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読んでると、
思わず胸がギュッとしめつけられる、
そんなポエムを集めました。

全6作品・

シンドローム
#眠り姫症候群

第1章︰皇輝と紗姫









シンドローム
眠り姫症候群。


いつどこから始まったのかは不明。突拍子に強い睡魔に襲われる。


最初のうちは少し眠いぐらいだが、だんだん睡眠時間が長くなり


最後は目を覚まさなくなるという病気。治療方法、感染経路未だに不明。



そんな病気が流行する世界で生きる2人のお話__。








『今日も感染者いっぱいいたねー』



「ほんとだよな。早く収まればいいんだけど」


こうき
『私は皇輝くんになって欲しくないな』


さき
「俺も紗姫にはなって欲しくないよ」



眠り姫症候群。


俺が生まれるよりずっと前から流行っている謎の病


感染経路、治療方法共に不明。


俺はこの病気を治す為医者を志す医大生。


紗姫は高校の同級生だ。


紗姫も俺と同じ夢をもっていて


そして俺の大事な恋人だ。



『ねぇ皇輝くん』



「なに?」



『もしも私が眠り姫症候群になったらどうする?』



「ばーか。なに縁起悪い事言ってんだよ。」



「しかも、自分が治そうとしてる側なのになったら元も子もないだろ。」



『そうだけどーならないとは限らないじゃん?』



「確かにな、まあ俺は紗姫がなったらなんとしてでも治療法を見つけてやるよ。」



「ありがとう。皇輝くん。」



本当に紗姫は可愛い。


バカップルに見えてしまうかもしれないけど


ふわっと巻いた髪や女の子らしい服装、鈴のなるような声


可憐で可愛くて誰にも渡したくない俺の大切な人だ。


さっきはカッコつけたけど、紗姫が眠り姫症候群になったら


俺は……。だからそうなる前に治療法を見つけたいんだ。


しかも、医大生だということもあり


この病気で眠りについた人々をガラス越しに


何人も何人も何人も嫌という程見てきた。


大切な人を失い傷ついている人も。


もうこんな経験をして欲しくない。大切な人を守りたい


だから俺は医者になろうと決めたんだ。



『皇輝くん?』



「あ、ごめん考え事してた。」


『まさか治療法とか?ほんとに勉強熱心だね。』




体壊さないようにね、と言って微笑む紗姫。


そんなこと言ってる紗姫だって、この大学に主席で入った


超エリートだ。俺なんて足元にも及ばない



「紗姫こそ、体大事にしろよ。」



『うん。あ、もうこんな時間だよ。』



「……そうだな。」



眠りにつく時は毎日とてつもない不安に襲われる。


朝起きて紗姫が目を覚まさなかったらどうしよう。


もしも俺が目を覚まさなくて紗姫を1人にしたらどうしよう


怖くて怖くて、不安に押しつぶされそうで、


でも今隣には紗姫がいてここには俺がいる。その証拠を残したくて



『おやすみ。紗姫。』



そう言って紗姫にキスをする。


この世界に留めておきたくて。



『おやすみ。皇輝くん。』













……To be continued

水無月 凜寧✯*・☪.。・2021-06-20
眠り姫症候群
小説
前編
恋人
近日第2章公開予定
恋愛とは
君のいない人生
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僕らの出会いはあの『天の川』だった。











宙に天の川が架かる夜。

僕は宙から離れた
地上の川に身を委ねようと
1人、川岸にやってきた。




願い事が叶う夜に、
僕はひとつ願いを囁く。




《違う世界に生まれたい》





そう書いた短冊を持って
僕は今日川に翔ぶ。





世界に人生に嫌気がさして。

そんな言い訳みたいな理由で
僕はこの命を終わらそうとする。


ひとつ願いを抱えて。



靴を脱いで、息を吸って、はいて。

翔ぼうとした。




じゃり。





後ろで音がした。

人が歩く音、こんな時間に誰だ、


後ろを振り返り、そこに居たのは

僕より少し背の低い女の子。



月明かりに照らされた肌は、
白く透き通って、

光を反射する瞳は、
僕ごと吸い込んでしまいそうだ。

今にも壊れてしまいそうな、
そんな女の子だった。




「何してるの、そこの君。」



不意に聞かれ、驚くと同時に、

あまりにも綺麗な声で、
一瞬時が止まったようだった。


「願い事をしに来たんだよ。」
「君こそこんな夜に何しに来たの。」



それに君はこう答えた。




「天の川に願い事をしに来たの。」






天の川、?



