#煙

誰かの愛を吸って生きている。

排気ガスの混じった愛を。


誰かの声に導かれて歩いてる。

雑踏で淀んだ薄汚れた倫理を。

私たちね

もう大人だからね

好きなだけじゃ

一緒に居られないのは

もう分かってるよね

それじゃあまたね

なんて狡い言い方しなくなって

君以外映らないのに

…煙草臭い。

君の枕も

君の服も

君の隣も。

壁紙に引っついて取れない

ヤニみたいに

わたしの恋も張り替えられない。

私たちね もう大人だからね

好きなだけじゃ一緒に 居られないのは

もう分かってるよね それじゃあまたね

なんて狡い言い方しなくたって

君以外映らないのに

君は

私の心に宿ったまま

煙のように消えた

あの日の雲と　昨日の光が

うすまっていく

今日の記憶と　明日の記憶が

歪んでいく

それでも、君との記憶（こい）だけは

どうしても　忘れたくなかった

煙にのまれて

周りにある光に気づけないまま

生きていく

そんな人生嫌だ

赤いスカートの女には成れなくて

後ろ姿をそっと見ていた

「私達もう大人だからね、
好きなだけじゃ一緒にいられないの」

その瞳にはもう
僕は写ってないんでしょう？

きっと、

ずっとわかってたよ。

「煙草はやめなよ。
自分の健康と愛する人の為にね。」

薬指の消えない光が、目の前を攫う。

水平線は今にも縁から
溢れてしまいそうだった。

影が離れ、一人になった砂浜に
薄く煙が立ち上る。

あなたの隣にいるために、
必死で覚えた煙の味は、
あとは俺を蝕んでいくだけ。

｢私達ね もう大人だからね

好きなだけじゃ

一緒に居られないのは

もう分かってるよね？

それじゃあまたね？｣

なんてずるい言い方しなくたって

君以外うつらないのに

火のないところに煙は立たない

恋愛も然りかな

壊れた煙草の箱

コンビニで買ったライター



毒を孕んだ煙が

歪な恋心を

ゆっくりと蝕む



少しだけ距離が縮まるような

少しだけあなたを知れるような

今だけは

そんな感覚に溺れていたい

「朝顔の花言葉。」

小さな朝の光を、
煙の中、目を細めて。
眩しくて、尚眩しくて、
闇からの帰り道、君を描く。

「幸せかい?」
滅んだこの世界に、
一輪だけの花を見つけた。
君と育む愛は窶れそうで
僕は、たまに
壊れそうになるけど、

君と見つけた花の名前は、そう

小さな‥「朝顔。」

それに纏われたから目が痛くて
開けられなくて苦しかった
息をすることさえ禁止されてるみたいな
そんなふわふわした感覚に襲われて
僕は君を離してしまった