no*name・2023-10-02
クリームソーダと桜と、
私は待っているのです
あの喫茶店の1番奥の席で
クリームソーダのアイスクリームを食べながら
これは食べ物なのか、飲み物なのかと議論した
君とふざけ合ったあの時間を思い出している
あの日、西に傾き始めた日差しを浴び
私たちはここにいた
泣いて、笑って、心を通わせたよね
私の告白を黙って聞いて
私の痛みに泣いてくれた君を
今も忘れずに求めている
もう忘れてしまいましたか?
また会おうと約束したことを
私は今も待っています、クリームソーダを注文して
君はいつも窓際の席でひとり、読書をしていた。
君はどこか寂しげで憂いがあった。
君は知らないだろうけど、君を気にしている男子は多いよ。
僕らは小学校からの幼馴染で、君とは気軽に話せる関係だ。羨ましがられているのは間違いない。こうして君と待ち合わせて、君の向かいに座れる僕はなんて幸せなんだろ。
僕が席についても君はしばらくは気付かない。西日に変わる少し前のオレンジの光が君を包む。
僕は君に見とれてしまう。
僕はこの時間がとても好きだ
君もそうだといいと思う
他のみんなもだ
果てのない異空間みたいな心を抱えて
この小さな秘密基地に身を寄せて
君は大人になるためのアイスティーを
僕は既存の何かを混ぜ合わせるためのクリームソーダを
それぞれ注文する
会話はなんでもいいんだ
例えつまらなくても
弾まなくても
たまに訪れる沈黙も含めて
秘密を持たない人間なんてきっといない
いたとしても
僕の人生の中で巡り合うことは
きっとない