#生きたい人

「生きたいのに生きれない人もいるんだよ?」

いつからかこの言葉が嫌いになった。

生きたくても生きれない人がいる

そんなの分かってる。

でも、逆に

"死にたくても死ねない人"

こういう人もいる。

「なにかあったの?」

って聞かれて

「死にたいんだ。」

って言ったら、その口から出てくる

綺麗事に説得されて、

自ら死を選ぶことは間違っている

なんて言われてるようですごく辛い。

この世界は

"生きたい"

がいいことで

"死にたい"

が間違いなんだ。

それでも私は今日も死にたい。

『死にたいなんて簡単に言うもんじゃない』


こっちだって簡単に言ってるわけじゃない

辛くて辛くて仕方なくて

やっと口に出した言葉が「死にたい」だった

生きたい人がいるのもわかるけど

生きたい人が辛いのはわかるけど

じゃあなんで

生きたい人の辛さは認めるのに

死にたい人の辛さは認めてくれないんだって

生きたくても生きられない人がいるからって

死にたいって

生きてても辛くて死にたいって人は

どうして無理やり

生きろなんて言われなくちゃいけないんだ

生きたくても生きられない人に


「死にたい人もいるんだからその人の為に死にな」


って言ってる様なもんだよ

それを簡単に言ってる方が

私はよっぽど理不尽だと思う

『死にたい鴉、生きたい白鳥』













「ねぇ、【鴉さん】。痛くないの？」



とある日、鴉のような俺に



白鳥のような彼女が聞いて来た



「痛くない。痛みを感じない。」



「噛み付いたら痛いんじゃない？」



「いや辞めろよ。」



あははと笑う【白鳥さん】は



余命幾許も無い



そんな事を感じさせない程



【白鳥さん】は明るく儚かった



「ねーね、【鴉さん】。



腕ちょっと見てもいい？」



「噛み付かないなら。」



「噛み付きはしないよ。ガブリする。」



いやそれ噛み付くと一緒だろ



と、心の中で盛大に突っ込んで



長袖を捲った



「うわぁ…。ここ、白いの見えてる。」



【白鳥さん】は



否定するでもなく肯定するでもなく



ただそっとそっと撫で続けた



「噛み付かないんだ。」



ボソッと呟いた



「死んだら吸血鬼になって



【鴉さん】の腕から血吸おうかな。」



そうボソッと呟き返して来た



金木犀が香り出す



肌寒い10月



へへへと微笑む【白鳥さん】に



心だけは温まった



それが【白鳥さん】が空に舞う



二ヶ月前の事



「ふーっ！ほら！見て見て！



白い息が出たよー！」



11月



【白鳥さん】は歩けなくなった



仮退院も無くなった


ﾋﾞｮｳｲﾝ
【白鳥さん】は此処で



空に舞うんだと悟った



歩けなくなった【白鳥さん】を



車椅子に乗せて



病院の庭を散歩した



「ねぇ生きてる？私。」



寒空に手を掲げながら



【白鳥さん】は言った



「分からん。でも



生きてなくても死んでても



俺は多分【＿＿＿】」



好きだとは言えなかった



だから【＿＿＿】と言った



【白鳥さん】は一瞬驚いて



「優しいんだね。【鴉さん】。」



そう言った



泣いていたのには



気付いてないふりをしておいた



「ねぇ、【鴉さん】？



最近思うんだよね。



私、二回死んじゃうのかなって。」



ゆっくりゆっくり



歩みを進めていた足が



止まってしまった



でもまた直ぐに、動かした



そして【白鳥さん】に言う



「俺が二回死なせないでおくよ。」と



そう言うと【白鳥さん】は



安心したように目を瞑った



「なー【白鳥さん】。



俺やっぱ【白鳥さん】が好きだよ。」



意を決して言った



でも返事はない



「ちょ、聞いてんの？」



車椅子の前に行き



【白鳥さん】を見つめる



どうやら、様子がおかしい



「先生！【白鳥さん】が…っ！」



たまたま通りかかった



【白鳥さん】の担当医に



俺は必死に叫んだ



【白鳥さん】が死ぬかと思った



そう思うと怖かった



怖くて、苦しかった



「…んー、【鴉さん】…？」



まだ意識がはっきりしていない



【白鳥さん】が



俺の名前を呼んだ時は



涙が止まらなかった



「んぇ、なんで、泣いてるの？」



