はじめる

#怠惰

読んでると、
思わず胸がギュッとしめつけられる、
そんなポエムを集めました。

全70作品・

【ForGetMe~クロとユキ~杉浦の章*第六話邪な志し】



“お前ほんと何で刑事なんか目指したんだよ”


ふぅーっと煙草の煙を吐きながら


クロのあの言葉を思い出す。




「知らぬは当人だけか…」


「えー?」


ベランダへ出て


煙草を吸う俺を


六花がベランダ柵から


身を乗り出すようにして


覗き込んだ。



「なんだよ」


「何ぶつぶつ言ってるのかなーって?」


「お前にはじめて押し倒された時の話だよ」


「えー?」


「忘れたのかよ」


全く、これだから


忘れっぽい女は困る。


「俺が警察官になった理由」


「ああ、あれか」


六花は、ふふっと微笑むと


俺の腕に絡みつく。



心地いい胸が


二の腕でぽよぽよと弾んだ。


「胸、わざとか、コラ」


「どっちだと思う?」



六花の挑発的な態度が


サディスティックに火をつける。


顔を傾け、臨戦態勢


唇をもらおうと


近づけば


ぐっ、と頬の辺りを


押しのけられた。




「いってぇ、何すんだよ」


「煙草吸った後は駄目」


「なんなんだよ一体、少し前まで煙草の匂いが好きだっつってたくせに」


「自由にキスしたいなら素直に煙草やめればぁ?」


またそんな可愛くもない言い方で


物を言う六花に


俺は少々いじけて


彼女の腰をぐっと寄せた。




「こら、友紀」


「うるさい、黙れ」


「ん、、もう」


一思いに唇を塞ぐと


さっきまで六花が頬張っていた


アイスクリームの甘みが


舌先に優しく触れた。










__俺が警察官を志した理由


それは大義の為ではなかった。



何のことは無い。


好きな女が


懇願してきたからだ。



ただそれだけの理由。



だけど俺にとっては


人生を賭けるには


十分過ぎる程の理由だった。



***

クロ、杉浦…高校三年生
六花、高校一年生の頃




「入れて?」


「……仕方ねえな」


六花はその日泣きべそをかいて


俺の家を尋ねてきた。



パジャマにしてる、


白い長Tシャツ姿に


裸足という刺激満点の


格好を見た瞬間


全身を巡る血液が


沸騰したかと思った。



田舎とはいえ


夜中にこんな格好して無防備に


外をほっつき歩かれたんじゃ


心配を越えて不愉快極まりない。



なんとか気持ちを抑えつつ


俺の部屋に招き入れるなり


俺は六花に尋ねた。




「つーか、何その服装。その辺のオヤジに襲って欲しいわけ?」


「お兄ちゃんと……喧嘩したの」


「クロと?何で」


「……やっぱり警察官の夢、諦められないんだって」


「親はなんて言ってんの」


「……大賛成してる」


「六花はまだ反対してんの?」


「だって、危ないじゃん…、拳銃扱う仕事なんだよ?お兄ちゃんボーッとしてるし、すっごく心配…」



六花は筋金入りのブラコンだ。


高校二年の時


クロにはじめて彼女が出来た時も


俺のところに泣きじゃくりに来て


そのまま勢いで俺たちは関係を持った。




俺はクロと親友になって


六花を妹と紹介された時


一目でその愛らしさに


心奪われていたから


願ったり叶ったりだったわけだが



時折、思う。





俺は面倒臭がりだし


三度の飯より


寝ることが好きな怠惰な性格で


はつらつとしてもいなければ


幼い時に手術をした事もあるような


不健康不育男子なのだ。



一方クロはいつもほがらかで


部活も意欲的に参加し


スポーツにおいても勉学においても



努力家で非の打ち所がない。



俺とは、正反対の性格だ。





…六花は俺なんかで


本当に良かったんだろうか。




それでも嫌いにはなれない。


愛情は増していく。


六花には、泣いて欲しくない。




「クロは、正義感すげえ強いし、警察官向きだと、俺は思うよ」


「友紀まで、そんな事…言う……」


「いいじゃん、好きなことやらせりゃ。俺は警察官なんかにゃ絶対ならないし、いつも六花と一緒に…」


そこまで言った時


六花は目をきらきらと輝かせて


押し倒さんばかりの勢いで


俺に詰め寄った。



「それだ!それ!友紀、それだよ!」


「……は?」


「友紀もお兄ちゃんと一緒に警察官になってくれたら私すっごく安心!」



とんでもない事を言い出した。


