#大丈夫の麻酔薬

｢大丈夫｣そう言えば
本当に大丈夫になれると思ったの

大丈夫って言い続けたせいか

負った傷の大きさがもう分からない

# 大丈夫の麻酔薬

大丈夫と言いました

心の痛みが鈍くなるから


使ってくれたら贈り物

今回の私は一味違います

(有言実行します)

みんな気軽に使ってね

大人げないね、あい変わらず

濡れた羽根も投げれば

飛べると思ったの？

その言葉を吐いたのは

ボクの意地だった

人に心配されるより

自分のこころを滅却して

何事もないかのように

立ち続けたい

夏の日射しに焼かれても

極寒の吹雪に凍てついても

ひとり力尽きて

倒れてしまいたかった

大丈夫か？
あなたの声が聞こえる
心の中

絶対大丈夫じゃない時に
私にだけ聞こえる
あなたの声

『大丈夫』なんて適当な毒で

勘違って爛れた皮膚にまた安堵

心ごと
マヒさせてゆく
君の声
ただ「愛してる」の
そのひと言で

心が　　壊れた　　　夜更け

分かってるよ

何の　解決の　糸口にも　　ならないことくらい


でも　　痛みに　　耐えられないから

せめて……　その　麻酔薬を　　打ちたいの……


夜くらい　　何にも　妨げられずに　眠りたい


だから　　連発して　言い聞かせる「大丈夫」

｢大丈夫｣って繰り返してきたから
｢大丈夫じゃない｣が言えなくなった

あなたが　「大丈夫」って　　笑い返す度に

わたしにも　　痛みが　伝わって来るのよ


知ってるわ

今の　あなたが　　全然　大丈夫じゃないこと


だから　　無理しないでほしいの


「大丈夫」の　効き目が　あるのは　　表側だけ


問題の　核心に　対して　　全く

根本的な　治療には　　なっていないのよ

大丈夫…

なんて言って心を麻痺させた

何も感じないように

何も失わないように

麻酔には2種類ある

打つ麻酔と、

打たれる麻酔が。


大丈夫…という

曖昧な言葉の麻酔が

人間性を壊し

社会を壊していくんだろう


仮面のいらない

本当の大丈夫が

世界を救うのかもしれない…

大丈夫って笑顔で伝えれば
相手は安心してくれる

その麻酔が早く切れて
苦しんで痛いと叫ぶ私に
誰かが気づいてくれるのを
少しだけ待ってる自分がいる

「大丈夫」って言う度に
「安心」している自分と
何処かで「傷付いている」自分がいた。