それは宙にあるあれの事か、?



「でも、地上に天の川なんてないよ、」




「宙に浮かぶ天の川は届かないから
ここに来たの。」




そう言って君は短冊を取りだした。




「これを川に流すの。」





書かれているのはこんな文章。




《楽しく生きてみたい》






「君は楽しくないの?」




その答えに君は答えなかった。

代わりにこう言った。




「じゃあ君は楽しい?」





「僕は、、、」



たのしくない
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄





でも、嘘を付いた。

「楽しいよ」って。


もうこんな嘘つくのには慣れた。

毎日毎日。僕は嘘つきだから。




そしたら、
君は大きな笑顔で僕に言った。



「じゃあ私に君の楽しいこと教えて。」



「楽しいことって僕は何も、、」





「明日来て欲しいところがあるの!」


そう言って僕は次の日、

病院に呼ばれた。











山の奥にある小さい病院。

君はそこに入院してた、

ある病気で。



それがどんな病気なのか、
教えてはくれなかったけど。


治す方法もいつ死ぬかも
何もかも分からないらしい。



そんなことを君は淡々と言うから
少し怖かった。

いつ死ぬかも分からないのに、

哀しいくせに

怖いくせに


それを笑って隠してた。




「私、いつ死ぬか分からないからさ、
死ぬまで私と思い出作ろうよ。」


「そしてまた来年、
天の川、見に行こう」





その日から僕は君の"友達"になった。

学校に行けない君に勉強を教えた。

今流行りの音楽を2人で聞いた。

散髪なんてしたことないのに、

僕に髪を切ってなんて言って、

美容室ごっこもした。








僕の毎日に、少しだけ、
生きる意味ができた、



気がした。





いつの間にか心の中は

君のことでいっぱいになった。







いつまでも
一緒にいたい。

















今日もいつもと同じように、
病室に向かう。




病室の前。

ドアを開けようとしたら、

中から聞こえた、啜り泣く声。





泣いているのだろうか。


どこか痛むのか、?






