#好きに

｢生きたい｣？

　　　　　知らねぇよ

｢死にたい｣？

　　　　　知らねぇよ


好きに生きりゃあいいじゃねぇか
死にたいなら死ぬ
生きたいなら生きる

そこだけハッキリしろ。

私には

君しか見えないから

君の事を

好きになるんだよ＿。

君に名前で呼ばれた時


私の名前が


一瞬で特別に思えて＿

神様…この恋は正解でしたか？
落ちてよかった恋でしたか？
叶わない恋って分かってたのにね。
なんで好きになっちゃったんだろう。
好きになってからじゃもう。
遅いよね。

何かの手違いでも好きになってくれますか？

好きになって貰えないのなら
叶うはずもない

好きってなんだろうか…

何かの手違いで、
好きになってくれないかな

こんなに面倒くさくて
メンヘラで
ヤンデレで

情緒不安定で
面倒くさくて
意地っ張りで
寂しやがりで


すぐ怒って
すぐ泣いて
どうでもいいこときにする、


こんな私を

好きに、




いや、愛してくれる人は
いるのだろうか。

私は何も知らない

全員赤の他人だから
関わりのない人達だから


どうでもいい 全部
どうでもいいんだ

死にたいとか消えたいなんて
好きにやってろよ 他人事

何も出来ない

そんな自分が嫌で

誰も助けられない

そんな自分が嫌で

今日も私は自分を

せめることしかできなかった

洗い場の窓、
覗く外に降り頻る雨。
排水管を流れる水の音。
洗い場は薄暗かった。

「Aちゃん」
｢何ですか｣

何時になく真剣な顔の先輩。
鏡越しに目が合う。

｢どないしたんですか、
そんな顔して」


風が窓を揺らした時、
体が浮いた気がした。

「ごめん」


視界を埋めるのは
先輩のTシャツ。
抱き締められたと解った。
耳に届く鼓動は早くて
体が強ばった。


｢ごめん、て何ですか｣


先輩が腕を解く。
離れる2人の距離。
真っ赤な顔の先輩を見つめる。

｢言われへんかったら解りません。｣
最後まで言い切る前に
視界が揺れた。

私の両手はいとも簡単に
先輩の左手によって壁に縫い付けられて
少し開いた足の間には
先輩の膝が割って入っていた。
でも、決して力ずくでは無かった。
でも。



「ごめん」
そう言って顎を掬われ
唇を重ねられた。
優しかった。
これまでした事ないくらい。
ほんの10秒くらいなのに
1分にも10分にも感じられた。



2人の距離が離れた時、
先輩が目を見開いた。
そして私の頬を拭った。

「好きな子泣かすとか駄目やな俺」

泣いているつもりなんて
無かった。
言われてみたら頬を
涙が伝っていた。



｢どういう風の吹き回しですか｣

声が震えていた。
情けないな恥ずかしいな。

「好きや」



そう言って頬を伝う涙を拭われ
瞼を優しく撫でられる。
掴まれた手を離してくれた。
見た事ないくらい優しい眼差し
哀しい色をした瞳。
真意が読み取れない。


｢先輩、｣
「本気やで。
今は駄目でもこれから好きになってもらうけん。格好良い所めっちゃ
見せるけん。
返事は今じゃなくていい。」




私の頭を撫でながら
先輩は話す。


｢そんな先輩の気持ちを遊ぶ様な事
出来ません。｣
「存分に遊んでええよ。俺を振り回してもいい。そんで好きになって
貰えたら本望やわ。」



何でそんな普通に言えるの。


「お疲れさん。また明日な」



今日の部活、どうしたらいい。
どう振る舞えばいいの。

恋なんてしなければいい
誰も好きにならなければいい
そうだそれがいい

好きな人が
好きでいてくれる世界を

好きな人が
好きな物、事を

自分も好きになりたい

好きになるつもりじゃなかった。
好きになるはずがなかった。

まだこの恋に
気づかないでいたい___

嫌わないで
避けないで
このままの関係でいたい___