兄可愛さのあまり


彼氏の俺の人生を


兄のお守り役にしようとしている。



「おい、待て。俺をそっち側に引っ張るな…」


「友紀は何か夢はある?」


「俺にはサラリーマンになって平凡な毎日を楽しむという夢が……」


「えー……私、友紀の警官服姿、見てみたいなぁ。かっこいいだろうなぁ。惚れ直しちゃうなぁ」



惚れ直すだの、


見てみたいだの、


彼氏心をくすぐる六花の言葉に


まんまと絆され俺は黙り込む。



「友紀がね、警察官になったらずーっと一緒にいられるよ?」


「あ?どういうこと」


「私もお兄ちゃんと友紀追いかけて警察官になるから!」


「は!?」


「悪いやつ捕まえるの!ヤクザとか、犯罪者とか、殺人犯とか、いーーーーっぱい捕まえるんだ」


とんだ将来設計だ。


計画性がない上に


危なっかしいにも程がある。



困ったことにこの六花…



言い出したらきかない。




「……俺が警官にならねえっつっても、お前は」


「なるよ」


「だよなぁ…」


呆れたため息を


吐く俺とは対照的に


六花は満足気な表情だ。


あーあ。


とんだ女に惚れたもんだ。



「わかったよ、クロと心中覚悟でなりゃいいんだろ、警察官に」

「ほんと!?」

「六花の事も…守りてえし」


珍しく自分の感情に素直に


言葉に表せば六花は


嬉しそうに微笑む。



この笑顔がずっと


俺に向けられるなら。



この時、俺は


邪な進路を志す事に決めた。



***


「あー……早まったなぁ」


「んー?」


キスの合間に


呟く言葉。



「やっぱ俺、警官向いてねえよ」


「そう?」


「相変わらず寝るの好きだし、体力ねえし、今日なんかすんげえ傾斜角の寺目指して階段のぼってさ、死にそうだった」


「またまたそんなこと言って、お兄ちゃんフル活用したんでしょー?」


「ご明解」


俺が笑んで六花の耳元に


そう囁くと


こそばゆそうに肩を竦めて


やはり、笑った。



「俺は正義感ゼロだからな」


「そう?」


「一言多いみてえだし。昨日は危うく狭い店の店主に、店ちっちぇなって言おうとしてクロにお小言くらった」


六花は腹を抱えて笑うと


涙まで拭い


俺に絶え絶えな息を吐く。


「それは友紀が悪い。お兄ちゃんが口うるさくてよかったじゃない。お兄ちゃんがいなかったらきっと友紀、始末書だらけだよね」


「うるせーよ、こっち向け」


「もう。うがいくらいし……っ」



風向きが悪いと知るや


俺は六花とまた唇を繋げる。


六花の細い指先に


格好の悪い俺の指を絡めながら


ずっと繋がっていたいと


身体中で語った。



女性警官は150センチ以上という


身長制限がある。


六花はその制限を


ギリギリ0·9ミリ越えで通過した。



抱き締めると小さな身体。



こんな身体で警官とはね。



交通課と言えど、


切符を切る時、柄の悪い輩に


絡まれる事もあるだろう。



「なあ、六花」


「ん?」


「交通課はどうだ」


「すんんんごく楽しいよ!速度違反者とか取り締まる時ドキドキしちゃう」



この正義感の強さが


裏目に出なきゃいい。



心配が胸を締め付けて


身動きがとれずに


あぐねて俺は


六花をいっそう強く抱き締める。



すると六花は


ため息をひとつつき


「しーんぱいしょう♪」


と、俺の尻を揉んだ。



「おい、やめろよ痴女!」



普段、触られなれている場所でもない。


俺が焦って声を大にすると


六花はまるでオヤジの様に


ねっとりとした喋り方を演じた。


「なぁによぅ、痴漢じみたこといつもするのはだぁれぇ?」


「俺のケツは高いんだぞ」


「へぇ?いくらするの?」


「一億万円!」


「ぼったくり!!」


二人で目を見合わせて笑う。


そんなひとときがとても好きだった。

ひとひら☘☽・2020-05-08
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ワーカホリックも怠惰の一種。
スケジュール管理を自分ではしたくない、
という意味で。


それどころか、
週7日も働くのは
自己嫌悪から来る
自己虐待(セルフネグレクト)の一種かもしれない。
あまりにも疲れはてていると、
もはや仕事が楽しいなどとは思えないのだが💦
それでも、健康を害して倒れるレベルでなければ
迷わず出勤してしまう。
これって自分の限界に挑戦?
それともただの自己嫌悪??

