部活を初めてからずっと
嬉しいこと楽しいことより
苦しいこと辛いことの方が
たくさんだった
きっとそれは
これからだって変わらない
それでも私はこの人生を
音楽と共に生きていきたい
中学生になって
吹奏楽部の見学に行ったあの日
運命の出会いをした
打楽器ではなくフルートに
初めて聴いたあの音に心を掴まれた
でも、自分では吹けなかった
30分頑張っても
全く音が出る気配すらなくて
結局フルートは諦めた
元々楽器経験もなかったし
音楽に興味があったわけじゃなかった
それなのに、なんとなく
何も考えず入部した
もしかしたらそれも
運命だったのかもしれない
他の楽器体験でも
音を出せない楽器が
周りの子達よりも多かった
フルート、ホルンは全然ダメ
クラリネット、サックス
トランペットもほとんど出ない
ギリギリ出るときがあっても
音は汚いし、小さいし
もう一度吹いたら出なくなる
ちゃんと鳴らせたのはユーフォニアム
一応なんとかなってたのがトロンボーン
最終的に第1希望にしたのは
トロンボーンだった
トロンボーンのオーディションを
受けたのは私を含め3人
合格を貰えるのは1人だけ
当然のように私は落ちた
分かってた
肺活量がなくて音量は小さかったし
管楽器には向いてなかったんだ
そこから
本当はユーフォに行こうと思ってた
でも、何があったわけでもないのに
なんとなく、だけど、どうしても
パーカッションに
行かないといけないような気がした
結局そのままパーカッションに決まった
自分で選んだものだったけど
はじめは少しも楽しくなかった
正直、打楽器には興味もなかった
ドラムの体験でも8ビートすら出来なくて
私の中でパーカッションは論外だった
吹きたくて吹奏楽部に入った自分が
手にしているものは
金属や木の華やかな管楽器じゃなく
プラスチックのマレット
好きだなんて思えなかった
それでも一応頑張ってはみた
少しも分からないのに
難しいってことと
自分に才能がないってことだけは
嫌でも理解できる自由曲の楽譜
合奏中
永遠に感じた「1人でやって」のあの時間
何度1人でやらされても
一生出来ないような気がする連符
「先週の合奏も同じこと言ったよね」って
「もっとこうして」って
何度も何度も
泣きたくなるくらい言われて
悔しくてたまらなかった
管楽器の同級生はみんな
チューニングや基礎練習に夢中だった
吹奏楽祭やコンクールは
もちろん吹き真似
ただ、私達だけはそれができない
1ヶ月先の吹奏楽祭も
2ヶ月半先のコンクールも
私達パーカッションは
真似なんて許されない
人数の少ないパーカッションだからこそ
1年生も高いレベルを求められる
だから、やるしかない
頑張るしかない
でも、やっぱり出来なくて
また怒られる
励ましてくれる友達の言葉に
「ありがとう、大丈夫だよ」
そう言って笑ってたけど
本当は、あの頃
吹き真似で許される管楽器のみんなや
音の小さい打楽器担当の友達が
羨ましくて仕方なかった
「打楽器は真似するだけでも音が出る
特に私の楽器は聞こえやすい音をしてる
だから仕方ないんだ」
頭の中では分かっていても
同じ1年生の中で
自分だけ絶対にミスが許されないから
本当の意味で
気持ちを理解出来る人はいないんだって
それが苦しかった
辞めたくて
でも辞められなくて
「今日こそは辞めてやる」
そう思いながら
毎朝部活バックを手に家を出た
続けることが苦しくて
辞めることが怖くて
どっちを選んでも
私の進む道に光なんかない
理由も根拠もないのに
どうしてか、そんな気がした
でも、違った
気がついたら連符も譜読みも
簡単にできるようになってて
みんなより1歩先の練習を積んできた分
ちゃんと上手くなった
光がなくても
辛くても、苦しくても
それでも進み続けた人の先には
きっと明るい未来がある
大丈夫、1人じゃない
私もそう思えるようになった
本気で私を想ってくれる人がいる
私の努力を見ててくれる人がいる
努力は涙は未来の私に繋がるんだって
先生や先輩、周りのみんなが
音楽が打楽器が、全部が
たくさん教えてくれたから
私はみんなのおかげで強くなれた
あの時間を思い出すと
今がしんどくても
頑張れるような気がしてくるんだ
今も隣にいてくれる人達は
そっと背中を押してくれる
先生や先輩が私に残してくれた言葉は
たくさん勇気をくれる
みんなが私の
頑張る理由になってくれるから
きっとこれからだって大丈夫
泣いても、立ち止まっても、転んでも
きっとあの時みたいに
また前を向いて
私らしく進んで行ける日が来るから