい｡
インタビューもＭＣもラジオっぽいことも｡
喋り声は一切残さず､
歌声だけ遺してこの世を去りたい｡

失語症になりたい､
そう願っていた時期は過ぎ



いまや
この世界への無関心だけが
わたしのすべて



わたしまるで植物みたい
いつか切り倒される日まで
ただ立っているだけの存在



太陽を見て
月を見て
しかし地上は見ない

無口でいたい
無駄なおしゃべりはぜんぶやめたい
失語症になりたい



自分のわがままかと思っていたけど
そんなことはなかった
品性や道徳を大切にするなら
不必要な言葉を発しないことは
美徳のひとつです



あたしの口から発するのは歌声と､
愛する貴女への睦言だけ
口を慎み品性を保つ

ニンゲンは畜産動物で


この世は家畜小屋なんだ


ほかの家畜たちと仲良くなりたいとは


思わなくなった


ひとりで野生に還る準備をしている

わたしは無口になりたい
あなたとしか話したくない

わたしはひとりきりでいたい
あなたとしか会いたくない

かつては､ひとつの理念として｡
いまでは､切実な願い事として｡

あなたといたい
あなたとだけ過ごして
あなた以外の人間関係を切断したい

誰と何を話しても
それがどれほど盛り上がっても
終わってみればそれは
無意味なたわごとでしか無くて

話せば話すほど
彼らは異人､彼らは異種族
会話が理解をもたらすことはなく
理解が友愛をもたらすことはなく


あなたといたい
あなたとだけ話したい
あなた以外のこの世の全てを切断したい