#陽炎

手を伸ばせば

届くけれど

透き通った体では

君に触れる事は不可能で。

　愛と語るには幼稚すぎたし　

　恋と語るほど夢現でもなかった。

　その糸だけが幸せだと　

　思い込んでいた夏の日差し。

水の跡を、指でなぞるように辿る。

何処に行くんだろう。


空の青は、海の青を映しているのかな。

それとも、

海の青が、空の青を映しているのかな。


この涙の跡を、指で這うように辿ったら

何処に行けるんだろう。

陽炎を追いし日々よ
泣き笑って
ゆらりゆらら
あの頃と変わらずに歌えるかな
この世界に生まれた
希望の歌を

もう君のことが思い出せない


空白に侵食されて

侵食されるままで


もう、夢に喰われた君のことが

思い出せない

思い出せない


君は、誰なの

「愛すべき者はまず自分」と

臆病者が呟いてる

あなたの心は陽炎のよう

ゆらゆら揺らめいて掴めない

大切なものは

お互い

あの日と変わったよね

「青春」という甘い言葉で喜ぶ高校生を
私は見たことがない。

青春というのは
大人のノスタルジーが作り出した
陽炎にすぎない。

だとしたら
あの夏に
あなたが練った
ねるねるねるねは ...

陽炎の向こう側で
あの魔女が実演販売を実施していた。

無論、見間違いか、幻だ。

コンクリートから照り返す日光は、
現実の色さえも、変えてしまうようだった。

あの暑い夏の日に


僕に向かって手を降ったきみの姿が


陽炎のように揺蕩って


雲立つ頃に追憶する。

陽炎の中のねるねるねるねのように
理想の色は
あなたが100m近づけば
100m遠ざかる。
だからあなたは
いつまでも練りやめることが
できないのだ。

照り返す路面…

道路の向こうに、魔女の幻が見えた。

陽炎が作り出した幻惑…


熱中症になると困るので

僕は早々と帰ることにした。

エアコンが効いた部屋で

ねるねるねるねを食べるのだ。

夢の紛い物

葉の語りと寝惚け眼

雲上 船を漕ぐ

青の面影

追って、追って

水に映る空は
陽炎の様に揺らめいて

掴み処の無い貴方の
ようだ