困惑したような【白鳥さん】の顔が



歪んでよく見えない



【白鳥さん】は少しして



自分が意識を失った事を理解すると



「そっかそっか。怖かったね。」



そう言って



子犬の頭を撫でるように



俺の頭を撫でて来た



誰より怖いのは【白鳥さん】なのに



そして等々



【白鳥さん】が空に舞う



その月がやって来た



その時には呼吸器が外せなくなっていた



いつ死ぬかも、分からなかった



「ねぇ【鴉さん】？」



「ん、どした？」



「好きだよ。めっちゃ好き！」



へへへと笑って



何故か泣き出した【白鳥さん】



溢れて止まらない涙を



必死に必死に拭って



俺は【白鳥さん】に



「俺も、俺も、好き。めっちゃ。



めっちゃ好きや、【白鳥さん】。」



そう言った



少女漫画のような



甘い優しい言葉は言えないけど



俺の精一杯で想いを伝えた



それからそっと、抱き締めた



永遠に続けと



切に願った



でもその願いは叶わなかった



「【鴉さん】。少し、話が。」



【白鳥さん】の病室に向かう途中



担当医の先生に呼ばれた



何となく察しはついた



「【白鳥さん】の状態は



はっきり言って、危険な状態です。



今日、明日、明後日が＿＿。」



「はい。分かってます。」



本当は全然



分かってなんて無いんだけど



ガラガラガラ



【白鳥さん】の病室のドアを開け



何も無かったように入る



眠っている【白鳥さん】の手は



ずっと病室に篭っているせいで



真っ白だった



本当の白鳥の様だった



「【白鳥さん】。



俺、どうしたらいいかな。」



そう解いたって



眠る【白鳥さん】は答えない



「【白鳥さん】…。



俺、どうすればいいの？



【白鳥さん】居ない世界とか



主人公の居ないドラマと同じだって。



ねぇ…〔”消えないで、白鳥さん”〕」



まだ、羽ばたいて欲しくない



まだ、この地に立っていて欲しい



生きる希望は【白鳥さん】



世界一好きも【白鳥さん】



想いが糸のように



絡まったばかりじゃないか



ぐちゃぐちゃに



解けないように結んでやろう？



固結びしてやろう？



蝶蝶結びなんて簡単に



解けてしまうから



形が汚くてもいい



認められなくたっていい



俺は生きてる間ずっと



ぐちゃぐちゃに結んでやるから



だから_。



「…んぅ？【鴉さん】



何で、泣いてるの？」



「【白鳥さん】…。



まだ羽ばたかないで。」



目覚めたばかりの【白鳥さん】に



俺は本当に不思議な事を言った



少しキョトンとしてから



理解したように【白鳥さん】は



「羽ばたくよ。」と笑った



「そっか。」



俺も羽ばたこう



黒い羽根で羽ばたこう



そう決めかけた時



「ただ羽ばたくんじゃないよ。



来世で【鴉さん】と結婚するの。



それでね、赤ちゃん産んで



【白鳥さん】の羽が壊れるまで



【鴉さん】が白鳥だって事理解するまで



ずっとずっと一緒に居るためだよ。」



それから【白鳥さん】は



壊れかけた羽で



俺の事を包んだ



まだ、暖かかった



ドクンドクンドクン



心臓が生きていると叫んでた



まだ生きているのだと再確認した



あの日から２日後



【白鳥さん】は寝て過ごすようになった



でも手を握ると



ピクって反応してくれて



それが余計苦しかった



「ふぅ…。」



涙混じりの溜息を吐いた時



ピポーンピポーンピポーン



心電図モニターから



嫌な音が鳴り響いた



急いで先生を呼んだけど



【白鳥さん】は



空へ羽ばたいてしまった



きっと自由に空を飛んでいるのだろう



そう思う程青々とした空だった



実は、【白鳥さん】にも俺にも



家族は居ない



だから病院で焼いてもらった



帰ってきた【白鳥さん】は



生きている頃の跡形も無かった



【白鳥さん】の病室の



片付けをしていた時だった



「【鴉さん】へ…？」



淡い青色の手紙だった



読む度に涙が止まらなかった



『【鴉さん】へ



私は白鳥なんかじゃないよ



私は【鴉さん】と同じ鴉だよ