急いで病室に入る。



そしたら、
君がベットに座って泣いていた。

何かが痛そうな訳でもなくて

ただ泣いていた。




ひとつ違和感があるとすれば、


君の涙は、



赤かった。


血のように。

真っ赤で。



終わりを知らないように

流れ続けていた。



「これが私の病気。」

「びっくりしたでしょ。怖いでしょ。」


「気持ち悪いでしょ。私の事、」


「嫌いになった、?」






そんなふうに言う君は

哀しそうに、寂しそうに

今にも壊れてしまいそうに、


赤い涙を流しながら言った。





「僕は怖くないよ。」


「僕は、」





「君がいない世界の方が怖い。」





そう言って僕は君を抱きしめた。


いなくなってしまいそうで、

抱きしめていないと
消えてしまいそうで。



きつくきつく抱きしめた。














君の病気は、
赤い涙が流れる病気らしい。





悲しくもないのに、勝手に。






そして、もし透明の涙が流れた時、

それは君の命が
終わる時だけだと聞いた。









僕はただその日が来ないことを
祈ることしか出来なかった。










なのに、僕の願いは届かなかった。

神様は意地悪だ。





1ヶ月後、またいつもと同じように
病室に行く。




なのに今日は
君の病室に医師たちが集まって

騒がしく動いていた。






それが何を意味するのか。









君の瞳から涙が流れていた。






"透明"の涙が。










かろうじてまだ息がある君の元へ、

僕は駆け寄る。





「ダメだよ。死なないで。
僕をひとりにしないで。」















その言葉は空に消えて、
ひとつだけ、最期の君の声が聞こえた。












「大好きだよ。」













一筋の涙が落ちた。















ピーーーーーーーーーーー。












病室に機械音だけが響いていた。

















7月7日。


あの日君と出会った天の川。


この日も宙に天の川は架かっていた。


地上の天の川は星はないけれど、
月の光に照らされた波が、

ゆらゆらと煌めいている。






君と会う約束したこの場所。




もう君はいない。




僕に生きる意味をくれた君は

もうこの世界のどこにもいない。





君のおかげで僕は少しだけ

人生を楽しめた気がする。



世界を好きになった気がする。


今なら言えるよ。


楽しいって。

生きていて良かったって。





だから僕は今日、
願い事をするんだ。

もう一度。



僕はね、、
























不在・2020-07-08
七夕の願い事
⿴⿻⿸ショウセツ⿴⿻⿸
小説
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切ない

小説『いつか誰かを愛せるように』【上】


仕事の休憩中、


公園で一人


自販機で買ったココアを飲みながら


まだ少し寒い3月の空を見上げていた_。


アマミヤ
『雨宮さん!』


そう後ろから呼ばれた。


私は振り向く。


サクラダ
『桜田さん?


そんなに急いでどうしたんですか?』


スーツ姿のその男性に問う。


『い、一緒に映画行きませんかっ!!』


その人は少し頬を赤らめ映画のチケットを差し出す。


『いつか自分を愛せる日まで』


その映画の題名だった。


今話題の映画だ。


映画を見た友達と会ったときネタバレをされたので内容は知っていた。


(長すぎてあんまり聞いてなかったけど、笑)


『いつか自分を愛せる日まで』_


その物語は


高校生の少女が


両親を亡くして


学校でいじめられて


自殺しようとしたときに


ある男の人に出会って


幸せを知っていくという話だ。


まるで私の人生を描いた映画みたいだって思ったな。


でも、少女は最後その男の人と結ばれたんだっけ。


エンディングはありがちなハッピーエンド。


その物語相応のトゥルーエンドだ。


私とは...違う。


『雨宮さん...?』


私はハッとする。


チケットを差し出したままの男性が


心配そうに私の顔を覗き込む。


『あぁ、ぼーっとしててごめんなさい。


私もその映画見たいと思ってたんです。』


嘘だ。


今できる精一杯の笑顔で返事をするが


上手く笑えてるか分からない。


映画を見てしまったらきっと思い出してしまうから。


あの日失った大切な人を。


“朝日さん”を__。


『じゃあっ、今度の日曜日午後1時に駅前集合でいいですか?』


勇気を出して誘ってくれたのだろう。


ふにゃっとした笑顔で笑う男性。


可愛らしい、と思ってしまうのはいけないだろうか_?


『はい。大丈夫ですよ。』


私は素っ気ない返事をする。


『で、ではまた!!!』


ひらひらと手を振りながら走り去っていく男性。


私も軽く手を振りながら見送る。


サクラダ ヤヨイ
桜田 弥生。


同期の男性だ。


背は私より高く、180cmくらいだろう。


少し明るい茶色の髪。


透き通った肌。


色素の薄い目。


モデルのような顔立ち。


いわゆる、“イケメン”という部類なのだろう。


職場の女子たちに好かれるのもわかる。


だが、そんな女子たちを放置して


毎日のように私に話しかけてくる。


私に気があるのでは?と疑うほど。


そんなの自意識過剰なだけだ。


そう思っていたが映画まで誘われると


本当にそんな気がしてしまう。




ー日曜日ー


『雨宮さん!


ごめんなさい、、!


待ちましたか??』


息を切らして駆けてくる弥生さんが問う。


『いえ、今着いたところです。』


男性と二人で出かけるのなんて久しぶりだったから


緊張しすぎて1時間前に来てしまった、なんて言えない。


それにしても芸能人のようなキラキラのオーラを纏った弥生さん。


私服もお洒落に着こなすなぁ。


それに比べて私は...。


『可愛いですね。』


へっ?