ミミィ@歌い手:板谷ミミィ・2020-06-24
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ワーカホリックも怠惰の一種
怠惰
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「明日しよう」と

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:.゚✾☂・゚・。花吐き。・゚・☂✾゚.:・2020-07-12
怠惰
人生
独り言
夏恋
ポエム
黒薔薇の無常

これらの作品は
アプリ『NOTE15』で作られました。

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いつもいつも後悔ばかりだ

夕日色。・2020-08-29
…課題の話です
ポエム
課題
課題終わらない
夏休み
課題テスト
テスト
テスト勉強
勉強
深夜
いつも
後悔
繰り返し
高校生
怠惰
堕落
白昼夢で終わらない
感情の波
夕日色に染めるなら
。さんが気に入っているようです

何も失わずに

全てを掴み取ることは出来ませんか

夕日色。・2020-09-13
誰か答えてください
質問
疑問
相談
ポエム
失う
全部
全て
掴む
掴み取る
手に入れる
出来ない
出来る
辛い
忙しい
怖い
苦しい
悲しい
寂しい
泣きたい
会いたい
甘え
甘えたい
嫌われたくない
好かれたい
愛されたい
生きたい
死にたい
消えたい
辞めたい
辞めたくない
分からない
人生
生活
学校
高校
高校生
悩み
悩み相談
不安
勉強
課題
部活
友達
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時間
心のドア
夕日色に染めるなら
白昼夢で終わらない
努力
才能
負けたくない
勝ちたい
幸せ
弱い
強くなりたい
怠惰
頑張りたい
。さんが気に入っているようです

砂糖で出来た甘い夕飯を口にして

砕いた星をティーカップに敷き詰めて

どろり、溶けだすように眠る

:.゚✾☂・゚・。花吐き。・゚・☂✾゚.:・2019-12-07
一日の終わり
眠い
疲れた
もうむり
独り言
あー
溶ける
眠る
甘い
懈怠
怠惰
ポエム
冬の音色
黒薔薇の無常

どこまでが"仕方なく"て

どこからが"甘え"ですか?

夕日色。・2021-02-01
ポエム
どこ
どこまで
どこから
仕方ない
甘え
怠惰
怠け者
努力
頑張る
頑張り
分からない
辛い
白昼夢で終わらない
。さんが気に入っているようです

あの時だって

忘れることすらなかった

なのに、

君との明日なんてなかった

合結・2021-12-02
愛してた
迷宮
貴方
記憶
怠惰
ポエム
独り言
溜息
混乱
明日

また いつか いつか

そう言えば叶うか?

夕日色。・2020-05-13
歌詞
Mylandscape
BiSH
また
いつか
いつかは
いつかはきっと
言葉
言葉の力
叶うか
叶う
叶わない
先延ばし
努力
夢見がち
現実
不安
楽観的
妄想
想像
自問自答
問題
質問
覚悟
本気
戒め
手紙を拝借
怠惰
怠け者

愛が起爆剤になれるのなら

僕のこれは愛じゃないのか

ふぇるまーた.・2022-03-19
怠惰
独り言
辛い
元気出して
謎のふぇるまーたworld

私は怒り方を忘れてしまった

どうして変わってしまったんだろう、と

よくよく考えてみると

結局は「誰かに嫌われたくなくて」

という理由が大きい気がした。

そう、自分を1番に愛そうとしたら

自分の悪い所すらも怒れなかった

Reito🦊 〜🔓noteCafe〜・2021-08-01
あたしって何だっけ
実はReitoの本心
自分に優しすぎた
怠惰
自分の悪いところ
怒り方
嫌われたくない

恋は盲目

二度寝は至福

ふぇるまーた.・2021-03-08
恋は盲目
二度寝
怠惰
甘えさせてよ
謎のふぇるまーたworld
ことばあそび

共にここを去りたかったのに

夕日色。・2021-07-20
置いていかないで
ポエム
先輩
先輩へ
辞めたい
辞めたくない
辞められない
矛盾
消えない
死にたい
死ねない
辛い
苦しい
寂しい
虚しい
言えない
言ってはいけない
責任
実力
才能
努力
怠惰
自己嫌悪
謝罪
思い出が四角くなる前に
白昼夢で終わらない
完璧主義
。さんが気に入っているようです

煮詰まった思考と止まる手元

私に夏は来ないみたいだ

ふぇるまーた.・2022-07-27
呟き
もるもらんど
謎のふぇるまーたworld
怠惰


君の涙を無視する世界等


いっそ消えてしまえばいい と

何度願ったことだろうか


君の涙が溢れるたびに

君が「消えてしまいたい」と叫ぶたびに


僕はどうしようもない絶望を抱え、

声を押し殺して泣くことしか出来ない




こんな僕こそ 消えてしまえばいいのに



君の涙を無視する世界等

君を助けられぬ僕など

消えてしまえ


と。

そう ゆるやかに堕ちていく

daiki☆@多忙・2021-04-06
涙を無視する世界等
懺悔
怠惰
堕落
僕の愛する君へ(daiki☆)
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