灰狼・2018-09-03
電線
擬人化
細い腕をつたったシグナル
雨のように降りそそぎ
指先をそっと凍えさせた
彼宛の手紙はひとつもないまま
君は 優しい人だから
心が 傷ついていても
僕の前では 傷を隠して 笑うんだよな
辛いなら 辛いと言っていいんだよ
夜には 溢れ出す 悲しみの感情
星のささやきが 私を慰めてくれた
数多のボタンが押されます
するとハンマーで私は殴打されます
毎日のように私は殴打されます
痛い、痛いと叫びます。
強く叩かれれば大きく
優しく叩かれても
やはり痛いので私は叫びます。
時に高く時に低く
私は叫び続けるのです…
私は誰?
ANSWER
私はピアノ。
どれだけ 旅をしたんだい?
僕も 君のように
好きな所へ 行きたいな
やぁ、心の痛みくん
久しぶりだね、元気だったかい?
君はいつも傍にいてくれたよね、
そして 僕を成長させてくれたね
いつもありがとう
何があっても 忍耐強く くじけない
あなたのように 上を向きたい
僕が君を傷つけてしまったとしても
君を癒せる人は僕じゃないんだよな
ああ削れていく
削られていく
肉が飛び散る…
そんなに乱暴にしないで
頭が、とれちゃう
無造作に転がる
ちいさな私の分身…
私は……何?
ANSWER
私は、消しゴム
雨が降る中私は御主人様に
無数の針を食べさせられます。
口が開かなくても
否応なく針を口に入れられて
その針を噛み砕き
飲み込まなくてはならないのです。
針を噛み砕く事が出来なくなれば
私は御主人様に捨てられて
焼却処分にされる事でしょう。
私は…誰?
ANSWER
私はT字カミソリ
君のことは 言葉を交わさなくても
気持ちは分かるんだ
さみしいときは こっちへおいで
迷うのなら私を目印にしていいよ
君が安心できるまで付き添うから
ひび割れてしまった心は冷たくて
君の瞳から一雫の点が零れ落ちた
朝になって僕が目覚める前に
君に「おやすみ」を伝えたら
君は夜まで眠ってくれるかい
一時期雨が嫌いだったけど
寂しそうな「声」を聞いていると
孤独な私の心に
雨音が寄り添ってくれている気がして
なんだかとても、嬉しかったんだ
梅雨の時期のはずなのに
大好きな雨は迎えに来てくれない
ひょっとして、雨はもう
孤独じゃなくなったのだろうか
また会いたいよ