何を言ってるんだこの人。


『なんか質素というか、控えめな感じが』


『え、』


『あぁっ、悪い意味じゃなくて


僕はシンプルな方が好きっていうか


あんまり派手なのは苦手で...笑』


『ありがとうございます。


でも桜田さんもかっこいいですよ。』


桜田さんは顔を真っ赤にして慌てている。


かっこいいというよりは可愛い。


『それじゃ、行きましょうか!』


『はい』


そう言って私たちは歩き出した。


日曜日の午後ということもあり


混雑している駅で


人混みの中を進んでいく。


私が通行人に押されよろけそうになったとき


『危ないっ!』


桜田さんが私の手を掴む。


『大丈夫ですか?』


『はい、


すみませんありがとうございます。』


桜田さんは私の手を掴んだまま駅の中を進んでいく。


電車に乗り


2駅先で降りた。


それから映画館に着くまで手は繋いだままだった。


『雨宮さんは飲み物とポップコーン何がいいですか??』


『そんな、、自分で買いますよ!!』


『いえ、僕が誘ったんで今日は僕に払わせてくださいっ!』


『えっと、じゃあお言葉に甘えて...


アイスティーとキャラメルポップコーンでお願いします、笑』


『分かりました、


じゃ、買ってくるんで待っててください!!』


『ありがとうございます笑』


笑顔で走り去っていく桜田さん。


不意に黄色い歓声が上がる。


『え、まって、やば


あの人超かっこよくない??』


『ほんとだー!


彼女とかいるのかなー?』


映画館に来ていた女子はどこから見てもイケメンの桜田さんを見て


虜になっていた様だ。


『雨宮さーん!!』


飲み物のカップとポップコーンが置かれたトレーを持ち


駆け足で来る桜田さん。


そこのイケメンさん、タイミング最悪です。


『はい、どうぞっ』


『ありがとうございます笑』


私に駆け寄ってきた桜田さんを見て周りの女子たちは


『え、もしかしてあの子彼女?笑』


『いや、それは無いでしょ笑


妹とかじゃない??』


『でもさっき苗字で読んでなかった??』


ひそひそと噂をする人達。


過去がフラッシュバックする。


やめて、


やめて、


もう何も言わないで___





春_高校入学式_


高校では上手くやらなきゃ。


友達を作るにはまず第一印象からだよね。


よしっ!笑顔笑顔っ!!


『は、はじめましてっ


アマミヤ レン
雨宮 蓮です。


良かったら連絡先、交換しませんか??』


『いいよー!


タマキ マヤ
私は玉木 舞夜、


これからよろしくねー』


――――――――――――――――――――

【メッセージ】


《舞夜ちゃん》


『蓮ちゃん改めてよろしくね!』


『うん、よろしくね!』


――――――――――――――――――――


舞夜ちゃん。


クラスで人気の女子。


席が近かったから話しかけてみたけど


まさか本当に友達になれるなんて。


初めての“友達”__


ずっとずっと憧れてたもの。


小学校でも、中学校でも友達なんてできなかった。


『蓮ちゃんって暗いし、何考えてるかわかんない』


『蓮ちゃんって親いなんでしょー?』


『蓮ちゃんっていつも勉強してるよねー』


『真面目かよ笑笑』


そんな理由でハブられたり虐められたりした。


明るくなるにはどうすればいいの?


親がいないことって悪いことなの?


勉強を頑張るのって悪いことなの?


私を家に置いてくれる叔父に心配をかけたくなくて


学校での出来事は黙っていた。


物を隠す、汚す、壊す、捨てる。


ありがちな虐めだった。


だから、高校では上手くやって


1つでも楽しい思い出を作りたかった。


だけど、


それは夢で終わった_


次の日、学校に行くと


私の机には


油性ペンで書かれた酷い言葉が並んでいた。


なんで?どうして?


息が荒くなる。


『大丈夫?』


そう言ったのは舞夜ちゃんだった。


『う、うん』


『そっか。


じゃ、今日からまた虐められてね笑笑』


『...え?』


何?


どういうこと?


“また”って何?


