#ノスタルジー

私が迷子にならないように

帰り道を照らしてくれた空

また会おうって約束しながらの帰り道

君の姿が見えなくなるまで手を振った

いつかまたね手を繋いで

君と帰りたいと願わせて

キンデルダイクの風車群に
オランダのチューリップ

どこか懐かしく
ノスタルジーを感じさせる
風は穏やかにそよぎ

この瞬間を写真に切り取って
人生の糧にしたい

笑顔に染まった君を夕に染まった空が

後ろから照らしてくれていたんだよな

「青春」という甘い言葉で喜ぶ高校生を
私は見たことがない。

青春というのは
大人のノスタルジーが作り出した
陽炎にすぎない。

だとしたら
あの夏に
あなたが練った
ねるねるねるねは ...

あの先生は、
「今の子供はインターネットを使う。ねるねるねるねの色の変化さえも、事前に調べてしまう。だから、かわいそうだ」
という趣旨のことを、言ったのでした。

そんな感想は、時代遅れの先生の、ノスタルジーに過ぎません。

しかし、インターネットがなかった時代の子供たちは、どんなふうに練ったのだろう、と私は思いました。

明日には表情を変えた空の出現

私にとっては再会だと思っても

空にとっては「はじめまして」

華やいだ喧騒と祭囃子

ノスタルジーに浸る夏風の宵

草　うねり

　乱れし　髪を

　　　　かき上げて

　　　　　　振り向く　先に

　　　　　　　　　風の　足あと

練り友だったあの子は
今は働いていて
結婚もしたらしい。

私だけが
この部屋で
まだねるねるねるねを
練っている。

遠い記憶　


あの頃の　僕たちは

まだ　何も知らない若葉のように

無邪気に　ただ思いきり遊んで

思いきり笑いあった　

新緑の匂いに　　遠い記憶

悲しみなんてものは

何にもまだ知らなかった

太陽に　ずっと手を　かざして

届かないのに　掴んだりして

隣にいたのは　光るまつ毛が　かわいい君と

あの頃のまま　ただ若葉のように

笑い合えたなら


遠い記憶に

うとうと　まどろんで

夕暮れの　坂道で　　キンモクセイを　感じた

ふと　　足を　とめて　　瞳を　閉じると
なぜかいつも　　祖母の　家の　庭先を　思い出す

あの　　西陽が　照らす　　縁側
赤とんぼが　飛び交い　　秋桜に　止まったりして

その　庭に　　一本の　大きな　キンモクセイ

ひとつひとつは　小さくても　　たわわに　咲くと
辺りの　空気を　　いっぺんに　橙色に　染める

その光景と　　優しく　穏やかな　祖母が　重なる

想い出すと　　たまらなく　懐かしくて
じわっと　　涙　にじんでくるほどに

こころ　温められる　　秋　ならではの　芳しさ

お酒や噂話なんかなくても
話すだけで楽しかった。
あの魔女が来てから
私たちは疎遠になった。
彼女は今でも
色が変わるとかいう
あのお菓子に夢中なのだろうか。

ケーブルテレビで

放送されていた

電人ザボーガーの

ことを笑いながら

帰った通学路…


25年前の記憶。

中学校の

帰り道。

公民館の庭。

家に帰れば

ねるねるねるのテレビCMで

あの魔女が笑った。