#口紅

貴方の下手なキスで

あたしの口紅を落として。

いくら唇を重ねたって

愛なんて手に入らず

罪に溺れるだけだった

貴女には

紅色より桜色の

唇がよく似合う

せっかくの
綺麗な口紅だけどさ

悪いな
今夜俺が全部
落としちゃうから

二人の唇が合わさり

桜色の紅が薄まる

なんだか春の匂いがした。

微笑む赤い口元と

綺麗で柔らかい髪が

とてもとても愛しくて

マスカラを汚す男より

口紅を汚す男を愛せ

黄昏時に染まる葉

私の心は君色に染まる

口説かせるつもりで誘って
口紅で謎かける女
微妙なグラデーション

マスカラを落とす男より
口紅を落とす男にしなさいとよく言うけど
マスカラをどれだけ落とされても
塗り直してまた会いに行ってしまう｡

マスカラを汚す男なんかより
口紅を汚す男を好きになれ

暗闇に落ちた赤い口紅

鎖骨が｢痛い｣と泣いていた

口紅は何度も名前を呼ぶ
燃えさかる息を奪いながら

みんな私の白い肌を

｢羨ましい｣

って言う

けどね

私にとってこの肌は

桜色の口紅を塗るだけで

厚化粧に見えちゃう

気色の悪い肌なんだよ

みんな私の茶色い髪を

｢私も茶色がいい｣

って言う

けどね

私にとってこの髪は

光が当たるだけで色が変わって見えるし

なにより

地毛なのに

｢染めてる｣

って言われて怒られちゃう

そんな忌々しい髪なんだよ

みんな私の指を

｢長細くて綺麗｣

って言う

けどね

細いと貧弱に見えるし

指が長い=手が大きい

だから

手が可愛くなくなるの

私は

みんなにとっては

｢普通じゃない｣

存在でも

私にとっては

｢当たり前｣

なんだよ

唇を飾る口紅も



惚れ言葉もいらない



そんなことしなくても



君は十分綺麗だよ