だから【鴉さん】を白鳥には出来ない



て言うか【鴉さん】に



白鳥にしてもらわなきゃ



【鴉さん】は白鳥だよ、立派な白鳥



【鴉さん】が何と思おうと



私の憧れで白鳥でした



腕を傷つけていようが



【鴉さん】は我武者羅に



今日に食らいついている



この手紙を読んでるってさ



私が羽ばたいた後も



少なくとも1日は生きたって事じゃん



凄いよ、偉いよ、強いよ



私が次に【鴉さん】と会う時は



なるべくおじいちゃんなっててよね



子供の姿の【鴉さん】は飽きた！



もう、書ききれないから最後に一つ



愛してた、いや、ずっと愛してるよ』



パタン



傷だらけの腕を見ながら



【白鳥さん】から貰った手紙を



何度も何度も読み直した



この手紙を読んだ時は



ふざけんなって思ったけど



今は【白鳥さん】らしいなって



懐かしい気分に浸れる



なぁ【白鳥さん】



【白鳥さん】がどう思おうと



これまでも今もこれからも



ずっと俺の【白鳥さん】だよ



それとな、今日で



【白鳥さん】が羽ばたいてから



1年経ったよ



凄いだろ俺



頑張ったろ俺



それだけじゃないよ



俺、白鳥になれたんだ



【白鳥さん】を救えなかったのが



本当に悔しくて



俺、医者になって



沢山の人の羽を治したよ



黒い【鴉さん】の俺も



〔”ありがとう”〕ってその言葉で



【白鳥さん】になれたんだ



まだ、空には羽ばたかない



沢山の羽を治して



それから羽ばたくよ



待っててよ



【白鳥さん】らしく



自由に空を飛んで



待っててよ



【白鳥さん】らしく



色んな人笑わせて



それと最後に



俺も、【＿＿＿＿】＿。



【元 鴉さん】より＿＿。

生きたい人が生きれて

死にたい人が生きる希望を
見つけられますように。

これからの人生
何があるか分からないし
今は暗い闇の中にいるけど

きっと未来は明るいって信じたい

「自殺」って言うと、まるで
“死にたい人達”
“自ら死を望んだ”
“現実の重みに耐えられなくなって
　逃げた”
って言ってるみたいだけど
自殺した人達は、
ただ“生きたくなかった”んだと思った。

死にたいんじゃない。

この世に生きていたくないだけ。
生きる場所が此処じゃないだけ。

自分で、希望を持って
この世界にサヨナラをしただけ。

自殺者や死を決意した人に

｢病気や事故で生きたくても生きられなかった人が居る｣

｢その人の気持ちを踏みにじるのか｣

とかよく言うけど

自殺者や死を決意した人も

"生きたくても生きられなかった人"

なんだよな＿＿

死にたい人に『生きろ』って言うのは


生きたい人に『死ね』って言うのと


同じくらい残酷

「死にたい」と叫んで

今日も息をして

「生きたい」と願って

息の根を止めた


「生きたくない」と泣いて

今日を感じて

「死にたくない」と涙して

目を閉じた


理不尽なセカイ

"生きたくても生きれない人がいる"
ってよく聞くけどさ
"死にたくても死ねない人だっている"

同じぐらい苦しいんだよ
だから同じように扱ってよ

「生きたい」と願う君の命は燃え尽きて
「死にたい」と願う私は今日も息をする

死にたい人に「生きて」って言うのは、

生きたい人に「死んで」って言ってるのと同じだからね？

世の中って不思議なこと沢山だね…

なんで、死にたい人は生きてて

死にたくない人は、生きられないんだろ…

死にたくない人と変わってあげたい。

生きたい人にちゃんと生きてほしい。

ほんとに神様っていじわる。

生きたい貴方が生きれなくて

死にたい僕が生きている。

君の分僕が生きるの？

やだ、君が生きてよ。

＂死にたい＂そう嘆く人が本当は、
死にたいんじゃなくて、生きたくないだけなんだって、
分かってるつもりだった。
でも、分かってなかった。

なんて声をかけるのが正解？
相手はなんて声をかけて欲しい？

いくら考えても、
これまで何となく人生を生きてきた14歳の少女に分かるはずもなかった。

知ってる？


「死にたくても生きている人」や

「生きたくても生きられない人」も

「LGBTQっていう名前をつけられて

　差別されてる人」も

この青い空で みんな繋がってるんだよ？

だから一人一人の個性を認め合おうよ。


とか 奇麗事なのかな＿＿