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今が最高の時だった
いつもは賑わっている階段も
優しく見守る警備のおじさんも
誰一人そこには居なかった
いつもはとぼとぼ帰る階段も
今日は雨が降りそうだったから
少し急ぎ足で降りていった
一段、二段、軽く飛んで三段…
このままいけば踏み外せると思った
あわよくば転んで転がって
この世界から逃げれると思った
でも案外上手くいくもんだな
五段飛んでもしっかり着地する
震えた足が絶対に外さまいと
不安定な地面を強く強く踏む
天候は悪くなるばかりで
風は激しく吹き荒れるのに
西の町は雨雲の間に太陽を覗かせて
聞こえる風は山の葉っぱを揺らす
移動中の烏たちの鳴き声が
ふと通り掛かった猫の鳴き声が
もう秋なのに
道端に残ってた一輪の向日葵が
不覚にも綺麗だと思ったから
今が最高の時だった
誰一人居ない最高の時だったから
私は今日も飛ぶのを辞めた
小依・2023-10-06 #無駄な日記 #美化された本音 #2023.10.06 #喜雨の言い条