なんで舞夜ちゃんが私が虐められてたこと知ってるの?


『あれ、言ってなかったっけ?


私の彼氏、あんたと同中だったんだよね。


リント
覚えてない?凛斗って人。』


凛斗ってもしかして


ニシダ
『西田君...?』


『そー。西田 凛斗。』


嘘。


なんで。


もうやだ、


楽しく生きたい。


どうして私はこんな酷い目に遭うの?


『凛斗と違う高校になったから安心してた?


馬鹿な凛斗がこの高校行けない代わりに


頭の良い私がわざわざ受験してあんたを虐めたげるってことになったの。


あんたみたいなのは私達のために働いてればいいんだから笑笑』


入学早々、私の自由は奪われた。


高校での虐めは更に酷いものだった。


暴力だって振るわれた。


私の場所はどこにも無かった。


だから家出をして死のうとした...


でも今私は生きている。


あの日、あの時、あの場所に行かなかったら


私は今きっとここにはいない。


けどそれはまた別の話_






『雨宮さん??


大丈夫ですかっ?


顔が真っ青ですけど...』


『あっ、ごめんなさい、


ちょっと疲れただけだと思います笑』


私はもう大人だ。


陰口なんて気にしない。


私の居場所はここにある。


私は私のために生きる。


まだ自分を愛せてないけれど。


誰かに愛してもらう温もりを知ったから。


今日も前に進める。


『行きましょうかっ』


私は今できる精一杯の笑顔で問いかけた。


上映中、息をするのも忘れるくらい映画に夢中になった。


冷えたアイスティーの味も


キャラメルポップコーンの味もわからなくなるくらい


私はスクリーンの中の世界に引き込まれた。


誰もが望むハッピーエンド。


誰もが期待したエンディング。


私は...


あれから自分を愛せているだろうか。


数年前他界した朝日さん。


今あなたはどこにいますか?


もし本当に“生まれ変わり”があるなら


色鮮やかな世界を生きていますか?


あなたは今どんな目線で世界を見てますか?


そんなことを考えながら


私はアイスティーのカップと空になったポップコーンを片付けた。





【下】に続く

えこ・2021-02-23
『いつか誰かを愛せるように』
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#眠り姫症候群

第2章︰紗姫の異変








ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

『おやすみ。皇輝くん。』

こうき
皇輝くんは、いつも寝る時に私にキスをしてくれる

まるで大切な宝物を壊さないように優しく包み込むように。

私はそんな皇輝くんが大好きです。明日も一緒にいられるかな

眠り姫症候群になって二度と目を覚まさなくなったらどうしよう

もう一緒に居られなくなったらどうしよう。毎日毎日

眠りにつく時はそんなことを考えてしまう。でも、

怖がっててもだめだから、私は今皇輝くんといる時間を大切にしたい

だから、明日も生きようね。おやすみ。


「紗姫、起きろー」


『ふぁーあ、おはよう皇輝くん』


「おはよう。お前いつまで寝てんだよ、遅刻するぞ」


『!?もうこんな時間!早く支度しなきゃ』


「昨日疲れてたんだなー今日はゆっくり休めよ」


『はーい皇輝くんもね』


「人の心配してないで自分の支度早くしたらどうだ?」


『あ、そうだったごめんね。笑』


こんな他愛もない会話でもとても私は嬉しい。

今日もこんな素敵な人と生きていられるんだな。

でも、こんなことを考えている時間はない。学校に遅れるし

第1、皇輝くんを待たせている。


『よし!準備できたよ!』


「じゃあ出発するぞー」


何とか遅刻せずに済んだ。これも皇輝くんのおかげだね。

バタバタしてたらもう3時間目になっちゃった。

『ふぁー……』


「やっぱり紗姫疲れてるんだろ。」


「ちょうどいい時間になったら俺が起こしてやるから今は寝てろ。」


『うん、ありがと』


この時はただ疲れてるんだな。ぐらいにしか思ってなかった


「おい、紗姫!」


『あ、皇輝くん……そんなに慌ててどうしたの?』


「だって、お前もう夜だぞ!?疲れてるにも程があるって言うか」


「なんというか……大丈夫か?」


『え……だ、だいじょうぶだよ!ちょっと寝過ごしちゃった』


どうしよう、まさか眠り姫症候群だったら。

さっきは慌ててなんでもないように振舞ったけどここのところ

ずっと眠いし今も凄い寝てたのにまだ眠いし

私は指先の震えがとまらなかった。でも、1回お医者さんに診て貰おう

そんな軽い気持ちで行った私に待ち受けていたのは

ありえない言葉だった。

シンドローム
「 残念ですが、眠り姫症候群です。」


『嘘……嘘ですよね先生!?』


「すみません……残念ながら…… 」


『やだっ!うぅ……』


「私達も最善を尽くします。とりあえず明日から入院してください。 」


『はい……』


そう答えるのが精一杯だった。私が眠り姫症候群?そんなまさか……

そ…そんなにもう長くは生きていられないのかな?皇輝くんになんて言おう

色々考えが溢れてきて涙も零れ落ちてきて、家に着く時にはもうボロボロだった


『こ、皇輝くん……』


「紗姫!?どうしたんだ!」


『わ、私眠り姫症候群なんだって……』


「そんな……嘘だろ?」


『だから、明日から入院しなくちゃいけないの』


「なんで紗姫がなんなきゃいけないんだよ」


『ごめんね。私のせいで。』


「紗姫は悪くないよ。俺が頑張って治療法見つけてやるからな」


『ありがとう……』








……To be continued

水無月 凜寧✯*・☪.。・2021-06-27
眠り姫症候群
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シンドローム
#眠り姫症候群

第3章 おやすみ、俺のお姫様。












ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



『ありがとう……』



紗姫は弱々しくそう話した。


まさか紗姫が?そんな……どこで感染したんだ?なんで紗姫が?


治す方法がないけどどうするんだ?このまま紗姫は死ぬのか?


色んな考えが溢れてきてどうしようもなくていつの間にか俺は



『皇輝くん?大丈夫?』



「え……」



泣いていた。自分の無力さが自分の情けなさが悔しくて悔しくて悔しくて


涙が止まらなかった。なのに、なのに君は……



『私は大丈夫だよ』



笑ってそう言うから。どうして俺は慰められているんだろう。


大変なのはこの子なのに。どうして君はそんなに優しいんだろう。


どうしてそんなに柔らかく笑うんだろう。俺は絶対にこの子を守りたい。



「紗姫。俺、頑張って治療法見つけるから紗姫は頑張って生きて。」



『うん。待ってるよ皇輝くん。』



約束だよ。と小指を差し出す君。いいよ、と言って俺は小指を絡めた。



『ねえ皇輝くん。』


「何?」


『もしも私が眠りについちゃってもずっと私を好きでいてね。』


「当たり前だろ。」


俺の最初で最後の恋人が君だったらどんなに幸せなことだろう。


恥ずかしくて口には出せないけど、俺が好きなのは紗姫だけだよ。


だから、ちゃんと俺の所へ戻ってくるんだぞ。
















































1ヶ月後。紗姫は眠りについた。


もっとしてあげられることがあったはずだと、何度も何度も何度も何度も自分を恨んだ。


悔しくて悲しくて寂しくて死にたくていなくなってしまいたくて何も出来なくて。


でも、最期にどうしても会いたくて特別に許可をとって紗姫の病室へと足を運んだ。


眠り姫症候群は眠りについただけで、死んだ訳では無い。だから病室でずっとずっと


眠り続けるのだ。普通はここには入れない。だけど、俺が眠り姫症候群になってもいいから


どうしても紗姫に会いたかった。病室へ向かうと紗姫がいた。


今にも目を覚ましそうで、二度と起きないなんて信じられなかった。



「起きろよ紗姫……約束したじゃん……」



絶対生きて俺の元に戻ってくるって。こんな我儘言ったって紗姫は戻ってこない。


だから、せめて最期に。


『おやすみ、俺のお姫様。』


そう言って紗姫にキスをした











……To be continued

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